文化財の案内看板の管理不全について伺います。
本件では2017年10月以来、5年半ぶりの質疑です。

前回の質疑では、折よく区教委が前年実施した全箇所点検の結果がありましたので、そのデータをもとに劣化の進んだ看板の改善を求めました。
すると当時の課長より「今後は昨年度の調査結果に基づきまして、改修が必要なものにつきましては計画的に更新について検討していくとともに、定期的に状況を確認して適切な維持管理を図ってまいります」とご答弁がありましたが、お約束通りに運んでいるとはとても思えませんので再質問いたします。

まず、当時の調査結果の概要を改めて示すと次のようになっています。

調査は、説明文が書かれた「案内板」と、それを支える支柱等を含めた「本体」の2種類の総合判定からなり、それぞれAからDまでの4段階で評価されています。
このうち、更新が推奨されたのはCとDの2分類で、Cは「劣化があり部分修繕が必要な状態」、Dは「主要部が劣化し、撤去、修繕が必要な状態」だとされています。
では、更新が求められたCとDは合わせてどれだけあったのか?
「表示板」では37か所、全体の4分の1以上。
支柱等を含めた「本体」では23カ所、6分の1弱に上りました。
前回質疑から5年半が経ちましたが、「表示板」と「本体」でそれぞれ何件中、何件が撤去、修繕されたのか、ご報告を求めます。

都合10か所で撤去だけが行われていますが、撤去理由を、件数別にご説明ください。
また、そこには、永安寺、宗円寺、大蔵氷川神社、行善寺などが含まれますが、再建がないのは何故でしょう? 区民や観光客にぜひ知っていただくだけの価値が無くなったのでしょうか?

お伝えする価値のある文化財なら、撤去だけして何年も再建の目途の見えない状態にただ留め置いている対処はおかしくないですか?
見やすい看板への更新を所有者に断られるでもしない限り、新旧交代を一度にするのが看板設置の本来目的に適ううえ、もっとも低コストで、かつ所有者にもご迷惑をかけない工事方法ではないのですか? いかがですか?

先ほどの答弁で表示板のC判定は27基あった一方で、修繕されたのは3基のみでした。
裏を返せば大多数の24基は修繕されていない。

ではC判定の表示板はどのようなものか、その一例を示すパネルを用意したのでご覧いただければと思います。委員の皆さんは、ぜひタブレットからご覧ください。

これは、区教委が設置した世田谷の冬の風物詩、「ボロ市」の案内看板です。


「ボロ市」の案内看板 ※クリックすると拡大します

「ボロ市」の案内看板

 
こちらも表示板評価はC判定です。教育長には同じ写真をプリントしたものをお渡ししておりますが、ご感想はいかがでしょうか? 全箇所点検から6年。その成果が活きた管理状態でしょうか?

続けて2枚目のパネルに参ります。
これは、代官屋敷の裏手にある、大場代官家の菩提寺、浄光寺にある文化財看板です。


浄光寺にある文化財看板 ※クリックすると拡大します

浄光寺にある文化財看板

 
恐縮ですが教育長。こちらのご感想も一言、お願いできますか?

この浄光寺の看板は、何故か全箇所点検からも抜け落ちています。
他にも漏れがあるのではないですか?

文化財の案内表示は、基本、良好な状態に保つべきものだ、という意識で仕事をなさっていないから、こういう目も当てられない看板が無計画に放置され続けているのではないのですか?
改めて、C、Dランクをいつまでに無くす、と目標を定め、計画的に更新するよう求めます。
教育長のお考えはいかがでしょうか?