区立公園の管理について伺います。

先手、先手で手を打たないとかえってトータルコストが増大しそうな事案を取り上げます。
まずは、パネルをご覧ください。
最初に種明かししますと、この写真は、現在の等々力渓谷公園内の様子です。
ヤシ科の植物、シュロばかりが繁茂している光景ですが、区長はこれを見て、どのようなご感想をお持ちになるでしょう?
このところ、お会いする課長さん方に同じ写真をお見せしているのですが、「今の等々力渓谷なんですよ」とお伝えすると、みなさん一様に驚かれて「東南アジアのよう」などのご感想が次々と聞かれました。

等々力渓谷は区内唯一の都指定の名勝。
緑濃い良好な住宅街を印象付ける区を代表する観光スポットなのですがこの状況です。
等々力渓谷公園内の案内看板には植生に関するものもあり、「等々力渓谷の植生は、武蔵野台地の崖線の潜在自然植生と考えられる」と説明されるのですが、この状況です。

目黒の国立科学博物館附属、自然教育園の資料ではヤシ科のシュロは、もともと中国の亜熱帯地方に生育するもので、日本には平安時代、鐘木(しょうぼく)——鐘を突く木や縄の原料として移入されたと説明されています。つまり武蔵野の自然植生ではないことは明らかです。

加えてシュロは、国立環境研究所の「侵入生物データベース」でも「在来種との競合」が指摘されている要注意種です。

そのようなシュロが、渓谷公園内に繁茂して一部では優占種のようにすらなっています。在来植物への圧迫も懸念されますが、現在、区ではどのように管理してるのか、まずは、ご説明いただければと思います。

部分的に対応しているとおっしゃいますが、適正な管理となっていないから、今があるわけですよね。
いま、ご説明になった等々力渓谷の管理方針でも「基本的考え方」の第一は、「固有の地形、地質、湧水、植生などの要素と その秩序の維持・回復」ですが、現状は同方針から逸脱しつつある。
加えて「在来の植物の生育を阻害するシュロ等については、その密度をコントロールする」とも明記されていますが、適正なレベルでの管理もない。
そういう事なのだと思います。

先ほどご紹介した自然教育園によりますと1965年、園内で観察されたシュロはたった2本でしたが、2010年の調査では2324本、園内の木の2割を占めるまでに増殖し、10年後には倍増することすら予想された。そこで現在では同園でも園路を中心に積極的にシュロを取り除く管理が行われるようになっています。
同園はシュロが増えた原因を、温暖化で土壌が凍結しなくなったためだしています。
シュロの木は亜熱帯性で、冬の間も光合成を止めず、地面が凍結すれば水を吸い上げられずに枯れた。ところ東京では土壌が凍結せず、成木にまで成長できるようになっている。
成木になれば当然、実が落ち、シュロの周辺密度は増していく。その実を食べたヒヨドリが他の場所で糞をすれば、その場所でも密度は増してゆく。
その繰り返しであるようです。

こうした状況は、「えべっさん」の愛称で知られる兵庫県西宮市の西宮神社の社叢林、2.6ヘクタールでも起きています。
かつてはクスノキの大木で知られてきた森が、2003年の神戸大学大学院の調査では1500本以上のシュロに覆われ、在来種の幼木が育たなくなってきた。このため、同大大学院の森林生態学の専門家、石井弘明准教授を中心にシュロの除去と在来種の植え付けで在来種の森を守る取り組みがすすめられてきた。
宅地に囲まれ「孤立した自然は人の手が入らないと維持できない」というのが石井准教授の見立てだということです。

これらの取り組みと同様に等々力渓谷でもより積極的にシュロを取り除く管理が、本来あるべき植生の回復と、景観の保持に必要ではないのですか? いかがですか?

シュロの繁茂は世田谷線に面した若林の樹林地、峰松(ほうしょう)緑地などでも一部に見られ、他の公園樹林地にも広がりをもつのではないかと危惧しています。
ぜひ、今後の取り組みが「言われた所だけやりました」とならないよう、等々力渓谷以外にも点検、評価を広げていただくことをお願いいたしまして、私の質疑を終わります。