はじめに、「障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例」について伺います。

第一の課題は、条例素案の第3条(基本理念)で区が謳う理念と、同第8条(合理的配慮)で区が求める配慮の内容に齟齬があることです。

第3条(基本理念)は、その(1)で、「区民は障害を理由とする差別に加えて、性別及び性の多様性に由来する複合的な要因により困難な状況に置かれる場合は、その状況に応じた適切な配慮がなされること。」――と性別、及び性の多様性に起因する複合差別等にも適切な配慮がなされるべきことを謳います。私はこの高い見識を評価しています。

ところが、第8条(合理的配慮)の規定案に、性の多様性への言及はありません。
第8条は「障害者等から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合」に、「障害者等と建設的な対話を行い、その実施に伴う負担が過重でないときは」「障害者等の性別、年齢、障害の状態等に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」との義務規定を定めます。

つまり、性については性別にのみ配慮を求め、性の多様性に配慮を求める上では必須であるはずのキーワード、性的指向と性自認を記していません。これでは合理的配慮の対象に性の多様性は含まれず、第3条の規定に反し不適切です。加筆を求めますが如何か、区の見解を問います。

第2に、第11条の(相談対応)についてです。
第11条第1項で、「区は、障害者、その家族 その他関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるものとする。」とありますが、何をもって「的確」とするのか不明です。ここは、お役所目線の「的確」であってはならず、差別を受けた当事者に寄り添う姿勢を明確にし、差別解消の実効性に期待を抱いていただける規定であるべきです。区の見解を問います。

また、都の障害者差別解消条例では、➀障害を理由とした不当な差別的取り扱い、➁合理的配慮の不提供——の双方が相談支援の対象となることが明確です。ところが本区の規定案では「障害を理由とする差別」の相談に応ずると書くだけで「合理的配慮の不提供」も含むかどうかが不明です。両者が対象になると明記するべきです。区の見解を問います。

第3に、同条第2項で区は、障害者差別に関する相談内容に応じて、⑴ 事実の確認及び調査を行うこと。⑵ 相談者に対して必要な助言又は情報提供を行うこと。⑶ 関係機関への通知その他連絡調整を行うこと。——の3点を挙げています。

ところが、それら3つの支援対象が、第2条(定義)でいうところの「区民」、つまり「区内に居所、勤務先 又は通学先がある者」の全体に及ぶのか、また区民が区外で受けた差別も対象になるのか不明です。

区内で起こる「障害者差別」全体の解消を図るなら、当然、第2条で規定する「区民」全体が対象であるべきですし、区民が受けた差別全体の解消を図るなら、区外で受けた差別も排除するべきではありません。この点、区はいかがお考えなのですか? それぞれ第2項に含めるよう含め、区の見解を問います。

この質問の最後に、同項第3号の「関係機関への通知その他連絡調整」も、より具体的で実効性ある規定とするべきです。 ここでいう「通知」とは何を指すのか、また誰に何を連絡し、どう調整するかも不明です。都条例は、この点、都知事による勧告、事業者名の公表など、具体的対応までを規定し、支援の中身が明確です。区も当事者の安心に足る支援の具体策を明記するべきです。区の見解を問います。