◆上川あや
昨年2月の1定に引き続き、障害者日常生活用具給付事業の給付基準額について伺います。
直腸がん、膀胱がん等の後遺障害で腹部に排せつ口を空けたオストメイトの方々の装具の給付基準額が約三十年間据え置かれてきた問題について、一年前に見直しを求めました。当時、世田谷区の一か月当たりの基準額は、他の二十一区と同じ消化器系八千八百五十八円、尿路系一万千六百三十円で、全国約半数の自治体と全く同額の横並び、その額は国の補装具だった当時とほぼ変わらず、制度運用の硬直性は明らかでした。
一方、当事者団体である日本オストミー協会が二〇二一年に行った全国調査によりますと、従来の給付基準額では間に合っていないとの回答が八三・八%と圧倒的多数、不足額の平均は月三千九百二十円に達しています。
ところが、昨年十月、区が付け足した月額は消化器系で百五十二円、尿路系で二百一円と微々たる付け焼き刃です。当事者負担の増大に全く追いついておりません。加えて一昨年から昨年にかけ、大半のストーマ装具メーカーが関連物品を値上げしており、自己負担額の増大はますます深刻となっています。ところが、来年度予算案には、同基準額の引上げはないままです。そこでまず問いますが、区は当事者の自己負担額の現状と度重なるその増大を一体どうお考えなのでしょうか。切実な問題だとお考えではないのでしょうか。
◎宮川 障害施策推進課長
日常生活給付事業は、障害者総合支援法に定められた事業の一つで、障害のある方の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付する事業であり、各自治体が給付内容や基準額を定めることができます。
ストーマ装具は、消費税非課税の用具と、課税対象の衛生用品などを組み合わせて使用することが標準的です。ストーマ装具の給付基準額につきましては、消費税分を含め、長い間見直しを行っておらず、令和五年十月より、衛生用品の消費税に相当する額について見直しを行いました。
直腸や膀胱などに機能障害がある方が使用するストーマ装具は日常生活を送る上で必要不可欠です。一般に生涯にわたって使い続けるものです。使用状況は個々で異なるものの、給付基準額を超える分の自己負担は大きな負担になっていると認識をしております。
◆上川あや
実態に即した基準額の引上げを求めた私の質問に、区は昨年次のように御答弁されています。
「ストーマ装具のように消耗品に分類される日常生活用具では、使用状況を考慮した基準額の設定が必要と考えられますので、今後、実態把握に向けて、当事者やストーマ業者へのアンケートの実施等を含め検討し、障害者日常生活用具の給付が、障害者の円滑な日常生活につながるよう取り組んでまいります」、こう御答弁だったんですが、この御答弁どおりに調査がされたのかと言えばさにあらずです。当事者アンケートは行っておりません。ストーマ事業者数社に問合せをされただけだそうです。
新宿区では、当事者の実態を把握する実態調査を行いまして既に一昨年、この調査が実施された結果、昨年四月より消化器系、尿路系ともに、その給付基準額を月一万三千円と大幅増額させました。当区は当事者アンケートを行っていない理由について、意味あるアンケートになるような設問を検討し切れなかったと私に説明されましたが、全く納得できません。
それらは、区の不首尾ではないのでしょうか。また、今後も当事者の御苦労、御希望を知るための実態把握、調査等はされないのでしょうか、伺います。
◎宮川 障害施策推進課長
ストーマ装具を使用する方々の当事者団体からは、給付基準額見直しに関する要望書が届いておりまして、自己負担の状況について、会員アンケートを基にした分析結果などをいただいております。日常生活用具の給付基準額は、必要な機能を備えた標準的な用具を想定した上で、販売価格を踏まえ設定しています。ストーマ装具のように消耗品に分類される用具につきましては、当事者の使用状況を基に、標準的な必要量を想定して基準額を設定する必要があると考えています。
給付基準額の見直しに向けて、令和五年度はストーマ装具事業者からの情報収集を行いました。ストーマ装具の標準的な給付量をどのように設定するか、当事者の意見もお聞きした上で整理する必要があると考えておりまして、今後、当事者の会と意見交換を行えるよう調整してまいります。
◆上川あや
ストーマ事業者に対しては情報収集されたということなんですが、区内の給付対象者を網羅できたのか、また不足額の実態は把握できたのでしょうか。分かっていればその額についても御報告をお願いします。
◎宮川 障害施策推進課長
ストーマ装具事業者数社に御協力いただきまして、必要な装具のタイプ別にモデルケースや参考となる事例を想定した装具使用枚数、ケア用品、衛生用品の内容等について教えていただきました。把握できた額にばらつきがあったことですとか、あるいは装具使用枚数が装具への慣れや、もともとの疾患の状況等によっても異なることが分かりました。新たに見直す給付基準額とすることができなかった状況です。
◆上川あや
こちらも整理が全く追いついておらず、大変心もとない答弁としか言えないと思います。日本オストミー協会の全国調査の結果からも、また区内当事者団体のお困りの声からも、現実の基準額では足りないということは明らかだろうと考えます。改善の必要性は区も同じ認識であるのか、再確認をいたします。
◎宮川 障害施策推進課長
当事者団体の御意見から、現在の区のストーマ装具給付基準額が必ずしも十分でなく、多くの利用者で自己負担があることは認識をしております。
◆上川あや
現状の額で十分ではないとお認めなのであれば、それを埋める努力をするべきです。
オストミー協会東京支部からいただいた情報ですと、今年度の新宿区の改善に続き、港区でも来年度、消化器系月一万三千円、尿路系、新宿区を上回る月一万五千円の大幅増額で予算が準備されているということです。また、同じく足立区と千代田区の新年度予算案にも基準額の増額は織り込まれている様子です。ところが、本区の予算案に同基準額の増額はないままです。その理由を所管課に問いますと、大変種類の多いオストメイトの関連装具を一定の標準化した算定式に当てはめようと試みたが、うまくいかなかったと、こちらも不首尾を理由に挙げました。こういうことでは大変に困るんですね。同じ物品について、他区では基準額が次々認められて増額されて、その改善が進む中、どう区はその機能不全を改めるのか、この先の決意も含めて伺います。
◎宮川 障害施策推進課長
日常的生活用具の給付内容や基準額につきましては、総合支所の保健福祉課や区立保健センターが参加する検討会を毎年夏頃に行い、定期的に見直しを行っており、令和六年四月からは六項目の見直しを行う予定です。ストーマ装具の給付基準額については、標準的な必要量等の考え方について十分整理できておらず、令和六年度予算には計上していない状況です。今後、ストーマ装具を使う当事者の会からの意見を大切にしながら、販売価格の動向や他自治体での給付状況等についても把握し、日常生活用具の……。