◆上川あや

区内鉄道事業者の障害者対応について伺います。

まず、京王電鉄の問題です。
昨年一定の一般質問で、京王電鉄が障害者等に全く配慮なく、次々駅改札の無人化と駅員削減を同時進行させ、現に区内の視覚障害者が料金精算できない改札口まで生じていることを指摘し、区に、区民の利益を代弁する立場からの対処を求めましたが、当時の区の御答弁にあった京王電鉄側の説明には重大なうそがありますね。
京王電鉄が、健常者だけを前提に駅改札の無人化と駅員削減を進める中、視覚障害者が出発駅改札で行き先を告げ、その後の乗り換え駅と終着駅とで各駅員から介助を受け移動するリレーサービスが維持できるのか、区の把握と考察を伺うと、区は次のように答弁しています。

京王電鉄では、これまでも駅での支援が必要な方には、駅係員による電車への乗降の際に必要なサポート支援を実施してきたと承知しております。議員お話しのリレーサービスを含む区民の安全な移動の担保につきましては、区としても必要不可欠なサービスと認識しております。京王電鉄からは、障害者に限らず誰もが安心して鉄道を御利用いただける体制をこれまで同様維持すると伺っておりますので、引き続き取組を注視してまいります。

これだけ聞きますと一定程度安心できるのかなと早合点をしますが、先般、京王電鉄が井の頭線渋谷駅で他社線へのリレーサービスをやめていることが分かりました。JR側から京王井の頭線に乗り換える場合には、JR側の駅員が複雑な途中経路を介助誘導して、京王線の駅員までつなぐので問題なく移動できるのですが、驚くことにその逆の対応を京王電鉄が四年も前からやめているそうです。
現在、渋谷駅では大規模再開発が進行中で、乗り換えの経路も駅改札の配置さえ変わっていくのに、これでは井の頭線を利用する障害のある区民の安全を保つということはできません。区には、区民の安全安心な移動を担保するという強い姿勢で京王電鉄に善処を求めていただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。

◎堂薗 交通政策課長

京王電鉄に確認いたしたところ、駅係員による乗り換えに必要なサポートは自社駅構内での対応が基本になっていると伺ってございます。委員お話しのリレーサービスを含む鉄道利用者の安全な移動の担保につきましては、区としても大事なサービスと認識しております。区内の乗換駅は改札口が近接しておりますが、委員御指摘のように、渋谷駅は国内でも有数の巨大ターミナルであり、それぞれの鉄道事業者の駅改札口が離れている状況となっております。
世田谷区といたしましては、利用者の視点でのリレーサービスについて、京王電鉄に伝えてまいります。

◆上川あや

ぜひ切れ目がないサービスのためにJR側はしているんですから、京王のほうにもしっかり求めていただきたいと思います。
 
次に、小田急電鉄の問題です。小田急電鉄に七十の駅があるうち、現在までに二十三駅で早朝時間帯、駅の無人化が行われています。世田谷区内では二〇二一年三月十三日から喜多見駅で、昨年の三月十二日から豪徳寺と祖師ヶ谷大蔵の二駅で、始発から六時半まで駅員不在の無人駅となっています。
同時間帯はホームから車両までスロープを渡す駅員もいないため、車椅子の方なら、無人改札にあるインターフォンをして、他の駅から駅員が駆けつけてくれるまで電車には乗れず、視覚障害者に至っては手探りでのインターホン探しから強いられます。小田急電鉄は、事前に早朝の介助を必要としている場合には、前日の午後五時までにお客様センターに電話をいただければ対応するとしていますが、早朝、夜間の急用には用をなさないことは明らかです。

このため、午後五時以降、翌朝の介助をお願いするにはどうすればよいのかと、区内の全盲の視覚障害者の方が繰り返し問い合わせますと、ようやくお客様センターが回答し、主幹駅が十三駅あるので、その電話番号を調べて連絡してほしいと言われ、その十三駅がどこなのかの案内はなかったと言います。

調べますと、小田急電鉄ではこの間、主要な十四駅を除いて外線電話を廃止しています。
区内で電話がつながるのは僅かに二駅です。代わってお客様センターが一元的に電話を受けますが、その営業時間は九時から午後五時までの八時間、それ以降は、お電話ありがとうございましたの自動音声で電話が切られます。夜間、早朝も電話がつながる十四駅の音声案内は全くないままです。不親切過ぎるのではないでしょうか。

そこで伺いますが、区から、まず小田急電鉄にこの音声案内の改善を求めていただけないでしょうか。この点が改善されますと、車椅子の方なら待ち時間が減り、視覚障害者も手探りでのインターホン探しをする必要がなくなる可能性が高いです。いかがでしょう。

◎髙橋 都市デザイン課長

ユニバーサルデザイン推進条例を所管する都市デザイン課といたしましては、委員お話しにありました小田急お客様センターの営業時間外の対応につきまして、本来、駅改札口の無人化に当たり、障害者をはじめ全ての利用者ができるだけ不便なく利用できるよう、その対応状況の報告を求めるなど情報共有に努めるところであり、大変御不便をおかけしたと認識しております。
区といたしましては、国のガイドラインやUD推進条例施設整備マニュアル、また、交通まちづくり基本計画のバリアフリー経路の充実に向けた取組に基づき、鉄道事業者に対して、お客様センターの営業時間外の音声案内において、夜間にも電話がつながる駅連絡先情報の追加を求めるなど、利用者の立場に立ち、全ての人にとって円滑に移動しやすい環境整備を図るよう強く要請してまいります。

◆上川あや

ぜひ速やかに改善されるようお願いいたします。

最後に、今挙げた早朝、夜間の連絡手段が確保された場合でも、区内の小田急線三駅の早朝無人化は、障害当事者の移動の自由と安全性を明らかに低下させているこの事実は変わりません。区は小田急電鉄に人員の再配置を強く求めるべきと考えるのですが、いかがでしょう。

◎堂薗 交通政策課長

障害者を含む全ての利用者が安全、円滑に駅を利用できるようにすることは大変重要な課題であると認識しております。一方、小田急電鉄からは少子高齢化の進展等に伴う鉄道利用の減少や働き手不足に対応するため経営努力を続けてきましたが、御指摘の三駅において、やむを得ず始発から六時半までの間の無人化を実施せざるを得ない状況と聞いてございます。
区といたしましては、駅係員配置に代わる音声誘導やインターホン設置等が行われた場合でも、障害の度合いや特性により負担の増大となることは否めないことから、障害者への配慮の観点から、まずは有人改札の維持が望ましいとの考えを持ってございます。小田急電鉄にもこうした区の基本的な考え方をしっかりと伝え、可能な限りの対応をしていただくよう今後とも働きかけを行ってまいります。

◆上川あや

現在、早朝の無人化は三駅ですけれども、これを簡単に容認してしまったら、ほか駅にも、ほかの時間にも広がる可能性を多分に含みますので、しっかりと取組を進めていただくようお願いいたしまして、私の質疑を終わります。