◆上川あや

次に、一年前の予特に引き続き、区が文化・芸術振興計画で掲げた理念にそぐわない区立美術館、区立文学館の入館料設定について伺います。

区の文化・振興計画は、施策目標二の中で、年齢、国籍、障害の有無、また、経済的状況にかかわらず、区民の誰もが文化芸術に触れ、鑑賞、体験、参加し、親しむ環境を整えますとうたいます。ならば、もともと美術館も含めた法規定、博物館法は無料観覧を原則とするのですから、区立美術館や区立文学館で何も生活保護受給者から入館料を取る必要もないのではないですかと問いました。
すると区は、生活保護受給者の美術館、文学館の無料観覧につきましては議論を深めていくべき課題との認識を示した上で、他の自治体の先例、事例も踏まえ、庁内関係所管と協議しながら検討してまいりますと御答弁になりました。
その答弁の十か月後、この一月に、御答弁後の進捗状況を確認しますと、所管課からは、歳入の影響を考慮する必要がある、受付、確認をどのように行っていくかなど一定の配慮を要すると二つの課題が前置きされた上で、実施自治体への調査を行うなど検討を進めているとの回答が示されたのですが、私はこれを見て、決して前向きではないのではないのかなという印象を拭えませんでした。

そこで、私自身も議論の材料を増やそうと、議会事務局を介して先行自治体の状況を調査したところ、所管課が掲げた二つの課題は全く問題にならないのではないかと感じております。
私が調査対象としたのは、北海道立の五つの美術館を含めた八施設、石川県立の美術館、博物館など三施設、山口県立の美術館二施設、最後に茨城県立の美術館、博物館などの五施設の、いずれも生活保護受給者からは入館料を取らない、また、その多くが常設展のみならず企画展も無料にしている十八の施設です。

区が課題として挙げた受付・確認方法は、全ての施設が生活保護受給者証という回答です。
また、生活保護受給者の無料観覧の実績は、最も多いところで十一名しかありませんでした。歳入に与える影響はゼロという施設が多く、最多の施設でもその影響は軽微です。無料化に関し課題となっている点などありますかと突っ込んだ質問にも、特になしの回答か空欄での返答しかありませんでした。つまり、生活保護受給者に対する観覧無料化に際し、何ら具体的な課題は拾えなかったんです。

さて、区も既に同様の調査をされているものと思いますけれども、生活保護受給者の観覧料無料化に向け、前進を阻む壁などあるのでしょうか。壁があるとすれば、従前からの対応を変えることへの区や文化財団担当者の抵抗感、心の壁ではないのかなと私は考えているんですがいかがでしょう。また、今後、取り組むおつもりがあるのかどうか、また、どう取り組むかも含めて見解を伺います。

◎松田 文化・国際課長

区では、文化・芸術振興計画(調整計画)において、年齢、国籍、障害の有無、経済状況にかかわらず、身近なところで文化芸術に触れ、親しむことができる機会の充実に取り組むこととしております。具体的な取組として、美術館や文学館の収蔵品を安価で楽しめる常設展を年間を通じて開催しており、開館記念日や敬老の日、小中学生の土日、夏休み期間は無料観覧を実施しております。また、美術館では展覧会の魅力を紹介する動画の公開、文学館では収蔵品の一部をインターネットの上で公開するなど、多様な手法により、誰もが文化芸術を身近に鑑賞、体験できる環境づくりに努めているところです。
生活保護受給者の美術館、文学館の無料観覧については、窓口等での対象者の受付・確認方法に一定の配慮が必要であるなど課題もございますので、関係所管との協議を重ね、引き続き検討を進めるとともに、生活保護受給者も含め全ての方が気軽に文化芸術に親しんでいけるよう、無料観覧日の拡充なども併せて検討してまいります。

◆上川あや

引き続き検討ということなんですけれども、しっかりこの検討の結果を出してください。そんなに大きな問題なくほかの自治体はしていることですので、ぜひ改善いただくように重ねて申し上げまして、私の質疑を終わります。