◆上川あや

都市デザイン課が作成しました座れる場づくりガイドラインについて伺います。
骨や関節などの運動器の衰えが原因で長い距離を歩けないロコモの高齢者急増に対応した座れるまちづくりを求める私の質疑はこれで四回目になります。
前回、二十八年九月の質疑で、この問題への区の対応はぜひ所管横断的にと区長に求めましたところ、まさにこの課題は横つなぎ、横断的に取り組むべき課題と御賛同いただきまして、指示をされ、出てきたのが今回のガイドラインだと認識しています。
中身を拝見し、全体内容としては評価はしております。しかし、計画やガイドラインで望ましい基準等と書かれても、義務化をされない限り、聴覚障害に対応した、光と文字を利用した避難誘導設備しかり、幅員の広い歩道へのベンチの整備しかり、実際には全く形にならないことが多いというのが私の認識です。
そこで、何点か、今後の対応についてお約束をいただきたいと考えたのが今回の質疑です。

まず一点目です。公共施設の道路際、前面空間を使ったベンチの整備です。
現在建設中の公共施設でベンチが設置される見込みのあるところについては、都市デザイン課から、今回、営繕第二課に設置の可否を確認してくださったと聞いておりますが、今後も座れる場が公共施設の道路際にふえるように、この点検を毎年聞き続けるという仕組みを求めたいと思います。いかがでしょうか。

◎清水 都市デザイン課長

このたび作成した座れる場づくりガイドラインは、公共施設等を整備する際の具体の手引として、各所管で活用していく予定ですが、委員の御指摘のとおり、ガイドラインを生かして、実際の整備が進むことが重要と認識しております。
世田谷区ユニバーサルデザイン推進計画(第二期)の二十八の施策・事業には、ベンチをふやす取り組みとして、「だれでも使えるトイレとベンチ等の休憩施設のネットワーク整備」がございます。このガイドラインも、この事業の一つとして取り組んだものでございます。
ユニバーサルデザインの施策・事業は、スパイラルアップの取り組みとして、毎年度点検と評価を行っておりますので、この流れを生かして、各所管の整備状況の確認を毎年度行い、庁内への周知を働きかけるなど、工夫してまいります。

◆上川あや

二点目に、緑道についてです。
今回、緑道のベンチの最新のデータをいただきました。全体で三百五十九基と数も多く、設置の間隔も平均五十七メートルということで、思いのほかよい水準だと感じました。
しかし、最新のデータが二十三年度と古く、近隣の苦情で外した例もあるということを聞いており、現状把握がないということが大変残念です。現状把握をきちんとしていただき、必要に応じて整備を進めていただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。

◎春日谷 公園緑地課長

緑道におけるベンチの現状でございますが、現在、公園の管理図面を電子データ化するため、緑道を含めた公園施設の調査を実施しているところでございまして、今年度末には最新の状況を確認できるようになります。
緑道の整備につきましては、過去五年で約千四百メートルの改修工事を実施してきておりまして、五基のベンチをふやしてきております。また、座れる場づくりガイドラインにもあるように、緑道の幅員が狭く、ベンチが設置しにくいような場所につきましては、花壇の縁の部分を高くし、腰かけられるような形態に整備するなど、一休みできるような工夫も行っております。
緑道は、木陰や日だまりの中、季節の変化などを感じられる快適な休息空間であることから、今後も引き続き、改修工事などの機会を捉え、近隣住民の理解を得ながら、ベンチなどの休憩施設の整備に努めてまいりたいと考えております。

◆上川あや

続けて、今回の本丸、道路についてです。
ベンチの整備には幅員三メートル以上の歩道が必要になるということは理解をしております。しかし、所管部にデータを求めますと、これだけの高規格道路の新設は極めてまれだということがわかりました。道路の新設を当てにしていては、つくられたガイドラインが生きないということなんです。
一方で、歩道幅員三メートル以上の既存の区道は、十三路線、八・九キロメートルあることがわかりました。
しかし、このうち二路線にしかベンチはありません。幅の広い既存の道路で、どこに設置ができるのか、一気に世田谷区内全部でなくていいので、順番に調査をし、整備することはできないでしょうか、お伺いいたします。

◎鎌田 工事第一課長

道路でベンチを設置するには、安全に御利用いただき、かつ、通行者の支障とならないよう、三メートル以上の歩道幅員が必要となります。こうした条件に該当する道路は、委員お話しのように、約八・九キロございます。その中でも、小田急線経堂駅東側にございますユリの木通りが歩道幅員が広いことから、ベンチの設置条件としては有力な候補地の一つであると考えております。
一方、ベンチは、道路を背にして、住宅側を向いて座ることが多いことから、沿道の方の御理解をいただく必要がございます。この間、幾つかの路線におきまして、ベンチの設置を検討してまいりましたが、沿道の方の御理解がいただけず、断念した経緯がございます。
区といたしましては、全ての方が安全で安心して通行できる道路づくりを進めていくために、今回いただきました御提起も踏まえ、沿道の皆様などに御理解と御協力をいただきながら、ベンチの設置に取り組んでまいります。

◆上川あや

最後に、この本庁舎の裏、補助一五四号線での経験と反省を生かしていただきたいと思っています。
補助一五四号線の開通後、ベンチの整備を事後的に求めることになりました。その後は、担当課の職員で現地を歩いていただき、ベンチの候補地が二十数カ所挙がったのですが、結局、近隣の方の御合意は得られずに、梅ヶ丘の高架下、国士舘大学前、世田谷駅バス停前の三カ所にしかベンチは置けませんでした。
この経験を生かして、断られない工夫をぜひハード、ソフトの両面から考えることはできないでしょうか。
例えばおしゃべりの弾む複数人がけのベンチではなくて、一人がけのベンチを道路に向いて腰かけるよう提案する、また、地域ぐるみでも座れる場づくりを話し合う場を設定する、道路整備の職員が作業着でお願いに行くよりも、まちセンや社協から御説明に入ったほうが理解が得やすいかもしれません。また、チラシをまいて、御自宅の前に置いていただけるお宅を募集するなどの工夫も考えられると考えますが、いかがでしょうか。

◎鎌田 工事第一課長

町にあるベンチは、高齢者など、長い時間歩くことが難しい方も安心して町に出ていただくきっかけとして必要な施設であると認識しております。
ベンチの設置に当たりましては、利用者の視線が気になること、大声での会話、喫煙、ごみ問題など、さまざまな理由から、沿道の方々に御理解いただけない状況がございます。中でも、利用者に家の中を見られるなどの視線に関することが、ベンチが設置できない大きな要因となっております。
区といたしましては、道路と垂直方向にベンチを設置して、利用者の視線を住宅正面に向けない、または、敷地の前にベンチを設置してもよいという方を募集するなどの取り組みを進めるほか、新たな道路整備の際には、設計段階から地域の皆様に、町のどこであればベンチが設置可能かということを伺うなど、沿道の方にとって受け入れられやすいベンチとして整備できるよう、創意工夫してまいります。

◆上川あや

今、ロコモの方は推定四千七百万人と言われているんです。私たちの未来にも起こることですので、ぜひ絵に描いた餅にしないように、各所管、実践をお願いしたいと思っております。