◆上川あや

初めに、地域行政推進条例について伺います。

課題の第一は、区が条例案第六条に規定する広報広聴機能の充実をいかに機能させるのか、具体的なルールが何ら見えないことについてです。第六条では、「まちづくりセンターは、情報通信技術等の多様な手段を用いて、地区におけるまちづくりに係る情報の区民への発信及び区民との情報の共有を図るとともに、区民との対話により地区における多様な意見を把握し、これを生かしてまちづくりの促進及び行政サービスの充実を図るものとする。」と規定しています。

一方、区では従前より、区に寄せられた様々な住民の声を区民の声取扱要領のルールに基づき、迅速、的確に記録し、管理してきました。区民の声取扱要領では、区に寄せられた区民の声が区民の声システムにより一元管理されています。基本、お声を寄せられた区民の方の住所、氏名が明らかで回答を求める内容ならば区民の声システムに記録され、原則四開庁日以内で回答します。
また、所管課からの回答は広報広聴課で進行管理され、区長等に情報共有された後、区民に公表し、データは五年間保存されるというすばらしいルールです。しかし、その適用対象は受付施設や連絡手段が限定されており、本庁舎、あるいは総合支所に直接申立者が来たもの、そのいずれかに電話、ファクスで来たもの、一般の封書やはがきで来たもの、出張所やまちづくりセンター、図書館等で配布している区長へのハガキで来たもの、区のホームページ等を介した区長へのメールで来たものに限定されています。

このため、条例案第六条の情報通信技術等の多様な手段の活用も同要領規定の想定外。合致しないままとなっています。また、区が議会に示した地域行政推進計画案から取組の具体的な方向性を見ても、まず区が区民生活を包括的に支援する拠点と位置づけるまちづくりセンターが実態として区民の声取扱要領の対象外となっています。昨年度の受付実績も二十八のまちづくりセンターでたった一件と機能していないことは明らかです。

また、そこでいただく御相談等を映像システムで本庁、総合支所へとつなぐ区の重点取組、オンライン相談も映像システムが同要領の規定にはない想定外。オンラインやSNS等を活用した意見交換の実施も、またしかりというないない尽くしとなっています。
このような状況である以上、区民の声取扱要領の適用対象を条例施行に合わせバージョンアップ、拡大させるか、それに準じた記録、保存、回答と共有、区民公開のルールが別途必要なはずですが、そのいずれもが現状見当たらないのです。これでは、いただいた意見、要望、提案がどう記録、保存、回答、共有、公開されるのか分からず、ややもすると単なるガス抜きの場を増やすことにしかつながらないのではと危惧します。
このため、さきの委員会でも私より、これら条例案六条で規定する広聴手法の充実について、区民の声取扱要領並みの明確な対応サイクルが明文化されるべきだと求めましたが、想定外の質問に戸惑われた御様子で、納得に至る御答弁はいただけませんでした。
この点、全体として対応サイクルをどのように明確化させるのか、ぜひ所管のまたがる課題として副区長より御答弁いただければと思います。

さきの特別委員会では、私よりもう一点、新条例と区の行政手続条例との関わりについても指摘をいたしました。
区は、地域行政推進条例案の第四条、基本方針(1)の規定で、今後まちづくりセンターが区民生活を包括的に支援する行政拠点として多様な相談及び手続に対する窓口を担う点を明確にしたと説明をしてきました。その変化と行政手続条例第五条の規定は両立するのでしょうか。

行政手続条例の第五条第一項及び第二項は、審査機関に申請者に対して許認可等をするかどうかの判断基準をあらかじめ定め、その基準はできるだけ具体的でなければならないとし、続く第三項では、特別の支障があるときを除き、審査基準は申請の提出先とされている事務所における備付け、その他の適当な方法により公にしておかなければならないと定めています。
この審査基準は、区の例規類集にある条例や規則、区の要綱集にある要綱のレベルだけではないはずです。現実には庁内でも、本庁の担当職員数人しか承知していない手元マニュアル等が数多くある中で、二十八か所のまちづくりセンターで行政手続条例が規定する事務所における備付け、その他の適当な方法により公にしておくことが実現できるのか疑問です。
この点もさきの委員会で質問しましたが、やはり答えに窮した御様子で不安が残ったというのが正直なところです。ここでも、条例規定にある逃げ口上、特別な支障があるときに該当し、示せないといったことにならないよう、対応力の強化、整備を求め、区の見解を問います。

