区の「国民健康保険一部負担金の減免及び徴収猶予制度」の広報には非常におかしな部分がありますね。
本日は、その不正確、不誠実な部分を指摘し、是正を求めたいと思います。
区のホームページは、同制度の趣旨を冒頭、次のように説明しています。
「世田谷区国民健康保険では、災害など特別な事情により収入が著しく減少したことで、一時的に生活が困難となり、資産等を活用しても保険医療機関等へ支払う医療費の一部負担金の支払いが困難となった場合には、申請により一定期間支払いを減額・免除または徴収猶予になる制度があります。」
ここでいう減額、免除とは、義務教育就学から69歳までならば、かかった医療費の3割を医療機関の窓口で支払うべきところ、区の判断でその割合を減らしたり➡これが「減額」ですよね。 区の10割負担としたり➡これが免除ですよね。
また本人の経済状況が回復するまで最長半年間、区が支払いを肩代わりして時間差でその支払いを求めたり➡これが徴取(ちょうしゅう)猶予ですよね?
困窮する国保加入者を支援するものです。
区のホームページは、その申請期間について、減免と徴取、猶予を一緒くたに「治療を受ける前」の一言で片づけていますが、不正確ですよね。
根拠となる昭和34年の厚生省通知は「申請」期間について次のように書いています。
「一部負担金の徴収猶予、又は減免の措置を受けようとする者は、あらかじめ保険者に対し、様式第一による申請書を提出しなければならないこと。ただし」
ただしです。
「徴収猶予については、急患、その他、緊急やむを得ない特別の理由がある者は、当該申請書を提出することができるに至つた後、ただちにこれを提出しなければならないこと。」
つまり、「急患、その他緊急やむを得ない特別の理由があった場合」には、事後の提出でもよいとする例外がある。
これを書かなければ、区民が出先で倒れて緊急搬送されて、或いは、にわかに具合が悪くなり、役所に立ち寄り事前に相談、手続きする余裕、暇もないままに、医療にかかられた方は、徴取の猶予は事後、受けられないものと誤解させる効果を生みますよね?
一般区民は、制度運用の大元となっている国の通知も、区の例規集も、まず見ないのですからなおのこと、区民向けの広報では正しく書くべきではないのですか?
次に、区のホームページでは、「減額・免除」の受けられる期間を「3か月以内」としていますが、これもあくまで原則であり絶対ではない筈です。
国が発出した「一部負担金の徴取猶予及び減免」にかかる通知によれば、減免期間は「療養に要する期間を考慮し、一箇月単位の更新制で三箇月までを標準とする」と書くのに続けて「ただし、三箇月までに期間を限定するものではない」とハッキリ釘を刺しています。
また、区の処理要綱も、減免について「さらに3箇月以内の期間を設定して引き続きこれを行うことができる」と規定しています。
なのに、なぜ「3か月以内」とのみ書くのですか?
ここは少なくとも「原則3か月」などと「例外」もあると判る広報でなければ嘘でしょう。
こうした不正確で厳しく限定的な記述が、支援打ち切りの格好の説得材料になりかねないことを危惧します。この点も正確な記述に改めるよう求めますけれどもいかがですか?
区が配布する「国保のしおり」にも問題がありますね。
国保のしおりでは、先ほど来、何度もでてきた一部負担金の徴取猶予の項目や、記述そのものがありません。なぜ、現に存在する救済策を書かないのかが分かりません。
聞けば、一部負担金の減免と徴収猶予とでは、認定範囲にも違いがあるということです。
つまり、困窮の度合いや今後の経済状況回復の見通しによって支援策の一方、負担金の減免は認められないが、他の一方、徴収の猶予なら認められるケースもあるということです。
ならば、尚のこと、徴収の猶予についても漏れのない広報をするべきではないのですか?
いかがですか?
最後に、区の当該ホームページの広報を充実させる一助に、ページの末尾に、関連する例規や要綱のPDFを上げる、あるいは例規集、要綱集に直接リンクを貼り、区民に制度の全体を見ていただけるようにする工夫を提案します。 手間もコストもかからない改善策となるはずですが、区の見解はいかがですか?