◆上川あや

区が管理する区道上の区民の頭上に突き出た不法な取付け看板や、ひさし等の管理について伺います。

二〇一八年六月の一般質問で、区が区道上の不法な突き出し看板等について、これまで一度も調査を行ってこなかった事実を指摘し、区に調査と指導を求めました。
これを受け、区は、昨年度、初めて目視による一次調査を実施しています。その結果、区道上空に出ていると思われた看板等は約六千三百件、このうち、落下、倒壊のおそれがあるとされたCランクが七件、経年劣化が見られ点検の必要ありとされたBランクが六百二十四件ありました。

ここでわざわざ区道上空にあると思われたと表現をしたのには理由があります。一次調査は、安全上の観点から目視調査を行い、落下等による危害を及ぼすおそれのある物件を把握し、その設置状況を写真に残すというのがその内容です。実測を伴う詳細調査は二次調査に譲られています。このため、一次調査から指導できるのは、見た目から危険性が疑われる看板等への安全指導、これだけだといいます。

逆に言えば、区が本来行わなければならないほかの多数の行政指導、道路指導、例えば占用許可基準を満たさない看板等への撤去の指導、占用許可基準を満たしていても、未申請のまま放置をされているものに対する申請の指導、さらに、屋外広告物条例の基準に沿った形や大きさの指導等を行うには、詳細調査を含む二次調査が必須となる、不法な占有物件であることを確定させる必要があるということです。このあたりの二次調査の必要性について、改めて説明を求めます。

◎髙橋 土木計画調整課長

建築物から区道に看板を突き出す場合、看板の種類は自家用看板に限られており、看板の下端は歩道上では路面から三・五メートル以上、歩道を有しない道路では四・五メートル以上とし、その出幅は道路端から一メートル以下にするなど、基準を満たす必要があります。このため、基準等を照らし合わせて根拠を持って看板等の所有者等に説明するためには、詳細な調査が必要となります。

◆上川あや

ところが、所管部から二次調査の実施に向けた予算要求は出されますが、これは取り下げられ、今年度予算への計上は見送られたと聞いています。その予算額は幾らで、どういう調査だったのか説明を求めます。

◎髙橋 土木計画調整課長

令和三年度において、突き出し看板等の詳細調査を行うための予算といたしまして、計測調査、折衝、聞き取り、追跡調査などに要する費用、約九百十万円を要求しました。しかしながら、コロナ禍における事務事業見直しの一環として、当該調査の費用を予算要求から取り下げました。

◆上川あや

本件については、昨年の予算質疑でも二度目の質疑をしています。
さきに述べた一次調査で区道上にあると思われた看板等は六千三百件、一方、区が出している占用許可件数はたったの二百七十八件です。率にすれば、たった四・四%です。これは区道上の九六%もの物件が未届けであり、無許可であるということです。当然、区に毎年払われるべき道路占用料の収入もありません。

これで適正管理と言えるのですかと区に尋ねますと、道路指導課長は、御指摘のとおり適正に管理できていないのが現状だと認識しておりますとお認めでした。副区長も、道路所管、建築所管と情報共有しまして、道路占用、屋外広告物の申請手続について適正化に努めてまいりますと御答弁がありました。ところが、それら指導の根拠となるデータをお取りになろうとはなさらない。おかしくないですか。これを今後何年間放置するのでしょうか。

◎髙橋 土木計画調整課長

根拠を持って突き出し看板等の所有者等に説明するためには、詳細な調査が必要であると認識しております。
一方、落下、倒壊のおそれや点検を要する看板等の所有者等に直接お会いする中で、道路上空に看板等を設置する場合は許可基準を満たした上で道路占用許可が必要であること、また、看板の規模によっては屋外広告物の許可も必要であることを知らない方が多くいることが判明いたしました。
そうしたことから、今年度、看板等に対する占用許可手続の必要性などを記載いたしましたリーフレットを作成し、銀行、飲食店チェーン、コンビニエンスストア等、百一社の本社宛てにリーフレットを送付しており、また、区内商店会や建築物安全安心推進協議会でも配布し、看板等に対する占用許可基準の理解と占用手続の促進に取り組んでおります。
まずは、各企業の店舗等を個別に訪問するなど、道路占用や屋外広告物等の法令について説明し、コンプライアンスの遵守を促しながら、占用手続の申請や占用料の確保につながるよう、さらなる取組を進めてまいります。

◆上川あや

昨年質問した時点で、区が占用許可を出していた看板等は二百七十八件でした。区は、この二百七十八件だけで年間千五百三十八万円もの占用料収入を得ていました。
ところが、区道上にはその二十倍以上、六千三百件もの不法な占有物があふれています。少なく見積もってその一割、六百三十件が専用許可基準を満たしたものであり、単なるに未届けであるとしたら、適正に道路指導ができれば、単純計算ですが、区は毎年四千万円以上の占用料収入が得られます。その割合が二割になら八千万円、三割なら一億四千万円の税外収入があります。

コロナ禍で税外収入の積極的な確保を口にしながら、区は、なぜその確保につながる九百十万円の調査費計上を見送るのか、全く理解ができません。二次調査にかかるコストは、区民の頭上に突き出た不法占用物の横行をやめさせる上でも、区に毎年正直に道路占用料を払い続けてくださっている方々への公平性担保の上からも、先延ばしにするべきではないコストであり、それを大きく上回る占用料収入を得るための投資ではないのでしょうか。やはり二次調査は先送りせず実施するべきことを求めます。区の見解を伺います。

◎髙橋 土木計画調整課長

占用基準を満たしていない看板等の所有者等への指導や、また、占用基準を満たしている看板等への占用手続の要請等を行うための詳細調査は行う必要があると認識しております。引き続き必要な調査費の確保のため、関係所管と協議してまいります。
その一方で、区民の安全が第一であり、引き続き危険な看板の所有者等を個別訪問し、粘り強く説明し、回収または撤去が実施されるよう取り組むとともに、まだ当面は先ほどの銀行、飲食店チェーン、コンビニエンスストア等百一社に対し、占用許可手続の申請や占用料の確保につながるよう引き続き取り組んでまいります。

◆上川あや

適切な指導に必要となる二次調査を実施しないのは責任の放棄だと思います。目先のコストに捉われて大きな税外収入をふいにするのも愚行だと思います。しっかりとした賢さを持って当たってください。