昨年2月の1定に引き続き、障害者日常生活用具給付事業の給付基準額について伺います。

直腸がん、膀胱がん等の後遺障害で、腹部に排せつ口を開けたオストメイトの方々の装具の給付基準額が約30年間据え置かれてきた問題について1年前、見直しを求めました。
当時、世田谷区のひと月当たりの基準額は他の21区と同じ消化器系8858円、尿路系1万1630円で、全国約半数の自治体と全く同額の横並び。その額は国の補装具とされた当時とほぼ変わらず、制度運用の硬直性は明らかでした。
一方、日本オストミー協会が2021年に行った全国調査によると、従来の給付基準額では「間に合っていない」との回答が83.8%を占め圧倒的。不足額の平均は月3920円に達しています。
ところが昨年10月、区が付け足した月額は消化器系で152円、尿路系で201円と微々たる付け焼刃。当事者負担の増大に全く追いついておりません。
加えて一昨年から昨年にかけ、大半のストーマ装具メーカーが関連用品を値上げしており、自己負担額の増大は益々深刻になっています。ところが来年度予算案にも、同基準額の引き上げはないままです。
そこでまず問いますが、区は当事者の自己負担の現状と度重なる増大を、一体どうお考えなのですか? 切実な問題だと考えないのでしょうか?

実態に即した基準額見直しを求めた私の質問に区は昨年、次のように答弁されました。
「ストーマ装具のように消耗品に分類される日常生活用具では、使用状況を考慮した基準額の設定が必要と考えられますので、今後、実態把握に向けて、当事者やストーマ業者へのアンケートの実施等を含め検討し、障害者日常生活用具の給付が、障害者の円滑な日常生活につながるよう取り組んでまいります。」
ところがこのご答弁通りに調査がされたのかといえば、さにあらず。
当事者アンケートは行わず、ストーマ事業者数社に問い合わせをされただけ。
新宿区では、当事者実態を把握する調査が既に一昨年度実施され、その結果、同区は昨年4月より消化器系、尿路系ともにその給付基準額を月1万3000円へと大幅増額させています。
当区は当事者アンケートを行っていない理由について、意味あるアンケートになるような設問を検討しきれなかった説明されましたが納得できません。
それらは区の不首尾ではないのですか?また今後も当事者のご苦労、ご希望を知るための実態把握、調査等はされないのでしょうか?

ストーマ事業者に対しては情報収集されたとのことですが、区内の給付対象者を網羅でき、不足額の実態は把握できたでしょうか? ぜひその額についてもご報告ください。

こちらも整理が追い付かず、大変心もとないご答弁ですが、日本オストミー協会の全国調査の結果からも、区内当事者団体のお困りの声からも現状の基準額では足りないことは明らか。改善の必要性は区も同認識であるのか、再確認します。

同認識であるならば、それを埋める努力をするべきです。
オストミー協会東京支部から頂いた情報では、今年度の新宿区に続き、港区でも来年度、消化器系、月1万3000円、尿路系、月1万5000への大幅増額で予算案が準備されているとのこと。また足立区と千代田区の新年度予算案にも基準額の増額は織り込まれている模様です。 
ところが本区の予算案に同基準額の増額はないままです。
その理由を所管課に問うと、大変種類の多いオストメイトの関連装具を一定の標準化した算定式に当てはめようと試みたがうまく行かなかったと。こちらも不首尾を理由に上げました。
こういうことでは本当に困ります。
ほぼ同じ対象物品について他区では基準額増額が認められ、その改善が進む中、当区はどう自らの機能不全を改めるのか? この先の予算要求への決意も含め伺います。