◆上川あや

制服について伺います。

昨年の私の質疑がきっかけとなりまして、この春から全区立中学で制服選択が可能になることを歓迎しております。
また、制服の選択に理由を問わず学校の許可を必要としないという御答弁でしたか、この姿勢も評価をしています。しかし、従来、男女各一種類だった制服の強制が男女とも二種類の強制に変わるだけということでは不十分だと考えています。

そこでまず、基本的なところからお伺いいたします。区教委が制服という呼称を好まずに、公式には標準服と呼ぶ理由は何でしょうか。私は、これを制服という呼称では強制性を帯びるので適切ではなく、単に着用を推奨するものという建前から標準服という呼称を用いていると理解をしていますが、いかがでしょうか。

◎青木 教育指導課長

委員お話しのとおり、標準服につきましては、生徒が着用する義務を負うのではなく、望ましいと推奨された服装であると認識しております。

◆上川あや

望ましい服装であり、生徒が着用の義務を負わないということです。大変重要なポイントです。
しかし、現実には単なる推奨では済まない、義務と変わらない着用の強制、強要がそこかしこの学校で起きてきたと私は認識をしております。

昨年の予算質疑でも、かつての砧中学で起きた制服着用のトラブルを取り上げました。かつて同中学では、男性のアイデンティティーを持った性同一性障害の生徒にスカートの制服着用を繰り返し強要し、生徒は不登校になりました。お母さんが性同一性障害があるという事情を伝えていたにもかかわらず、学校側は全く聞く耳を持たず、生徒は居場所を失い、髪を染めるなど荒れ始めて、果ては教護院に入所するという事件を起こします。制服着用が義務でないと言いながら、どうしてこのような強要が起きたのでしょうか。

区教委が述べる建前は単なる建前であって、現場の感覚や運用とはまるで異なるんだろうと思います。制服着用は義務ではない。その基本的立場への理解が現場に欠けたままだからこのような事態が起きたのではないでしょうか。制服着用を絶対視しない理解の徹底を図っていただきたく考えるんですけれども、いかがでしょうか。

◎青木 教育指導課長

標準服の扱いにつきましては、学校が定めたものを絶対のものとして強要するのではなく、生徒の思いを確かめつつ対応していくという理解を深めることが重要であると考えております。中学生の学年による発達段階には違いがあり、中学生らしさや学校生活にふさわしい服装について生徒自身に考えさせるとともに、一定の基準等を示したり、指導することは必要であると認識しております。標準服の着用に限らず、生徒のさまざまな思いを把握し、学校生活全体を見渡してサポートすることが何よりも重要であると考えております。

◆上川あや

今話題の桜丘中学では、制服は着ても着なくてもいいものだそうですが、区教委に伺いますと、制服を全く着ない生徒も崩れた服装の生徒もほとんどおらず、生活指導上も大きな課題がないということでした。
しかし、同校以外は着ても着なくてもいい区立中学校は存在しない。つまり、同校以外では制服は着なければならない。つまり義務です。

区教委に伺いますと、もちろん性同一性障害など特別な理由がある場合は、各校とも制服以外の着用を認めると言いますが、現状は、制服でお困りの際は御相談くださいの御案内一つ存在しない。裏を返せば、生徒側は相当な勇気を振り絞り、イレギュラーな形で相談をし、学校側から特に認められない限りは制服の強要は続くということを意味します。相談の敷居が余りにも高くないでしょうか。
区教委として制服着用が本当に義務でないと言うのなら、その基本認識は保護者にも共有されてしかるべきですし、御相談に応じる姿勢も明示されなければおかしいと考えます。この二点、改善を求めますが、いかがでしょうか。

◎青木 教育指導課長

教育委員会といたしましては、昨年の議会の御意見等を踏まえまして、校長会と連携し、標準服の資料の表現を工夫しているところです。学校からは、保護者説明会などで標準服についての趣旨や御相談の案内等をお伝えしていると聞いておりますが、そうした内容を資料に記載する改善を行うことは効果的と考えます。
保護者の方や地域の方への周知は、標準服が各学校の推奨する服装であり、いつでも学校に御相談いただけるものとして、教育委員会の考えをお示しする方法を校長会と連携いたしまして検討してまいります。

◆上川あや

最後に、教育長に伺いたいと思います。本来、制服を着るのが嫌だからという説明でも十分制服を着ないでよい理由になるのではないでしょうか。義務教育期の公立学校で本人が嫌がる服装を毎日毎日強要するということだけでも十分人権に触れる課題があると考えます。

なぜ嫌なのかを掘り下げれば理由は出てくるでしょう。しかし、それを述べさせることは、性同一性障害ならカミングアウトの強要を意味します。宗教上肌を見せたくないムスリムの子なら、本人や家族の信教の告白を強いることにつながります。あざのある子も傷のある子もアトピーの子も身体的なコンプレックスや医療情報の開示を学校が迫ることになると思います。制服の着用は義務ではないと言いながら、なぜ執拗に内情の告白を迫るのでしょうか。理解に苦しみます。
私も学校にふさわしい服装はもちろんあると考えます。しかし、それは何も制服たった二種類だけではないはずで、もっと幅があってよいと考えます。それを考えさせることこそ学校が本来あるべき教育であって、嫌がる生徒に全く同じ服装を強要し、理由を問い詰めるのは違うと考えますけれども、いかがでしょうか。

◎堀 教育長

標準服についてさまざまな御指摘をいただきました。
御質問の相談につきましては、各学校において理由を無理に聞き出すということではなくて、保護者との連携も含め、子どものさまざまな背景を理解、把握して、今後の学校生活全般を通して支援していきたいということが背景にあります。いずれにしても、標準服で、先ほど話がありましたような悲しい出来事がないように十分配慮してまいります。

なお、教育委員会では、桜丘中学校の実践を参考に、生徒みずから服装を選ぶ日として、仮称ですが、カジュアルデーを来年度より区立全中学校で実施していく考えでおります。この取り組みは、生徒の主体的な判断と適切な自己表現を促すとともに、多様性を理解、尊重する機会とすることを目的として行っていきますので、校長会とこの取り組みについて検証しながら、各校における標準服を含めた子どもの人権や個性を大切にした教育を進めてまいります。

◆上川あや

区教委に伺うと、カジュアルデーというのは月に一回を想定しているかのように聞いているんですけれども、これだけでは全くどうなのかなと思うんですね。前進ではあると思います。ただ、本当に嫌なら強要はしないという理解でよろしいんでしょうか、教育長。

◎堀 教育長

基本的にその考えでおりますので御相談いただきたいと思いますし、カジュアルデーを使って段階的に委員がおっしゃるような形のものが実現できればいいなというふうに思っております。

◆上川あや

多様性の尊重をよろしくお願いいたします。終わります。