◆上川あや

本日の質問項目の最後に、同性カップルの住民票にも事実婚の続柄記載を求めます。

先月二日、長崎県大村市が市内の同性カップルに夫(未届)と続柄欄に記載した住民票交付をしたことが大きく報道されました。同報道を受け、栃木県鹿沼市の市長と京都府与謝野町の町長も堂々、追随する意向を表明し、これも報じられました。
当区では、おととし十一月より同性カップルの続柄欄に縁故者記載を認め、これも全国的に見て、まだまだ異例の配慮ある対処ですが、今回の大村市の判断はさらにその先を行くものです。

区は二〇二〇年、私の議会質問に、区においては同性パートナーも事実上の婚姻関係に準ずるとする社会通念が形成されていると御答弁され、以後、区の有権解釈における事実婚には、異性も、同性もなくなりました。また、この間、同性カップルを均等処遇する区のサービスも飛躍的に増えました。加えて、住民基本台帳は本来、区市町村の事務であり、国から下りてきた法定受託事務ではありません。このため、国では同性カップルの続柄には同居人を充てるべきとの考えですが、国からの関与は助言にとどまり、その決定権者は区であります。
また、所管課に確認をしたところ、現状の縁故者表記を事実婚に変えたところで、明らかな支障もまた見当たらないといいます。であるならば、当区においても同性カップルの生活実態と区の事実婚への認識に合致する事実婚表記への改善を求めます。
区長の改善に向けた意気込みを伺い、もしできないのであれば、その理由を明確に述べるよう求め、私の壇上からの質問を終わります。

◎保坂 区長

上川議員にお答えをいたします。

住民票、続柄欄に事実婚の表記についての見解を問うということでございます。
世田谷区は、二〇一五年十一月に全国に先駆けて世田谷区パートナーシップ宣誓の取組を始め、現在では同様の制度を導入する自治体の人口総数は一億人を超え、いわゆる人口カバー率は八割を超えています。また、昨年、各報道機関が実施した世論調査でも、六、七割の方々が同性婚を法的に認めるべきだと回答されておりまして、今年の三月には、犯罪被害者の遺族に支払われる国の給付金について、最高裁判所が被害者と同性のパートナーにも事実婚に該当し、給付金の対象になり得ると判断を示しました。この際、この判断に至る論拠の一つとして、全国の自治体にパートナーシップ認証制度が大きく広がっているということも挙げています。この間、同性パートナーシップへの理解は幅広く、確実に進んできたと考えています。
同性カップルの住民票の続柄欄につきましては、長崎県大村市での夫(未届)とする事例が大きく報道されたところです。市長は、続柄は自治事務の中で記載できると述べる一方で、事実婚とは捉えておらず、国の法律や制度を越権していないとし、改めて総務省に確認中としております。また、栃木県鹿沼市など他の自治体でも同様の記載を行う旨の表明がありました。
世田谷区では、令和四年十一月一日よりパートナーシップ宣誓、またはファミリーシップ宣誓を行った方の続柄について、これまでの同居人の記載を本人から御希望があった場合、縁故者と記載することにいたしました。また一方で、世田谷区から転出される場合は、同居人に変更する旨、御本人の同意を得て行ってまいりました。
議員お尋ねの事実婚表記につきましては、当事者の方々から多くの期待と要望を寄せられています。パートナーシップ宣誓制度を手がけた区として、当事者の実情により近いものとなると考え、区としても取り入れていきたいと考えています。早速、その際の制度設計について、早急かつ具体的な検討を準備するよう関係所管に指示したところでございます。

◆上川あや

同性カップルの住民票について再質問いたします。
区長の御答弁では、同性カップルの住民票への事実婚の表記を当区でも取り入れたいと、また、その際の制度設計について、早急かつ具体的な検討を所管部に指示をしたとされるもので、大変心強く、ありがたく受け止めました。
これを受けた実務者である部長にお伺いいたします。事実婚表記実現のスケジュール感はいかがでしょうか。鹿沼市では七月一日から始めるということで、市長が記者会見をし、また、市のホームページでも広報されております。区のスケジュール感をお伺いできればと思います。

◎岩元 地域行政部長

上川議員の再質問に御答弁申し上げます。
検討のスケジュール感でございます。先ほど区長から御答弁申し上げたとおり、早急かつ具体的な検討を準備するよう指示を受けたところでございます。長崎県大村市が問合せをしております総務省の回答や、お話しの導入を表明している栃木県鹿沼市の取組なども踏まえまして、具体的な制度設計を早急に検討し、区民福祉の向上に役立ててまいりたいと考えております。以上でございます。

◆上川あや

スタートの目途が示されないのは残念でありますけれども、具体的な制度設計を早急に検討し、区民の福祉向上に役立てると御答弁されているのですから、福祉の向上につながる制度を必ずや立ち上げるものと受け止めました。
ぜひ全国の範となる制度を速やかにしっかりと立ち上げることを改めて求めまして、私の質問を終わります。