◆上川あや

区の災害対策の課題を二つ取り上げます。

一つ目です。多摩川河川敷に暮らすホームレスの方々への避難誘導方法です。
先週の都市整備常任委員会に、先月八日から九日にかけ関東を直撃した台風十五号の被害状況等の報告がありました。
配付資料によりますと、区内に大雨警報、洪水注意報が発令されたのが九月八日の十六時七分、洪水注意報が洪水警報に切りかえられたのが十八時四十七分、そして大雨・洪水警報が解除されたのは翌日、九月九日の七時五十七分です。都合十三時間以上、当区は大雨・洪水警報のただ中にありました。
ところが、区に問いますと、区が今回の台風で区内の多摩川河川敷のホームレスに避難を呼びかけることはありませんでした。当日そこまでの増水はなかったとの御説明でしたが、納得ができません。
お隣、大田区に伺いました。大田区では同じ日、同じ台風で河川敷のホームレスに避難を呼びかけています。大田区の多摩川河川敷に対する避難誘導の基準では、退避を呼びかけるべき水位を確認しているということでした。

こうした当区の対応のおくれ、甘さは今回が初めてではありません。両区の対応の大きな差に、私自身はまたかと思わざるを得ませんでした。今回、初めて決算委員となられた方もいらっしゃるので、これまでの経緯を振り返ります。
私が多摩川河川敷のホームレスの避難誘導を取り上げるのは今回が初めてではありません。
二〇〇八年九月と二〇一五年九月にも多摩川河川敷は濁流にのまれ、私は直後の区議会で区の対応の甘さを厳しく批判しています。そのどちらでも区は多摩川河川敷のホームレスに適切な避難誘導をしませんでした。
二〇〇八年の大出水では、多摩川の上流、小河内観測所で降り始めからの雨量が観測史上最大を記録、多摩川は氾濫危険水位にあと十二センチと迫る大出水でした。
区長は玉川一、三丁目の住民七百四十世帯に避難勧告を出しましたが、真っ先に濁流にのまれた河川敷のホームレスに避難勧告はなく、見殺しとしました。結果、一人が世田谷区内から流され、行方不明のままとなりました。
二〇一五年の出水でも砧支所が避難誘導を始めたのは、多摩川河川敷が水に浸かった午後五時過ぎでした。しかも、あろうことか地元町会から河川敷にホームレスがまだ四人残されていると通報を受け、慌てて対処したものでした。ところが、どちらのケースでも下流の大田区ではきちんと避難誘導ができております。こうした失態が当区で繰り返される原因は、区の避難誘導の判断基準にあるのだと考えます。
まず、現行の避難誘導の判断基準から御説明をいただければと思います。

◎河野 副参事

ホームレスの方に対する避難誘導につきましては、玉川総合支所、砧総合支所でそれぞれマニュアルを整備しております。このマニュアルの中では、小河内ダムの放流や多摩川上流部の大雨、増水した野川の流入等を判断の基準としております。

◆上川あや

小河内ダムの放流の有無という客観的な事実を除いては、担当者の私見、目分量、主観に基づいた判断でしかないと感じます。
一方、大田区の基準は明瞭です。大田区側から見た上流部、田園調布(上)観測所の水位が水防団待機の基準四・五メートルに達すれば、すぐにホームレスに対し避難誘導に当たるのだそうです。ホームレスの暮らす河川敷よりもかなり低い水位での避難誘導です。これでこそ避難を呼びかける時間も退避の時間も確保でき、客観的、合理的な判断基準だと感じます。
災害対策基本法五十条は、市町村長に災害応急対策の実施責任があると明記をしています。同六十条では、区市町村長が必要と認める区域に避難勧告・指示を出す権限を与えています。多摩川河川敷の避難誘導に関しても区に責任が生じることは明白です。当区も、より上流の石原観測所の水位を参考とするなど、より客観的で安全側に寄った判断基準に再設定をし、しっかりとした避難誘導をするように求めますけれども、いかがでしょうか。

◎河野 副参事

委員御案内の大田区の事例は、ホームレスの方の早目の安全を確保する手段として参考になると思われます。避難誘導を行う基準として水位を参考にすることは判断も明確になることから、多摩川沿いの他の自治体の状況を参考に、より客観的な基準の検討を行ってまいります。

◆上川あや

しっかり早速改めてください。