◆上川あや

まず一点目、区の各課で不要と判断した備品等、区有財産の処分では、公費をかけた廃棄より税外収入確保につながる売却、資源の有効活用につながる譲渡が優先されてしかるべきとの課題認識から、以下、改善を求め、伺います。

先の第2回定例会で私からは、新型コロナ対策で国から譲渡された超低温冷凍庫等を区が大量廃棄した一件でその妥当性を問いました。国が昨年十二月に出した事務連絡では、公的接種の終了後、それら物品の使途の限定は解かれ、処分に当たっては譲渡や売却など可能な限り有効活用していただくようお願いしますとのただし書をつけ、廃棄を含めた判断を区に委ねました。

これを受け、本区は、区内の医療機関と一部の大学に絞り譲渡を呼びかけた一方で、売却ははなから考えることもなく、譲渡された六十八台のうち六割以上を占める四十三台を早々に廃棄しています。他の自治体では、医療機関や大学のみならず、地域の消防、警察、高齢者施設、介護施設、一般企業まで譲渡を呼びかけるなど有効活用の工夫が見られ、また、お隣、杉並区、大田区では売却にも成功し、税外収入を得つつ廃棄数はゼロと、当区との差は明らかです。

以上のような対比を述べ、本区の大量廃棄について妥当性を問うと、保健所副所長より、譲渡を呼びかける対象についてはより広く検討する必要があった、区の厳しい財政状況に鑑みれば売却等による税外収入の確保に努めていかなければならなかった等反省が述べられました。また、物品管理を統括する会計管理者からも、職員研修等を通じて貴重な公有財産を適切に管理、活用することを徹底し、職員の意識の向上を図ってまいりますと精神論のみ述べられましたが、具体的な改善策は薄く、全く不十分と言うべきです。

区の物品管理規則第六条は「物品の管理に関する指導統括の事務は、会計管理者が行う。」とその責任を定める一方で、実際的な管理手法を区に伺うと、物品管理者である各課長が管理を委任された後は、売却、譲渡、廃棄の判断とも所管課任せ。廃棄と判断した場面での会計課の役割は備品登録データの抹消依頼に応じるだけというのですから驚きます。これではもはや管理ではなく、単なる放任ではないのでしょうか。
また、そもそも区の物品管理規則に売却が記されたのは平成三十年の改正以降だそうです。つまり、つい六年前まで区には売却という選択肢すらありませんでした。
このような極めて薄い、「管理」の結果、昨年度の廃棄、備品の総数は実に二千十八件、うち百二件は新品価格、六十四万九千円の超低温冷凍庫等、まだ減価償却すら済んでいない財産の廃棄であり、同時期の売却価格一円以上での売却実績は僅かに十七件。三件の特殊自動車と十七台の自転車だけ。譲渡も前出の医療用保冷庫十九台以外何一つないというお寒い状況でした。

そこで、以下、本区とは好対照をなす他自治体の取組を参考に、区の見解と対応を問いたいと思います。
まず、今御紹介した昨年度データは、不要品の売却や譲渡を考えず、安易に廃棄ばかりを重ねてきた証左と考えますけれども、区の見解はいかがか。

第二に、徳島県徳島市の会計規則では、それが誕生した昭和三十九年以来一貫して、不用品の処分は原則として売却によると定めています。再利用不可能な物品、送料、手数料で収支がマイナスになるなど売却に適さない場合を除いては、売却を基本に、その予定価格に応じて副市長から契約監理課長まで四段階で専決者を定め、個別に処分の適正をチェックしております。
区でも、不用品の処分に関し、売却、譲渡を廃棄より優先させる等ガイドラインを示し、一定のチェック体制を整備するべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

第三に、同市では、所管課に代わり契約監理課が官公庁オークションサイトや古物回収業者への売却を手がけ、また、同課との合議を経た上で所管課手続によるフリマアプリ、メルカリショップでの販売を後押ししております。報道によれば、同様にメルカリを利用する自治体は、この七月までに全国三十八団体に広がり、同月、メルカリにショップを開いた京都府南丹市では、本区が公費をかけ四十三台も廃棄した超低温冷凍庫三台を一台八万円で出品したところ、あっという間に全てが売り切れ、市の担当者を驚かせたといいます。
本区でも、不用品売却をノウハウのない所管課任せにせず、会計部門で統括管理する、あるいは各課への支援を強化し、税外収入確保に努めるべきではないでしょうか。
また、徳島市同様、より具体的に官公庁オークションサイト、メルカリ等の社会資源の活用を求めますけれども、いかがか。それぞれ区の見解を伺います。

◎大澤 会計管理者

私からは、不要な区有財産の処分では廃棄より売却、譲渡を優先するべきについて御答弁を申し上げます。

世田谷区物品管理規則では、所管において所有する物品が本来の用途に供することができず、かつ、所属換等によっても有効に活用できないときは物品の用途を廃止し、不要品とする組替えを行うことと定めており、所管の物品管理者が組替えの決定をし、総括出納員である会計課に備品登録抹消依頼を行い、備品の登録を抹消しております。備品の抹消に伴い、所管課は売却もしくは廃棄の決定をすることと規定しております。また、物品の売却につきましては、物品管理規則に基づき所管課において売却の手続を進めることとしており、具体的な売却の入札事務は財務部で対応しているところでございます。

一方で、議員御指摘のとおり、物品管理規則では、所管課の売却もしくは廃棄に関する判断基準やその後の具体的な手続までは規定されていないため、職員研修においても売却についてほとんど触れてこなかったことから、売却に対する意識が希薄であったと考えており、廃棄に当たって影響を与えていた可能性もあったのではないかと見ております。
この状況を踏まえ、区民の財産でもある物品が適正かつ有効に活用されるよう、不要品の処分の決定から、売却、譲渡、廃棄に至るまでの優先順位や判断基準、手続、その際の会計室の関与などについて関係所管とともに整理、検討してまいります。その際に、売却に当たりましては、議員御提案の民間事業者等の社会資源の活用などについても、現在実施しております他自治体の事例なども参考に検討してまいります。
今後、リユースの推進や税外収入の確保など物品のさらなる有効活用を図れるよう、今回の見直しを通して職員の意識の向上にも努めてまいります。私からは以上です。