◆上川あや

区の外郭団体、産業振興公社が提供するセラ・サービスについて伺います。

セラ・サービスは現在、約八千人の会員数を数え、主として区内中小企業の勤労者会員とその御家族に、様々な福利厚生サービスを提供しています。ところが、かつて、このサービスでいう登録家族に、事実婚の男女は含まれても同性パートナーは含まれず、毎月同額の会費を払うのに平等な家族向けサービスはないという状況でした。
そこで、私からも改善を求め、区が性自認、性的指向への差別を禁じる多様性尊重条例を成立させた二〇一八年の春以降、産業振興公社も配偶者の規定を改正し、同性パートナーへのサービス提供を配偶者、事実婚と平等にしたと、区からは報告を受けてまいりました。以上の説明に誤りはないでしょうか。

◎髙井 商業課長

平成三十年四月に施行されました世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例に規定されております、多様性を認め合い人権を尊重するという趣旨の下、セラ・サービスの利用対象者につきましても同性パートナーは含めることを、区から要請したところでございます。この要請を受けまして、世田谷区産業振興公社では、平成三十年十月に中小企業勤労者福祉事業に関する規則を改正いたしまして、サービスの利用対象者について同性パートナーを含むことに変更いたしております。

◆上川あや

ところが、ここに来て、区の説明を覆すおかしな事態ばかりが目につきます。今年度、セラ・サービスは、そのサービスの多くをベネフィット・ワンという民間会社提供のものに振り替えました。その結果、事実婚と同性カップルには使えないサービスの案内ばかりとなりました。

私が今、手にしているのは、セラ・サービス会員に配られた令和五年度の保存版、セラ・サービス事業申込の手引きというものです。ここでは「ベネフィット・ステーションを使ってみよう」という見出しに続けて、「ご利用いただけるのは、会員から二親等以内の家族です」と、冒頭からくぎが刺されております。その下には御丁寧に家系図のイラストまでありまして、会員本人の相手方の該当者は、配偶者とその両親、その祖父母、その兄弟姉妹及びその配偶者までと明確です。
その先のページを進めますと、ベネフィット・ステーションから申込みサービスが盛りだくさんに列挙されているんですが、その一から八までのサービスのうち、四のゴルフ場を除く七つのサービスで、一つ一つ、利用範囲は会員から二親等以内の家族と限定的に書かれています。さらに、リンク先のベネフィット・ステーションの会員規約を確認しました。すると、第四条、会員サービスの対象者の範囲は原則として、個人会員本人、その配偶者及びそれぞれの二親等以内の親族と明記があります。
区はそれでも、セラ・サービスの会員はベネフィット・ステーション規約の例外で、事実婚と同性カップルもそれらサービスは使えると私に説明をされましたが、事実でしょうか。改めて、公のこの場で確認をいたします。

◎髙井 商業課長

ベネフィット・ステーションでございますけれども、配偶者ですとか親族の定義につきましては、委託元の利用対象者の規定に基づいてサービスを提供するということになっております。
世田谷区産業振興公社では、中小企業勤労者福祉事業に関する規則の規定におきまして、事実婚と同性カップルのパートナーについても配偶者の定義に含めておりますことから、対象者が配偶者及び二親等以内の親族となっているサービスにつきましては、事実婚と同性カップルのパートナーも等しく利用することができるものでございます。

◆上川あや

たとえそれが事実であっても、こう執拗に親族以外を排除する説明の連続では、事実婚や同性カップルの皆さんは、私たちには使えないものだと理解して諦めるのが普通だと考えます。徹底した広報の改善がなければ排除と同じと考えますけれども、改善できるでしょうか。

◎髙井 商業課長

御指摘のとおり、本年四月に発行いたしました冊子の記載が不適切な面がございましたので、六月にセラ・サービスのホームページにおきまして、事実婚や同性カップルもサービスの利用対象である旨を追記いたしまして、一部改善を図ったところでございます。しかしながら、これだけでは区としても不十分な点があると考えておりますので、公社に対しまして改めてホームページ、案内冊子等を含めて点検を行い、利用者に分かりやすく是正をするよう求めてまいります。

◆上川あや

問題は、それだけではありません。セラ・サービスに直接申し込む事業にも問題があると思います。
例えば、セラ・サービスの会員は、世田谷区民健康村への宿泊が一泊当たり千円割引されるというサービスがあります。ところが、セラ・サービスのこちらの冊子にも、また、そのホームページにも「宿泊利用泊数:会員から二親等以内の家族について一会員延べ六泊まで」と明記をされております。つまり、ここでも事実婚の方も同性パートナーも、はっきりと排除されています。同様に、現在申込み受付中の特別宿泊プラン、ホテル一宮シーサイドオーツカの説明でも、利用対象は会員と二親等以内の親族と明記があります。
ここで伺いますが、今お話をしました二つのサービスで、やはり事実婚と同性パートナーは排除なのでしょうか。確認いたします。

◎髙井 商業課長

この二つのサービスにつきましては、セラ・サービスに直接申し込んでいただくものでございます。利用対象者は、産業振興公社の中小企業勤労者福祉事業に関する規則に規定されているものとなります。したがいまして、事実婚と同性カップルのパートナーにつきましても、等しく利用することができるものでございます。

◆上川あや

等しく割引があるのなら、なぜそうと分かる案内が書けないのでしょうか。この記載はうそだと思います。区の外郭団体で、なぜこうしたことがそこかしこで起きるのか、説明を求めます。

◎髙井 商業課長

全ての利用者にとって分かりやすく正確な内容を親切に案内していくという、サービスの提供者としての基本姿勢が欠けていたという面があると考えております。世田谷区産業振興公社の運営を補助金などによって支える立場にある区としましても、指導が不十分であったということは反省いたしております。

◆上川あや

今後は、このようなことがないように継続的な点検と指導を求めますけれども、いかがでしょう。

◎髙井 商業課長

サービスの提供者としての意識を根底から見直して、会員及びその他の利用者に寄り添った運営を責任を持って徹底するよう、産業振興公社に強く求めてまいります。その上で問題点の把握、指導により、再発防止に努めてまいります。

◆上川あや

セラ・サービスの案内は隔月で編集、発行されていると思いますので、来年度などと言わずに、誤りは誤りとして速やかに周知をしてください。
また、参考までに、類似の事業を提供している東京都の外郭団体、人材支援事業団の事業案内を当事者の都の職員の方からお借りしました。すると、こちらでは本文の一ページ目から、会員本人とパートナーシップ関係にある方、つまり同性パートナーの方も使えるということが明記をされていて、個別のサービスにもそのような明記があります。
こういうふうにしっかり改めるように改めて求めて、私の質疑を終わります。