はじめに、本来あった谷を埋め、造成された住宅地、「谷埋め盛土宅地」の災害対策について伺います。 この問題での質問は、6回目となります。
 
この夏、熱海市で起きた大規模土石流の原因が、谷の最上流部を不適切に埋めた大規模盛土の崩落という人災であった可能性が高まったことで、いま、「盛土災害」への関心がこれまでになく高まっています。

私がこの問題を初めて取り上げたのは、2008年6月です。
当時より区は、住宅の耐震化率向上を減災対策の重点としていましたが、地盤そのものの脆弱性は見落としてきた、きらいがありました。

そこで、阪神・淡路大震災では、大阪—神戸間の斜面地に発生した地盤変動、200カ所のうち、実に半数以上が「谷埋め盛土」の地すべりであった事実を取り上げ、世田谷区内の地下空間にも、同じく巨大な集水構造である谷はそこかしこに埋まり、谷の水位が高まれば地震時、動くリスクがあることを指摘しました。

その際につかったパネルを改めて示します。
これは、世田谷区南部を含む谷埋め盛土の被害予測図です。

斜面地災害研究の第一人者、京都大学の釜井俊孝教授からデータ提供を受け、作成したもので、97年に都が想定した、「神奈川県境(けんざかい)」 直下での地震時に、起こり得る地盤被害を予測したものです。

左手中央から、右下にくだるのが多摩川です。
左端、中央にポツンと黒く見えるのが「玉川高島屋」で、この場所が二子玉川です。
そこから右(東)に伸びてゆくのが大井町線で、その先、黒く見える市街地が目黒区境の自由が丘です。つまり多摩川以北、自由が丘より西側が、世田谷区の南東部です。
区の面積のおおよそ4分の1が、この図に広く含まれていることがわかります。

地図上の色のついた部分は、すべて谷を埋めた「谷埋め盛土」です。
見ておわかりのとおり、そのほとんどが朱色で示されています。
この朱色は何を意味するのかといいますと、「地震時に変動する可能性が極めて高い谷埋め盛土」です。盛土の中でも最もリスクの高い部類といえるでしょう。

この図では、区内面積の4分の1に満たないエリアに25余りのハイリスクな谷埋め盛土をかぞえることができます。
―—となると、区内全体では、どれくらいの谷埋め盛土があるのかが気になるところですが、都が昨年8月に改訂、公表した「大規模盛土造成地」のマップでは、たった15カ所しかありません。

しかも、それはおととし11月、毎日新聞が朝刊一面で、都が戦前に造成された大規模盛土、都内区部35カ所、世田谷区内の10カ所の掲載を見送り、現地調査すら行っていない事実をスッパ抜き、当区からも開示を求められ、ようやく10増やされた結果です。

加えて都は、昨年8月、同じ毎日新聞の取材に「すでに判明していた戦前造成地以外にも、同様の手法で調べれば、さらに盛土が出てくる可能性がある」と認め、しかも都の公開盛土は面積3000平米 以上の大規模なものに限られています。
都の公表マップがいかに鵜呑みにできないかが、お分かりいただけたのではないでしょうか?

このため、私からはかねてより、都に漏れのない谷埋め盛土の精査と公表、防災区域の指定を求めるのみでなく、区による独自視点での点検、評価の実施と、宅地耐震化への具体的支援を求めてきました。
すると、この春、区は都市整備常任委員会での主要事務事業の説明資料に新たな文言を加えました。
その記述は、たった23文字の次の一言です。

「大規模盛土造成地を対象とする宅地耐震化に関する学識経験者の知見を活用する」——以上です。 これでは区の対応は、海のものとも、山のものとも分かりません。
そこで伺います。

区の担当者に伺うと、既に私が議会質問で何度もお名前を出してきた京都大学の釜井俊孝教授はじめ、複数の学識経験者による検討組織を立ちあげる準備を始めているとのことですが、どのように専門家の知見を取り入れ、対策に活かすのか。
そのステップの説明と併せ、予算の確保に向け区全体として取り組む決意があるのか、
その本気度を問います。