◆上川あや

次に、罹災証明書発行業務の迅速化について伺います。

私がこの問題を取り上げるのは、昨年三月の質疑以来、一年半ぶりとなります。
二〇一六年の熊本地震では、十六万件に上った罹災証明書の発行に四か月もの時間を要し、その発行が前提となる公的支援の提供まで遅れる事態となりました。その教訓から国は、罹災証明書の発行指針を改定し、一部損壊ならスマホの画像等で判定できる自己判定方式でも可としましたが、当区には対応がないままであることから、前回の質疑となりました。
当時の地域行政部長からは、答弁の冒頭、自己判定方式の有効性をお認めいただいた上で、今後は自己判定方式を導入している他自治体の事例も参考に課題を整理し、東京都をはじめ関係機関との調整を図りつつ、災害対策を担う関係所管と連携しながら、迅速かつ能率的な罹災証明書の発行体制について検討してまいりますとの御答弁をいただきましたが、こちらも一向に進展はないままです。
平時の発行体制の整理さえできない区に、災害時の迅速対応が期待できるとは思えません。罹災証明書の発行は、法律上も遅滞なく行う責務が区にあるのですから、これ以上時間をかけず、速やかな善処を求めます。改善の目途を含め、区の対応方針を問います。

◎清水 地域行政部長

私からは、罹災証明書について御答弁をいたします。

罹災証明書を早期に発行するため、被災者が自ら撮影した写真から判定する自己判定方式を活用することができるように、内閣府において被害認定基準運用指針が改定されています。自己判定方式は、瓦等の落下や窓ガラスの破損等、住家の損害割合が明らかに軽微であり、被災者が一部損壊という調査結果に同意できる場合、調査員による現地調査を行わず、被災者の方が撮影、提出した写真等により被害認定を行います。令和元年台風第十九号のように災害救助法の適用を受けるような大規模災害の場合には、生活再建支援策が追加、変更されることがあることから、前提条件が変わる可能性があり、その結果、同意の形成が難しくなることが課題として挙げられます。
自己判定方式の導入により、被害認定に係る調査人員や交付までの時間短縮につながることが期待されます。今年度中をめどに、自己判定方式に活用できるよう写真の撮り方などの案内を用意し周知することによって、大規模災害時に自己判定方式も取り入れることができるよう進めてまいります。あわせて、災害対策を担う関係所管と連携の上、職員体制や機材の確保も含めた環境整備に努めてまいります。以上です。