◎岩本 副区長

私からは、地域行政推進条例について、条例に規定する新たな広聴の手法についても区民の声取扱要領並みの明確な対応がされるべきとの御指摘についてです。

まちづくりセンターでは、現在、区民の方から様々な意見をいただいており、担当するまちづくりに関する意見については、その都度回答し、他の業務に関する意見については地域振興課に報告し、区民の声取扱要領に基づき受付、管理することとしておりますが、実績は少ない状況です。
令和元年度に実施した地域行政に関する車座集会では、その場で回答したものを除き、回答を保留したものやアンケートなどで寄せられた意見については、各総合支所地域振興課、または広報広聴課が区民の声として取扱要領に基づき対応を行っております。
福祉の相談窓口や四者連携による課題対応、地区アセスメントの実施やオンラインなどによる区民との意見交換会の開催、総合支所におけるタウンミーティングの実施など、条例などに基づく取組を進めることで、地区、地域において区民からいただく意見や提案等が増えることが想定されます。

また、区長へのメールには、日々、数十件のメールが寄せられており、区長と各所管が共同して、原則四開庁日以内で回答を返しております。これらのことを踏まえ、より的確かつ迅速に対応する必要があると認識し、まちづくりセンターにおける区民の意見の取扱いについては改めて確認、徹底を図るとともに、福祉の相談窓口における四者連携相談記録簿の活用を徹底してまいります。

また、オンラインでの意見交換や映像システムでの相談など、新たな仕組みでまちづくりセンターに寄せられた意見については、区民の声として区民の声取扱要領にのっとり取り扱うもの、まちづくりに関わる意見として、まちづくりセンターで受け、回答、記録管理するもの、それぞれについてモデル実施等を踏まえ、検討し、必要なルールの整備を図ってまいります。

◎舟波 地域行政部長

私からは、まちづくりセンターにおける相談手続の対応と行政手続条例との関係、対応力の強化について御答弁申し上げます。

行政サービスの充実強化に向けまして、まちづくりセンターと総合支所や本庁を映像システムでつなぐ仕組みを導入し、総合支所や本庁の窓口まで出向くことなく相談や手続を行うことを目指してまいります。令和六年度の全地区での実施に向けまして、まずはモデル地区において総合支所の保健福祉四課とつなぎ、相談をお受けするとともに、区から送付した書類と手続方法を御案内することから始め、申請などの手続につきましては課題を整理しながら段階的に実施する予定でございます。
申請などの手続を行う際の運用として、区民への説明を含む対応全般は担当所管の職員が画面越しに行うことから、行政手続条例における申請者と行政庁との関係にまちづくりセンターが介在することはないものと考えております。
しかしながら、申請をお受けする担当所管とは物理的に離れている状況であることから、担当所管が画面を通しても分かりやすい説明資料の作成や説明方法の工夫を行うとともに、まちづくりセンターのプリンターに関係書類を出力して提供するなど、丁寧な情報提供と説明が行えるよう、まちづくりセンターによる支援についても具体的に検討し、対応してまいります。以上でございます。

◆上川あや

地域行政推進条例に関して、二点再質問いたします。

まず、まちづくりセンターにいただいた御意見も区民の声取扱要領で受け付け、管理しているという御答弁だったんですが、広報広聴に確認したところ昨年度の受付実績はたった一件、二十八か所のセンターで、一件です。これでは管理しているなどとは到底言えないはずですが、いかがでしょうか。また、改善されるおつもりがあるかどうか。

また、二点目です。区がおっしゃった四者連携では連携相談記録簿の活用を徹底するという御答弁だったんですが、同記録簿は単に記録をするだけで対処の進捗管理もないと確認しております。その点も改善される見通しがあるのかどうかをお伺いいたします。

◎舟波 地域行政部長

再質問にお答えいたします。

まず、まちづくりセンターにいただいた御意見につきまして、区民の声による受付実績が一件であったことについてどう改善されるのかということについてでございます。
現在のまちづくりセンターの窓口での対応につきましては、質問や問合せなど、その場で必要な情報を区民にお返しする場合ですとか、あるいは内容を聞き取りさせていただいて担当所管につないで解決を図るケースが多いと認識してございます。ただ、改めまして、まちづくりセンターに寄せられた意見の対応ルールでございますけれども、これにつきましては総合支所地域振興課と連携して確認をしまして、運用の徹底を図ってまいりたいと考えております。

もう一つ、再質問でございますが、四者連携の連携相談記録簿の活用、特に進捗管理がされていないのではないかということに対する改善の御質問でございます。
現在の三者連携の相談記録簿につきましては、まちづくりセンターでの地区の三者がそれぞれ受けた相談等につきまして、他所管につないだ事例等を中心にその内容を共有いたしまして、課題の確認ですとか、あるいは解決に向けた検討を行う資料として使用してございます。
今後につきましては、児童館を含めた四者連携会議で、他所管につないだ事例等の対応状況ですとか、あるいは結果をしっかりと共有する仕組みをつくりまして、その上で進捗の状況に応じて関係所管への確認ですとか、あるいは総合支所との解決に向けた調整、それから社会資源の開発等に取り組めるよう、連携相談記録簿のさらなる活用を検討してまいります。以上でございます。

◆上川あや

いただきました御答弁を踏まえて、その賛否を検討したいと思っております。
終わります。