◆上川あや

私がこれまで六回にわたり取り上げてきた、谷を埋めて造成された住宅地、いわゆる谷埋め盛土宅地を含めた宅地耐震化推進事業について伺います。

本来これは都の事業であり、大規模震災時、滑動崩落の可能性のある大規模盛土造成地について、その安全性を二段階で調査し、確認するものです。まず、航空写真や旧地形図などから盛土造成地の位置を抽出する第一次スクリーニングを行い、次いで、さらなる安全点検が必要な箇所について地盤調査や安定計算などを実施する第二次スクリーニング調査を行います。

区内の大規模盛土造成地として都が第一次スクリーニングで抽出したのは十五か所。ところが、このうち都が第二次スクリーニング調査の安全点検へと進める箇所は一か所もないと承知をしています。果たしてこれでよいのでしょうか。
都が進める同事業の妥当性を区の独立した立場から点検、検証するべきとの私の提案を受けて、区は令和四年五月に宅地耐震化推進事業専門家会議を設置しています。そこでの検証結果からは、都とは異なる見解も示されていると聞いています。

そこでまず伺います。同会議設置の根拠となる要綱名、同要綱が定める所掌事項、また、同会議の設置により区が目指すもののそれぞれを御紹介いただくとともに、三か年度にわたり行われてきた活動概要についても御説明いただけますか。

◎小林 市街地整備課長

区では、宅地耐震化推進事業に係る大規模盛土造成地の変動予測調査について、専門的かつ幅広い視点から検証を行うため、令和四年に世田谷区宅地耐震化推進事業専門家会議設置要綱に基づき、専門家会議を設置いたしました。
同要綱では、所掌事項として、一、東京都が作成する第二次スクリーニング計画の検証に関すること、二、東京都が作成する簡易地盤調査の手法選定指針などの検証に関すること、三、事業の調査手法などの課題検討に関すること、四、前三号に掲げるもののほか、大規模盛土造成地の変動予測調査に必要と認められる事項に関することを定めております。
専門家会議は、令和四年度から六年度にかけて五回開催し、主に東京都の作成した第二次スクリーニング計画の検証を行いました。

◆上川あや

次に、専門家会議における検証内容です。
都は、第二次スクリーニング計画の策定に先立ち、各盛土宅地の地形条件や盛土の規模などを整理した宅地カルテというものを作成しています。このカルテこそが第二次スクリーニングを行うか否かを判断する優先度評価の基礎資料です。
ところが、区の専門家会議が都の作成したカルテを検証したところ、都とは異なる評価結果が示された箇所が複数あったと聞いています。そこで伺います。区は同専門家会議にどのような専門家を集めたか、また、どのような観点から都のカルテを検証したか、さらに、その検証結果としてどのような評価結果が示されたかのそれぞれを区民に分かるよう御説明くださいますか。

◎小林 市街地整備課長

専門家会議は、地盤工学などを専門とする学識経験者四名と防災街づくり担当部長を委員とし、検証を行いました。
検証内容は、東京都が作成した第二次スクリーニング計画の優先度評価を基に、区内の大規模盛土造成地十五か所における箇所ごとの優先度評価の内容、検証箇所周辺の地盤情報、現地写真を用いて検証用資料を区が作成し、委員の方から見解を伺いながら検証を進めてまいりました。
検証により、東京都の優先度評価と区の検証結果に差異のある箇所を三か所確認したことや、経過観察時の留意点などについて助言をいただきました。

◆上川あや

続けて、区と都のやり取りについてです。都が作成した宅地カルテの評価結果では、区内には第二次スクリーニング調査を実施するべき大規模盛土造成地はないものとして処理された。このため、現在、都で進めている第二次スクリーニング実施の計画からも、区内の盛土は全て対象外となっています。しかし、区が設置した専門家会議による検証では、都が作成した宅地カルテのうち三か所で区の評価との差異が生じ、うち一か所は第二次スクリーニング調査の対象に相当するとの評価が区の専門家会議の結論です。
このため、区は、独自の検証結果を都に提出し、宅地カルテの見直しと新たな調査の実施まで求めたとのことですが、都は第二次スクリーニング計画は既に策定済みであるとして区の申入れを一蹴し、区内で新たに調査を行う予定もないと理解をしています。
以上の理解でよろしいでしょうか。

◎小林 市街地整備課長

専門家会議で行った区独自の検証では、東京都の第二次スクリーニング調査の対象に相当すると考える箇所が一か所ございました。そのほかに、都の調査対象までには至らないが、優先度評価に差異がある箇所が二か所ございました。
この優先度評価に差異のある箇所について、現在の第二次スクリーニング調査の実施主体である東京都に対して、専門家会議の検証結果の報告とともに評価の見直しを要望いたしましたが、第二次スクリーニング計画の策定は既に完了しているため、現時点での優先度評価の見直しの予定はないと聞いております。

◆上川あや

都側に同計画を見直す考えはない。つまり区内での安全点検はなしということでしょう。

そこで、最後に区の今後の対応について伺います。区の専門家会議による検証で都の評価とは異なる見解が、リスクが示されている以上、区としても当該宅地の安全性には一定疑義のある状況ではないのでしょうか。今後とも都が区内に第二次スクリーニング調査を実施しないなら、区は、区民の生命と財産を守る見地から、区独自に第二次スクリーニング調査を実施してでも区内宅地の安全性を確認するべきではないのでしょうか。区の見解を問います。

◎小林 市街地整備課長

東京都の優先度評価では第二次スクリーニング調査の対象とならなかったものの、これまで区独自の取組として専門家会議を設置し、学識経験者とともに検証を行ってまいりました。その後の取組の一つとして、令和七年度より区独自で大規模盛土造成地の経過観察を開始したところです。
経過観察では、盛土及び擁壁の形状等の変化や新たな変状の有無などを確認しており、状況に応じて専門家会議で対策の検討を行ってまいります。
また、委員御指摘の区による第二次スクリーニング調査についても、東京都との情報共有や区が主体的に行う際の課題などについて、専門家の助言もいただきながら整理を行い、検討を進めてまいります。

◆上川あや

区が設置した専門家会議による検証では、区内にも第二次スクリーニング調査で安全点検するべき宅地があるとの評価です。であるにもかかわらず、都が調査をしない、区も調査しないというのであれば、区が専門家会議を開き、検証を求め続けてきた意味自体が失われてしまいます。区として区民の安全確保の観点から主体的に調査を検討されるよう改めて強く求めまして、私からの質疑を終わらせていただきます。