具体的な成果

★若いがん患者への在宅療養支援事業ができました。

 

40歳未満は介護保険の対象外。このため若い末期がん患者の在宅療養は、訪問介護も介護用ベッドのレンタルも自己負担。
その救済をめざした上川の提案で、区に若年末期がん患者の在宅療養費を9割助成する新制度ができました。
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◆上川あや

若年末期がん患者の在宅療養について伺います。

今から五年前、二〇一六年の四定で介護保険が使えない若年末期がん患者の在宅療養支援の検討を区に求めました。介護保険料の支払い義務対象は四十歳以上です。それ未満の方は、たとえ末期がんで、ターミナルケアに入っても介護保険が使えません。この世代は収入も貯蓄も上の世代より少なく、奨学金の償還やまだ小さな子どもの子育てやローンで何かとお金のかかる世代です。

ターミナルケアに入る以前に多くの患者は十分働けず、あるいは退職を余儀なくされ、それでもかさむ治療費に蓄えも底をつきかけています。しかし、残念ながら、ターミナルケアに入っても、本人、御家族は介護保険を使えません。そのため、訪問介護を受けるのも、訪問入浴を利用するのも、本人や介護者を少しでも楽にするベッドや車椅子、ポータブルトイレ等のレンタルを利用するのも全てが自己負担。介護保険利用者の十倍額を毎月払わなければなりません。これを払えなければ、人生の終末期、家族と別れて入院するか、絶え間ない介護を家族で抱え込むかのどちらかです。
患者御本人はもちろん、それを支える御家族もどれだけ悲しく、苦しく、大変な日々でしょうか。
こうした負担を区ではどのように捉えているのでしょうか。また支援が必要だとは考えないのですか。それぞれ見解を伺います。

◎鵜飼 世田谷保健所副所長

区は、思春期及び若年成人世代、いわゆるAYA世代のがん患者は、法制度のはざまの年代で公的支援の機会が少なく、仮に末期がんとなった場合は、患者とその御家族の苦しみは耐え難く、在宅療養を選択した場合の介護負担、経済負担はさらに重いものと認識しております。

そのため、平成二十九年三月に策定した健康せたがやプラン(第二次)後期の中で、思春期、若年成人世代のがん患者に対する支援の検討を新たな施策と位置づけ、がん対策委員会などを通じ検討を行ってまいりました。
引き続き、AYA世代のがん患者の支援につきましては、国や先進自治体の状況、またがん対策推進委員会の意見等も参考に、まずは若年層のがん患者の実態や生活の困り事の把握の方策について検討してまいります。

◆上川あや

健康せたがやプラン後期で新たな施策と位置づけ、がん対策推進委員会などを通し検討を行ってきたという御答弁、うそはないでしょうか。後期プランにたった一行、検討課題に書き加えたことは認めます。しかし、その後の検討は一切行っていない、この事実を本日は問題にしています。

初回の私の質問では、兵庫県が市町村と折半で介護保険と同じサービスを一割負担で利用できる支援策を提供し、横浜市も単費で九割助成を始めたことを紹介し、区にも支援策の検討を求めました。
すると、当時、保健所長から、その日も、先進自治体の実績等も参考にしながら、若年世代のがん患者も住み慣れた場所で安心して過ごすためのターミナルケア支援の方策の検討を重要課題と受け止めまして、健康せたがやプラン後期計画に記し、検討を継続してまいりますと、今と同じ御答弁がありました。

しかし、重要課題であると答弁では言いながら、唯一あった変化は、健康せたがやプラン後期へのたった一行の明記だけ。区からがん対策推進委員会の会議録も取り寄せ、確認しましたが、若年末期患者のターミナルケアについて言及があったのはただ一回、二〇一七年十一月の第九回会議のこの会議だけです。
会議の席上、区からは、今日はとりあえず項目だけお伝えさせていただきたいと思いますという前振りで、今後の検討課題としての紹介のみがありまして、委員は誰一人、発言はありませんでした。それ以降、いずれの会議でもこの議論は一切していないと所管部にも確認をいたしました。以上の指摘に誤りはないでしょうか。

◎鵜飼 世田谷保健所副所長

委員お話しの第九回がん対策推進委員会において、AYA世代のがん患者の在宅支援について協議しましたが、十分とは言えず、その結果については委員御指摘のとおりでございます。

◆上川あや

ですので、それは協議ではなく、単なる項目の紹介です。それ以後の会議についても一切検討していないですよねと確認をしています。
それ以降、区が課題提起をしたのは、他会派から議会で対応を求められたウイッグ等のアピアランスケアについての議論だけ、若年末期がん患者のターミナルケアについては、話も振らず、議論もしていない、違うでしょうか。

◎鵜飼 世田谷保健所副所長

先ほどの委員会以降では、かねて懸案だったがん検診事業の評価の精度管理に関する専門部会の設置やがん相談事業拡充に向けたがん患者ネットワーク会議の設置などを優先課題と捉え、協議してまいりました。
また、令和元年十一月の第十五回委員会においては、がん患者の家族への支援の協議の中で、小児がん等で頭髪を失った子どものかつらのウイッグ等について検討しましたが、AYA世代のがん患者の在宅療養支援の議論まで協議を深めるまでは至りませんでした。

◆上川あや

一回でも議論をしたかどうかを尋ねています。聞いてもいないことをくどくど説明する前に、若年者のターミナルケアについて一切議論したのかどうかを確認しています。一切議論していないのであればイエス。いいえ、議論しましたというならばノー、どちらなのでしょうか。

◎鵜飼 世田谷保健所副所長

若年末期がん患者のターミナルケアの支援についての議論は行っておりませんでした。

◆上川あや

ようやく一切議論をしなかった四年間があることを認めました。

中村副区長に伺います。区が何ら支援策を検討しなかったこの期間に、静岡県、和歌山県、福岡県、鹿児島県が市町村と共同で新たに九割を助成するターミナルケア支援事業を開始し、佐賀県も県の単費で九割助成を開始いたしました。加えて名古屋市、甲府市、浦安市、宇都宮市も市の単費で同種の支援事業を開始しています。
当区の放置、無関心は際立って冷たく見えますが、区民に関わる重要課題であるのは明らかなのですから、区は主体的に支援策を検討すべきではないでしょうか。いかがですか。

◎中村 副区長

御指摘の思春期、若年成人世代のいわゆるAYA世代のがん患者やその家族が、公的制度の支援のはざまになっていて、経済的または精神的な負担軽減や支援の検討について重要課題と受け止めていることに変わりはありません。
この間、本件の検討が滞っていたことについては申し訳ありません。
国や他自治体の動向とともに、区内のAYA世代のがん患者の実態を把握し、議会での御議論をいただきながら、区として可能な支援の方策について検討を急いでまいります。

◆上川あや

この五年、御家族共々苦労された、亡くなられた方はもう戻ってきませんけれども、今日のお約束についてはしっかりと守っていただきまして、早期に温かな支援策につなげていただくよう改めて求めて、私の質疑を終わります。