★区の「名木百選」、保全策が強化されました。
「名木百選」から30年。
失われた名木もあり、区は新たに選び直しましたが、保全策が無いことこそ問題と上川が指摘。
名木も「保存樹木」に指定し、支援する保全策ができました。
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◆上川あや
名木百選についてまず伺います。
九月三日の都市整備委員会に「世田谷名木百選」再選定の実施状況についてと題した御報告がありました。区では、昭和六十一年度に、世田谷の緑を特徴づけるものとして大木や由緒、伝説のある樹木、樹形の変わったものなどを名木百選として選定、いずれも地域の歴史を今に伝え、緑を愛する心を育む貴重な町の財産として存在してきたと評価した一方で、当初の選定から三十年以上が経過し、樹木の状況も変化していることから再選定するとの御報告でしたが、区の御説明は、数さえ補充できればいいという印象が強く、町の財産としていかに守り、伝えていくべきかという視点がおろそかであると感じました。
今回の質疑に先立ちまして、現況調査の結果もいただきました。区は同委員会で樹木の状況も変化していると御説明になりましたが、平たく言えば、この三十年、無策に放置をしてきたこともあり、既にその多くが失われ、現在、不健全な樹木も少なくないということだと考えております。同調査結果によれば、今回、選定解除となる四十五件のうち、枯死が十八件、健康状態の不良のため除外されるべきものが八件あるということで、指定解除の約六割で樹木の健康状態の悪化がかかわっているとわかります。以上の認識で間違いないでしょうか。
◎山梨 みどり政策課長
世田谷名木百選は、数百年という年輪を刻む大木、由緒、伝説のある樹木、樹形の変わったものなど、地域の人々に親しまれ、育まれてきた名木を記録にとどめることで、緑の保全と緑化推進の啓発を行うことを目的に、昭和六十一年度に百種、百四十八本、四カ所を選定いたしました。
選定から三十年以上経る中で、伐採などにより現存しなくなった樹木や、状態不良等により今回の再選定において選定調査の対象外とした樹木が約三割ございます。委員御指摘のとおり、伐採等の理由の多くは枯死など健康状態にかかわるものと捉えております。
◆上川あや
同委員会の席でも申し上げたことですが、新たに選定をし直すのであれば、今後はぜひ名木の健全性を保ち、守り伝える工夫もあわせて検討するべきだと考えております。
既存の選定樹木、区民等が私有する七十一件のうち、区の既存の制度、保存樹木に指定されているものは四十三件です。残る二十八件については、同制度に基づく樹木医による診断、病気や腐食が発生したときの肥料やりや消毒などの支援制度が行き届く対象とはなっておりません。この点、支援対象もその内容も強化をするべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
◎山梨 みどり政策課長
今回の再選定に当たりましては、昭和六十一年度に選定された名木につきましては、樹形、樹勢等の活力度の調査を実施しまして、極力再選定する方向で検討しております。また、新規選定樹木につきましては、公募により区民の皆様から候補樹木の推薦をしていただき、樹形、樹勢、公開性等の評価を行っており、いずれも世田谷区名木百選選定委員会で選考を実施しております。
委員御指摘の名木の現在の支援につきましては、保存樹木に指定されている名木は、本制度を活用して枝の剪定等の支援を行っており、必要に応じて樹木医の派遣による樹木診断も行っております。一方、保存樹木に指定されていない名木につきましては、保存樹木と同等の移植助成金の交付対象としております。
今回の選定後につきましては、将来にわたって名木を地域の緑として保全していくために、定期的に樹木の状況を把握するとともに、保存樹木制度の活用とあわせて、保存樹木制度に該当しない名木の支援の方策についても検討してまいります。
◆上川あや
もう一点、名木を守り伝えていくためには、教育委員会との連携も大変重要だと考えております。区の文化財保護条例では、登録及び指定の区分に天然記念物も規定がございます。天然記念物を文化財とする基準につきましても、世田谷区文化財登録・指定基準に植物の項の筆頭で名木、巨樹等が挙げられています。ところが、ただの一本もこれまで指定はないまま、名木は失われる一方となってきました。区教委との連携もしっかり強めていただくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
◎山梨 みどり政策課長
委員お話しの区の天然記念物指定につきましては、これまでも文化財所管の呼びかけに応え、関係所管とともに、各課の持つ情報の共有を図ってきております。今回の名木百選の再選定に当たりましても、関係する所管としっかりと情報共有を図りながら進めているところです。今後も関係所管と連携協力のもと、区民の皆様に末永く親しんでいただけるよう、選定された名木の保全に努めてまいります。