◆上川あや

まず冒頭、非常に重要な調査結果を御紹介したいと思います。

先週末の朝日新聞に性的少数者の高校生、自傷を経験三割、一万人調査という記事が載りました。
以下、冒頭部分です。性的少数者の高校生、自傷を経験三割、一万人調査。性的少数者の生徒の五割が周囲の偏見を感じており、三割は自分を傷つけた経験がある。三重県男女共同参画センターの高校生一万人調査で、そんな実態がわかった。公的機関による大規模な調査は異例。同センターと日高庸晴宝塚大教授が、昨年十月から十二月、三重県立の高校生一万人を対象に共同で実施した。同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーのいわゆるLGBTは計二百八十一人で、全体の三%。自分は男、女のいずれかではないと感じているXジェンダー五百八人、性的指向や性自認を定めていないクエチョニング二百十四人も含めた性的少数者層は千三人と全体の一〇%に上り、学校現場での対応の必要性が裏づけられた。引用は以上です。

三重県の男女共同参画センターが県立高校の生徒一万人を調査して、性的少数者を構成する主要なカテゴリー、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのいずれかに該当する生徒が三%、それ以外を含めた性的少数者全体では一〇%に上ったという報道です。これを区立学校の児童生徒四万五千人に当てはめますと、LGBTだけでも千三百五十人、性的少数者全体では四千五百人に膨らみます。この層はまさに政府の自殺対策大綱でも、自殺念慮の高さが特に指摘をされたグループです。

一方、区教委の性的マイノリティー児童生徒の把握状況では、昨年度、身体的性に係る相談が小中合わせて三例、性自認に係る相談が九例、性的指向に係る相談が一例、その他の相談と合わせてもたった十五例しかありませんでした。この違いの原因は調査方法の違いです。
区教委の調査は、実際学校に寄せられた相談だけをカウントするものです。

一方、三重県では、生徒本人に直接尋ねております。思春期、当事者の多くは、自分の悩みを親や学校には絶対知られたくないと考えています。区の手法ではどれだけ切実な悩みを埋もれさせているのだろうかと危惧をいたします。
他方、大阪市でも、当人の自認や相談だけではなく、より広くLGBTの傾向を示す児童生徒まで対象を広げて調査分析をしております。昨年十月、大阪市立の全学校四百四十校を調査し、該当生徒のいる可能性のある学校が全体の一一%、五十校に上ったと公表、自認する制服の着用を認める等、特別な配慮をした学校も約半数ありました。

区教委でもこの課題の専門家が人権教育推進委員会にいることを強みに、当事者ニーズの把握方法をさらに工夫し、現場の対応力強化も図っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

◎青木 教育指導課長

本年三月に世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例を可決、四月一日施行をする本区といたしますと、学校教育においても、性同一性障害者や性的指向などを人権課題の一つとして捉え、多様性を認め、人権を尊重する教育を進めるとともに、個別の対応や適切な支援が重要であると認識しております。
例えば小学校の標準服への対応につきましては、各学校の実態に応じて、入学前の保護者会で説明したり、個別に相談ができることを周知したりして対応しておりますが、いわゆる性的マイノリティー等の児童生徒が在籍している可能性があるとの認識のもとに、必要な配慮や対応をさらに検討していくことが大切であると思っております。
教育委員会といたしましては、教員が各学校において多様な性にかかわる事項について正しく理解し、適切に対応できるよう、各校の実態把握の方法、情報共有について校長会と連携しながら配慮を検討してまいります。
先ほど小学校と申しましたが、中学校の間違いです。