◆上川あや

ヘイトスピーチ解消法と国内で初めて民族、国籍・差別を禁止しました男女共同参画と多文化共生を推進する条例に対応した公共施設の適正管理について伺います。

ヘイトスピーチ解消法では、正式名称に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消」とあるとおり、街頭や集会、インターネットなどの場で特定の民族に対し、日本から出て行けと社会から排除したり、危害を加えたり、また、著しく見下したりする言動は許されないと規定しています。同法第四条は、自治体にも地域の実情に応じた施策を講ずるよう求めております。また、同法の成立以前から政府が批准をした人種差別撤廃条約に基づき、自治体も人種差別を後援、援護、支持をしてはならない義務及び人種差別を禁止し終了させる具体的措置をとるべき義務を負うとされています。

日本弁護士連合会が、同法施行の一年後、全都道府県と法務省の自治体聞き取り調査で、ヘイトスピーチを伴うデモが確認された四十六区市を対象に、同法成立を受け、公共施設の使用許可の運用を変更したかどうかを調査したところ、都道府県では、東京、愛知、福岡の三都県で、区市でも新宿、渋谷、横浜、川崎の四区市で使用許可の運用変更が確認をされ、さらに十一団体でも検討中だったとされました。
今御紹介しましたのは二年前の状況で、公共施設を利用したヘイトスピーチを認めない使用許可基準等の変更は、今日、より多くの自治体に広がっていると考えるのですが、当区に対応はないままです。このままでよいのか疑問です。
当区は、昨年、国内で初めて民族・国籍差別を禁止する条例を成立させましたが、むしろヘイトは日常化し、懸念も高まっていると感じます。

当区でも、三月には前世田谷年金事務所長による民族差別的な投稿が炎上、問題化いたしました。
また、六月三十日には下北沢の駅前でも、旭日旗を持ったヘイトスピーチによる団体と思われる街頭活動が行われました。私のもとにも複数の区民の方から御懸念の声、区で何とかとめられないのか等の御相談が寄せられたのですが、区にも同様の要望が寄せられたと承知をしております。
区では、まず、こうした御懸念の声にどう対処していかれるおつもりであるのか伺います。

◎小野 人権・男女共同参画担当課長

委員のお話しのとおり、六月三十日に下北沢駅前で活動団体により街宣が行われていたことは、インターネットにより確認をしております。区長へのメールにも委員御案内のような意見がございました。
区が制定した世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の規定にあるとおり、性別等の違い、または国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる差別をなくしていくことは、区の考え方でございます。
引き続き区民の皆様からの御相談に応じるとともに、必要により関係機関と連携し、不当な差別に対しては粘り強く条例理解を求めてまいります。

◆上川あや

外部に対してはそのようにおっしゃっていただける一方で、区の施設の管理はどうでしょうか。
区の公共施設の共通使用手続に関する条例に基づく利用制限の基準、また、区立公園管理条例の禁止行為の列挙を見ましても、ヘイトスピーチへの言及は一つもありません。同じく法的制限を持つオウムや暴力団の活動に対しては利用制限に言及がある一方で、ヘイトスピーチには何らありません。
当区も無策なまま放置をせず、ヘイトスピーチ解消法、また、当区の多様性尊重の条例の趣旨を踏まえた公共施設の利用の適正化をめぐる基準を整えていくべきと考えるのですが、いかがでしょうか。

◎舟波 地域行政課長

公の施設は住民の福祉を増進する目的で設けられているため、地方自治法第二百四十四条において、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならないとされております。しかし、施設の貸し出しに当たりましては、各施設の条例や規則により、他人に迷惑をかけたり秩序を乱すおそれがある場合などに限り、施設の使用を禁止する制限をかけてございます。
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の推進に関する法律第四条において、地方公共団体は、当該地域の実情に応じた施策を講じるよう努める立場にあり、公の施設の使用の制限につきましても、その要件や具体的な判断基準などが必要になるものと思われます。
今後、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の推進に関する法律並びに世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の趣旨を踏まえつつ、他自治体の先行事例を参考にしながら、公の施設の使用のあり方の検討に取り組んでまいります。

◆上川あや

ぜひ、無策に放棄をしないでください。