次に1年前の予特に引き続き、区が文化・芸術振興計画で掲げた理念にそぐわない区立美術館、区立文学館の入館料設定について伺います。
区の文化・芸術振興計画は、政策目標2の中で、「年齢、国籍、障害の有無、また経済的状況にかかわらず、区民の誰もが文化・芸術に触れ、鑑賞、体験、参加し、親しむ環境を整えます」と謳います。
ならば、もともと美術館も含めた法規定、博物館法は、無料観覧を原則とするのですから、区立美術館や区立文学館で、なにも生活保護受給者からまで入館料を取る必要もないのではないですか?——と問いました。
すると、区は、「生活保護受給者の美術館、文学館の無料観覧につきましては、議論を深めていくべき課題」との認識を示した上で「他の自治体の事例も踏まえ、庁内関係所管と協議しながら検討してまいります」とご答弁された。
そのご答弁の10か月後となるこの1月、ご答弁後の進捗状況を確認すると、所管課からは、
○歳入への影響を考慮する必要がある
○受付・確認をどのように行っていくかなど一定の配慮を要する
と2つの課題を前置きしたうえで「実施自治体への調査を行うなど検討を進めている」との回答が示されたのですが、私はこれを見て、決して前向きではないのかな?との印象を拭えませんでした。
そこで、私自身も議論の材料を増やそうと、議会事務局を介して、先行自治体の状況を調査したところ、所管課が挙げた2つの課題は、全く問題にはならないのではないかと感じました。
私が調査対象としたのは
●北海道立の5つの美術館を含めた8つの施設
●石川県立の美術館・博物館など3つの施設。
●山口県立の美術館、2施設。
●最後に、茨城県立の美術館、博物館など5施設
のいずれも生活保護受給者からは入館料を取らず、またその多くが常設展のみならず、企画展も無料とする18の施設です。
区が課題として挙げた、受付・確認方法は全施設、「生活保護受給者証」との回答でシンプルです。
また、生活保護受給者の無料観覧の実績は、最も多いところで11名。歳入に与える影響は、ゼロという施設が多く、最多の施設でも影響は軽微としか思えませんでした。
「無料化に関し、課題となっている点などありますか?」とした問いにも、「特になし」の記述か、空欄での返答しかありません。
つまり、生活保護受給者に対する観覧無料化に際し何ら具体的な課題は拾えませんでした。
さて、区も既に同様の調査をされているものと思いますが、生活保護受給者の観覧料無料化に向け、前進を阻む壁などあるでしょうか?
壁があるとすれば、従前からの対応を変えることへの区や財団担当者の抵抗感、心の壁ではないのかな?とも考えるのですが、いかがでしょうか?
また、今後、取り組むお積りがあるのか、またどう取り組むかも含め、見解を伺います。
区の「文化・芸術振興計画」は、「誰もが、文化芸術を見直に鑑賞・体験ができる機会の充実」という見出しのもと で「年齢、国籍、障害の有無、また、経済的状況にかかわらず、誰もが文化・芸術に触れ親しむことができるよう、アウトリーチ活動を積極的に行います」とも書いていますが、無料プログラムはこちらから行くから、有料観覧施設には来てくれるな、ということでは困ります。 ぜひ改善してください。