◆上川あや

区内のほとんどの踏切に視覚障害者用の誘導ブロックがないことについて伺います。

おととし10月の決算特別委員会で、区内の大部分の踏切に、視覚障害者の安全確保に向けた点字ブロックの敷設がない状況について改善を求めました。
質疑のきっかけは、同年四月、奈良県大和郡山市の踏切で全盲の女性が列車にはねられ死亡する事故が起きたこと、また、これを受け、国土交通省が同年六月、道路のバリアフリー化指針を改定し、踏切手前と踏切内のそれぞれに形状の異なるブロックの敷設を道路管理者である自治体に求めたことでした。
その後、国土交通省は本年一月までに踏切内に設ける点字ブロックなどの誘導表示の形状や配置の基準を新たに定め、改良すべき踏切四百八か所を新たに指定したと報じられました。区内には三か所の同指定箇所があり、一か所の道路管理者は東京都、残る二か所は区であるようですが、それらを優先的に改善しようにも、なお課題は残ると伺っています。
そこで、まず残る課題とは何か、また、それを今どう乗り越えようとされているのかについて御説明を求めます。

◎春日谷 土木計画調整課長

国土交通省では、令和四年四月に発生した奈良県での事故を受け、同年六月、道路の移動等円滑化に関するガイドラインに踏切道での視覚障害者の誘導に関する整備内容を規定し、さらに本年一月、踏切道付近の視覚障害者誘導用ブロックと踏切道内誘導表示の設置方法や構造を規定するなどの改定を行っております。
今後、区ではガイドラインに従い、バリアフリー法により指定されている特定道路上の踏切二か所について優先的に整備を進めていく予定ですが、整備や維持管理に関して、鉄道事業者と道路管理者の役割分担を明確にする必要がございます。都内だけでも特定道路上の踏切は四十数か所ございますので、多くの自治体、鉄道事業者が同様の課題に直面しており、一体的に整備調整することが合理的なため、区では踏切対策について国土交通省関東地方整備局を議長とした都内の鉄道事業者、道路管理者が一堂に集まる会議へ要請をしているところでございます。
踏切道のバリアフリー化について様々な課題の早期解決を図り、区内踏切での対策実施を効果的に進めてまいります。

◆上川あや

前回の質疑では、区の公道上の踏切は、鉄道と軌道を合わせて九十か所に上るとのことでした。ところが、今回、国は特定道路上の踏切についてのみ、区内で言いますと、区役所西通りと世田谷線が交差する世田谷一号踏切や、山下駅横の宮の坂六号踏切など三か所についてのみ優先して改善を求めてきたことになります。しかし、特定道路以外の道路の踏切についても特定道路に準じた安全対策を講じていくことが当然求められてくると考えるのですが、区の考えはいかがでしょうか。

◎春日谷 土木計画調整課長

特定道路以外の道路につきましても、視覚障害者など全ての人が安全に踏切を渡ることができるよう、ガイドラインを参考に、区の実態に即した安全対策が必要であると認識してございます。

◆上川あや

では、特定道路を除いた区道上の踏切数は一体幾つあるでしょうか。

◎春日谷 土木計画調整課長

八十一か所になります。

◆上川あや

それらについても、道路管理者である区が、各踏切箇所の通行量、その周辺環境、また道路と線路が直交せず斜めに交差するために、視覚障害者が経路を外れてしまいかねないリスクのある道路形状なども考慮した上で優先順位をつけ、その改善を図る必要があると考えるのですが、いかがでしょうか。

◎春日谷 土木計画調整課長

特定道路以外の区道上の踏切は八十一か所と多数あるため、委員お話しのとおり、踏切を横断するに当たり、リスクが高い道路や視覚障害者の歩行が多い駅周辺や視覚障害者施設の周辺、公共施設の周辺道路など、より効果の高い道路を優先的に整備していく必要があると認識してございます。

◆上川あや

さきの御答弁では、道路と鉄道が交差する鉄道敷地内へのブロック敷設については、その整備や管理の役割分担について結論を待つ必要があるとのことでした。他方、道路と鉄道とが交差をしない踏切手前の区道については、当然区が道路を占用する管理の責任者であるわけです。であるならば、このたび、踏切手前のゴムチップ舗装、カラー舗装等、区で整備するべき仕様は定められたのですから、ただ手をこまねいて踏切内部の役割分担の結論を待つまでもなく、踏切手前部については早速準備を進め、順次改めていくべきと考えるのですけれども、いかがでしょうか。

◎春日谷 土木計画調整課長

踏切手前の整備につきましては、例えば踏切と平行に走る側道などがあり、踏切手前に歩行者滞留空間がなく、物理的にゴムチップや視覚障害者誘導用ブロックが設置できない箇所もございます。鉄道管理者との協議と並行して、まずは現状がどのようになっているかなどの調査を進め、先ほどお答えしましたとおり、整備の優先度を検討し改善してまいります。

◆上川あや

ぜひお願いいたします。

最後に、国が新たに改定したガイドラインと、区の施設整備マニュアルとの間にも整合を図っていただかなければならないと考えるのですけれども、いかがでしょうか。

◎青木 都市デザイン課長

国が策定している道路の移動等円滑化に関するガイドラインは、令和四年六月に改定され、踏切道での安全対策が盛り込まれておりましたが、国において、昨年、視覚障害者の誘導方法に関する実証実験を行うとともに、視覚障害者団体や学識経験者等で構成するワーキンググループでの議論を踏まえて、本年一月にガイドラインが改訂されました。
ガイドラインには、先ほど土木計画調整課長より答弁させていただいた改定内容とともに、歩道等がない、または有効幅員が狭い場合の踏切道での対策のコラムが記載されております。
一方、区では、現在、東京都福祉のまちづくり条例の施設整備マニュアルが昨年十月に改定されたことに伴い、ユニバーサルデザイン推進条例の施設整備マニュアルの改定作業を進めております。四月の改定に向けて、印刷製本作業を行っていたところでございますが、国のガイドラインの内容が反映できるよう、適切に対応してまいります。

◆上川あや

ありがとうございます。

おととし四月、奈良県大和郡山市で目の不自由な女性が踏切内で電車と接触して死亡した事故も、その前年の八月、静岡県三島市で目の不自由な男性が踏切内で電車と接触し亡くなった事故も、踏切内に自分がいると気づけなかった可能性が指摘されております。
ぜひ数年計画でなどと時間をかけずに、速やかに道路管理者の立場で責任のある是正を進めていただくよう改めて求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。