◆上川あや

同性をパートナーとする区民等、多様な家族にフェアな行政対応を求めて伺います。

二〇一五年十一月、本区はお隣渋谷区とともに、全国で初めて同性カップルを公認するパートナーシップ制度をスタートさせました。以来、五年三か月の間に類似のパートナーシップ制度の導入は、大阪、茨城、群馬の三府県、全国二十の政令市中、十六市を含む七十六もの自治体に広がり、そのカバー人口は四千三百万人以上、既に総人口の三分の一を超えるまでになりました。
同制度の導入が増え続ける中で、当区にはない優れた制度設計も生まれています。また、当区とその外郭団体にも、なお同性をパートナーとする御家族等に差別的な制度等は残されています。そこで本日は、それらから四点を取り上げ、改善を求めます。

第一に、同性カップルの元で暮らす子どもも含めた家族としての承認、証明を求めます。
同性カップルの間に出産や子育てはないというのは世間にありがちな誤解であり、事実に反します。子連れで一緒になるカップルは、男女の夫婦と同様、同性カップルにも多くいます。最近ではベビーブームと言われるほどに、第三者による精子提供や生殖医療を利用しての、いわゆる妊活が同性カップルにも増えています。

アメリカ国勢調査局がまとめた二〇一九年の人口動態調査によると、全米の同性カップルの世帯数は百十万組、そのうち一四・七%に十八歳未満の子どもがおりました。昨年十一月、第二庁舎で開かれたパートナーシップ宣誓制度五周年記念のパネル展でも、写真とメッセージを寄せた区内の同性カップル十六組のうち、実に三組が子育てファミリーでした。ところが本区を含め、ほとんどのパートナーシップ制度は成人二人の関係にのみ着目し、そこに暮らす子どもとの関係を証明できる制度設計にはないままです。

こうした中、同性カップルらが育てる子どもとの関係までをも証明する兵庫県明石市の新たな取組が注目され、大いに評価をされています。
昨年十二月、私も日程調整のお手伝いをさせていただいた区長と区内同性カップルとの意見交換会でも、子育て中のカップルから、お子さんの入院時、医療機関でスムーズに保護者として扱われず大変困った体験談を基に、同趣旨での制度改善が求められました。区長もその場で検討を約束されたと記憶しておりますが、議会という区民に開かれた場でも見解をいただければと思います。区の見解を問います。

◎松本 生活文化政策部長

私からは、同性パートナーシップ宣誓制度の充実についてお答えをいたします。

世田谷区パートナーシップ宣誓は、同性カップルの存在を受け止める制度として平成二十七年十一月にスタートし、本年一月末までに百三十五組の同性カップルが宣誓を行いました。また、パートナーシップ宣誓の取組は全国に波及し、七十六の自治体で実施されております。
区では昨年十二月、制度開始から五年が経過したことから、これまで宣誓したカップルの皆さんと区長との意見交換を行いましたが、制度上の課題や御意見を伺う中に、子育て中のカップルの方から、自分たちの関係を家族、ファミリーとして認める仕組みが欲しいとの御要望をいただきました。
また、今月初旬には、東京都の呼びかけにより、都内でパートナーシップ宣誓制度を実施中及び今後実施予定の十五自治体による意見交換会が初めて開催され、宣誓後に転居した場合の対応や子どもを含めた認証制度などの課題の共有を図ったところでございます。
区といたしましては、自治体間の連携や意見交換を図りながら、明石市の例も参考に、ファミリーシップ制度を含めた同性パートナーシップ宣誓制度の充実に向けた検討を進めてまいります。以上でございます。