◆上川あや

区が区道上に突き出た看板、ひさし等の九六%が無届け、違法と知りながら、その管理責任を半ば放棄していることについて伺います。この質問はもう四回目、いいかげん改めていただけないですか。

事の経緯から振り返ります。区は、二〇一八年六月の一般質問で、私が実態把握を求めるまで区道上に突き出た看板やひさし等の実態調査を怠ってきた。私の議会質問を受け、区は、翌年度初めて目視での一次調査を実施、その結果、区道上に突き出た看板等は六千三百十八件、落下、倒壊のおそれのあるCランクが七件、経年劣化が見られるBランクも六百二十四件あると確認をされた。このうち区で道路占用許可を出していたのは二百七十八件、適法割合は四・四%、裏を返すと実に九六%、六千四十件が違法です。

ところが、この調査結果から二年、区の指導はほとんどありません。区が指導したのは落下、倒壊のおそれがあったCランク七件と、経年劣化が見られたBランクの中でも劣化の激しい底辺の百十五件にとどまります。そのうち改善されたのは半分以下の四十五件です。指導割合は、違法物件の一・九%、改善割合は〇・七%です。
私の最初の議会質問から昨日で三年九か月がたちました。それだけの時間をかけながら、九八%の違法物件は、何ら指導もなく放置、これが適正な規模と内容の道路指導なのでしょうか。
まず確認をいたしますが、特に危険性が疑われた百十五件は言うに及ばず、区に全く無断で区道上に設置された占用物件六千四十件はすべからく違法であり、区として調査、指導するべき対象ではないのですか。いかがですか。

◎髙橋 土木計画調整課長

区では、区道上に突き出した看板やひさしなどにつきまして、令和元年度に目視による調査を行いました。その結果、今、委員お話しのとおり、約六千三百件の突き出し看板等が道路上を占有していることを把握いたしました。
これらの看板のうち約六千件につきましては、現在届出がなく、違反となっている看板等であり、指導すべき対象と認識しております。

◆上川あや

規格に合わない看板等は撤去させ、規格に合うものは道路占用許可を出させ、規定の道路占用料を払っていただき、また、安全点検の報告義務にもつなげていく、そこまでが区の責任であり、仕事であるはずです。この辺はいかがですか。

◎髙橋 土木計画調整課長

御指摘のとおり、不適正な看板等の撤去、基準に適合する看板につきましては、道路占用許可申請を提出させ、占用物件の適正な管理を行っていくことは、区の責務であると認識しております。

◆上川あや

区は前回の質疑で、根拠を持った道路指導には実測調査が不可欠だとしてきました。ところが、実測調査の委託費は今年度予算に九百十万円、来年度予算にも八百万円が予算要求されたのに、二年続けて却下、見送られました。所管課では一気に全区を指導するのは難しいと見て、初年度世田谷、次年度北沢、三年目玉川、四年目に砧と烏山の四か年で実測調査を計画しましたが、調査はそのスタートラインにすら立てずにいます。

そこで、副区長に伺いますが、所管部の予算要求を二年続けて却下して、区はどういうスケジュール感で道路指導を行うのですか。まさか実測調査を放棄して道路指導そのものを放棄することはないと考えますが、計画的に管理するおつもりがあるのかどうか確認を求めます。

◎岩本 副区長

これまでの経緯を確認させていただきました。この間のやり取りで詳細調査の必要性を申し上げながら、予算措置をしていないちぐはぐな対応についておわび申し上げます。

現在、安全第一の考えに立ち、まずはCランク、Bランクの看板を優先して指導に取り組んでおります。劣化状況として、Aランクのものについても、区に未届け、無断で設置された不適法物件のものがございますので、それぞれについて適正化に向け、実測調査を含め必要な調査と指導を今後していく必要がございます。
今後、これまでのような遅滞がないよう、計画的に調査を実施の上、丁寧に是正を指導してまいります。

◆上川あや

今年度実測調査が見送られた所管部では、職員によるサンプル調査を区内二か所の商店街で行いました。これにより、これまで分からなかった違法物件六千件のうち、どれくらいに占用許可が出せそうか、おおよそのイメージがつかめたといいます。サンプル調査の対象は、農大通り商店街と尾山台商栄会の未届け物件二百六十三件です。調査の結果、そもそも道路上に設置が許されない高さや出幅の看板等がその大部分を占め、申請があれば許可できるものは一、二割にとどまったといいます。ところが、ここでも区は違法性を認識しながら指導を見送っています。しかし、この一、二割の許可できる物件だけで、実測調査の費用はもともと賄えるのではないですか。
 
区が現在道路占用を得ている有料物件は、許可件数の約半分、百三十八件にとどまります。非常に少ない物件数ですが、区はこれだけで毎年千六百万円以上の占用料収入を得ています。一次調査で確認をされた違法物件は六千四十件、このうちたった五%を有料化できただけでも単純計算で、区には毎年三千五百万円が入ります。一〇%ならその倍です。実測調査の結果、たとえ許可できる看板等がサンプル調査と同じレベルの一、二割でも数年でペイできることは確実で、零細事業者への減免等を別途検討するにしても、実測調査自体を先送る合理性などないはずです。税外収入の確保をいうならば、こういう実務こそ見直すべきではないのですか。いかがですか。

◎髙橋 土木計画調整課長

目視による実態調査の結果から、是正が必要となる看板等は約六千件あると判明いたしました。
区といたしましては、まずは安全第一の考えの下、修繕が必要なCランク及び点検が必要なBランクを優先して指導することとし、昨年度より指導を実施しております。所有者への指導は、一件当たり複数回の訪問を行うことが必要となり、この二年間で百十五件、延べ約三百回の訪問、指導を実施してきたところでございます。

また、指導に当たりましては、法令を説明し、改修、撤去をお願いしますが、古くからの小規模店舗や所有者も高齢化していることが多く、実際には理解を得ても、費用面などですぐには改善してもらうことは難しく、改善に相当な時間がかかっている状況でございます。こうした状況でございますが、可能な限り迅速に対処してまいりたいと考えております。

◆上川あや

答弁が全くかみ合っていませんね。

最後に、副区長に伺います。区道上で許されるスペックを守り、毎年道路占用料を払い続ける正直者ばかりがばかを見る道路管理を改めるべきだと思います。実測調査の実施と指導、適正化のスピードアップを改めて求めます。いかがですか。

◎岩本 副区長

適正な管理は重要なものであると認識してございます。実際、時間を要する事情がございますけれども、Aランクに分類されている看板につきましても、早期に道路占用等の手続が適正化されるよう、効果的な調査の在り方を含め、指導の手法等について検討してまいります。

◆上川あや

これ以上の先送りをしないように最後に求めまして、私の質疑を終わります。