◆上川あや

初めに、生活保護受給世帯に対する区立美術館・文学館の観覧料無償化について伺います。

二〇二二年春の予算審議を皮切りに、私からこの課題を三度取上げ、常設展の無償化は実現しました。しかし、より経済的負担が大きい企画展についての減免はいまだ見通せず、今後の行方が気がかりです。
区の文化・芸術振興計画は、誰もが文化・芸術を楽しめるまち世田谷を将来像に掲げています。また、上位法である博物館法は、本区の美術館・文学館を含む公立博物館について、入館料などの徴収は原則として行ってはならないとしています。こうした観点からも、困窮世帯への対応は無償化こそが望ましいと考えます。
所管課に伺うと、企画展の今後については、常設展の無償化の利用実績を踏まえ、せたがや文化財団と協議を進めていくとのことでした。
しかし、利用実績を踏まえると言われましても、そもそも減免制度が生活保護受給者に十分伝わっているのか、大変疑問です。実際、生活支援課に確認したところ、係長会での情報共有はあったものの、ケースワーカーを通じた周知は、機会があれば話すかも程度で、極めて限定的だと分かりました。
実際、生活保護受給者に配布される生活保護のしおりにも、国や都の減免制度の記載はある一方で、区の減免制度の案内は一切ありません。係長会での情報共有は第一歩ですが、対象者に届かない配慮では意味がないのです。情報伝達の工夫を検討するべきではないでしょうか。

◎大谷 文化・国際課長

区は、二月から、区の文化・芸術に関する取組をより分かりやすく発信する文化・芸術ポータルページを開設し、区民が美術館、文学館等文化施設の情報にアクセスしやすくなるよう改善を図ったところです。
委員お話しの内容については、区や世田谷美術館及び文学館のホームページで周知しているほか、三月に発行するリーフレットに掲載予定です。
お話しの美術館及び文学館の常設展の観覧料無料を確実にお知らせするためには、生活保護のしおりへの記載が有効だと考えておりますので、生活保護の主管課と、より分かりやすく効果的な周知方法を検討してまいります。

◆上川あや

続けて、区が協議を進める文化財団側の受け止めにも懸念があります。昨年、パブリックシアターの関係者から、困窮世帯の子どもの体験格差の解消に向けて、せたがやこどもフードパントリーと連携し、観覧券を無料配布したとの取組を伺いました。大変意義深い活動に共感を覚えた一方で、その企画段階で、美術館や文学館など他部署との連携を模索したものの、その実現には至らなかったと伺い、大変残念でした。
こうした経緯を踏まえると、美術館・文学館に対する区の働きかけがどこまで響くのか疑問が残ります。誰もが文化・芸術を楽しめるまち世田谷の実現に向け、区は文化財団とどのように協働し、計画理念を具体化していくのか、その対応方針を伺います。

◎大谷 文化・国際課長

お話しの取組は、世田谷パブリックシアターがせたがやこどもフードパントリーに参加している中高生と保護者を対象に実施したもので、参加者した十組の親子連れの方からは、大変好評だったと伺っています。
この取組は、シアターの担当者から、せたがやこどもフードパントリーに対して、中高生と保護者を対象とした観劇の無料招待を呼びかけ、公演に席の余裕があったこともあって実現に至ったと聞いております。
一方、美術館・文学館では、子どもが文化・芸術に親しむ機会を増やすため、区内在住、在学の小中学生を対象に、年間を通じて土日祝日と学校の夏休み期間に、常設展の無料観覧を幅広く実施しております。
これに加えて、お話しのような財団内で連携した取組は、現時点では実現に至っておりません。今後、美術館・文学館についても、同じ文化財団内でございますので、お話しのシアターの事例も参考にしながら、美術や文学に親しむ機会を提供できるよう、改めて財団と考えを共有しながら働きかけてまいります。

◆上川あや

よろしくお願いいたします。

続けて、文化財団で無料券配布に取り組んだ関係者からは、同施策を進める上で、対象となる子どもたちとどうつながるかが最大の課題との声がありました。この点、児童扶養手当や就学援助、奨学給付金などの事業を通して対象世帯との接点を持ち、また、子ども団体等とのつながりも多くある区として、今後どのようにそれら情報の共有、ひいては体験格差の解消に生かしていくのか、区の見解を伺います。

◎大谷 文化・国際課長

ふだんなかなか文化・芸術に触れる機会のない方々が、演劇、美術、文学等の文化・芸術にアクセスしやすい環境を整えることは、区、せたがや文化財団にとって重要な課題であると考えます。お話しの事例を好事例として継続して実施していくことで、より充実した活動となると考えます。
今後、区としましても、文化財団の求めに応じて、子ども支援団体に限らず、高齢者、障害者支援団体等、関係所管が有する団体情報について提供していくよう努めてまいります。