次に、新型コロナウイルス感染症対策として、徐々にその掲載項目を増やしてきた感染者情報の公開に関して伺います。

新型コロナウイルスの感染者が確認されると保健所は、感染経路や濃厚接触者の有無などを把握するため、発症前後の行動歴や接触した人の名前、関係性、接触した場所や当時の状況などの調査を行います。こうした情報は感染症法の規定により、個人情報の保護に留意のうえ、感染予防や治療に必要なものについては、新聞、放送、インターネットその他、適切な方法で公表すると定められています。

そしてこの間、身近に感染者が迫ることへの不安から、より詳細な情報公開を求める声や、感染者の行動とその責任を問う声も高まっています。しかし、感染者情報の公開においては人権の擁護が大前提。慎重な対応が求められると考えています。
新型コロナウイルスを巡っては、感染者やその家族、職場や感染経路となった場所を中傷する電話やSNSの投稿がこの間、相次いでいると報じられています。NHKによれば国に寄せられた被害者からの相談は5月までに800件。中には看護師の感染した病院に誹謗中傷の電話やメールが届いたり、感染者が経営に携わる店名の公表に伴い、ツイッター上で「日本から消えて欲しい」などと中傷される事態も起きており、自治体の公表情報に対しても、「住所と名前公表しろよ」「くたばれ」「自業自得」などの投稿が相次いでいるといいます。

こうした中、LGBT、性的マイノリティの当事者の間でも、自身やパートナーの感染をきっかけに、これまで職場や周囲に伏せてきた、日常生活とは異なる戸籍上の性別や、個人の性的指向、同性パートナーの存在が、調査の形で否応なく聞きだされ、不注意に家族や職場に伝えられないか、個人の特定につながる属性ともに開示されないかへの懸念が高まっています。

こうした本人の意に沿わないセクシュアリティの暴露は、今月施行されたパワハラ防止法、またこの春、改訂された区の「ハラスメント防止に関する基本方針」も禁じている、個の情報の暴露、「アウティング」に外ならないはずですが、極めて不用意に感染者ごとの性別、年代、職業、居住地域、さらには、感染者相互の関係性まで明かしている自治体が少なくないことを懸念しています。

自分がいつ誰と会ったのか、どこに行ったか、共に暮らす人はいるか、その関係性は何か――人によっては家族や仕事すら失いかねない非常にセンシティブな情報が、コロナ禍のなか、軽々に取り扱われることのないよう求めます。区の見解を伺います。