◆上川あや

次に、新型コロナの予防接種終了後の超低温冷凍庫等の取扱いについてです。

第一の疑問は、区の譲渡先設定が最適であったのかです。
都道府県や区市町村が新型コロナワクチンの保管や移送のため、国から無償譲渡を受けた超低温冷凍庫等の取扱いについて、厚労省は昨年十二月、通知を出しています。同通知では、国事業終了後の物品の使途については限定をせず、処分に当たっては、譲渡や売却など可能な限り有効活用していただくようお願いしますとのただし書をつけ、廃棄を含めた判断を区に委ねています。他の自治体では、医療機関、教育研究機関だけではなく、地域の消防、警察、高齢者施設、介護施設、一般企業も含め広く譲渡を呼びかけ、その活用を図る工夫が見られましたが、当区の譲渡、あっせん先は区内二つの医師会と、区内大学の一部だけをわざわざ選抜したものが対象で、区が保有した全六十八台のうち十九台を譲渡した一方で、売却はゼロ、何と大半の四十三台は廃棄されています。

先月、私のもとに区内の食品加工事業者から無償譲渡もしくは廉価での売却を希望するお問合せがあり、確認をしたところ、担当課は、一般企業への譲渡は公益上の必要に照らし、対象になるとは考えなかったとの返答です。しかし、捨てるくらいなら、区内の事業者に譲渡すれば産業振興に役立ち、区の廃棄費用の削減につながり、国通知が求めた資源の有効活用も図られ、十分公益にかなう取組ではなかったか、一般企業を排除する必要などそもそもあったのか、また、区内の医師会と大学の一部をわざわざ選抜したあっせんだけで十分であったか、譲渡の対象はより広く捉えることが国の通知にもかなう手法ではなかったかと疑問です。以上について、大量廃棄した所管課、会計管理者それぞれの見解はいかがでしょうか。

第二の疑問は、売却についてです。
この間、国では自らが持つ超低温冷凍庫等について、売払い契約の公示を出し、国内の歴史資料の修復、保存に当たる団体等にもこの売払いを周知するなど、資源の有効活用と売却収入を得るための細やかな努力が見られます。
関連の厚労省通知にも売却の選択肢が示されていたことは、さきに述べたとおりです。また、お隣、杉並区と大田区では超低温冷凍庫と低温冷凍庫、双方の売却に成功し、税外収入を得て、かつ無償譲渡分と合わせて、全ての冷凍庫等について有効活用が図られております。つまり、両区ともに冷凍庫等の廃棄はゼロ、一台の売却もなく公費をかけ、四十三台も廃棄した当区との差は明らかです。

以上を踏まえ、三点問います。
まず、ふるさと納税による財源流出で痛手を被る当区がまだ使用可能な財産を処分費まで出して廃棄した今回の処分に問題はなかったと言えるのか、廃棄した所管課と不用品の処分を統括する会計管理者それぞれの見解を問います。

次に、隣接する二区でできた売却が当区ではできなかったとするその差をいかに捉えるか、所管課の振り返りを問います。
最後に、以上の所管課対応を振り返り、全庁に生かすべき教訓もあると考えますが、会計管理者のお考えはいかがでしょうか、お示しいただければと思います。

◎大澤 会計管理者

私からは、超低温冷凍庫等の廃棄について御答弁いたします。

まず、譲渡対象をより広く捉えることが国の通知にもかなう手法ではなかったのか、また、減価償却期間の残っている使用可能な財産を処分費を支出した上で廃棄した今回の対応について問題はなかったのかについてです。
今回の処分につきましては、国の通知や世田谷区物品管理規則及び世田谷区財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例に基づきなされたものと認識しております。しかしながら、物品は貴重な財産であり、その管理においては万全を期さなければならないこと、また、国の通知では、自治体の条例に基づき、処分に当たっては、可能な限り有効活用をお願いしており、また、極力廃棄を生じさせない点からも、世田谷区財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例の物品を譲与し、または時価よりも低い価額で売り払うことができる相手先として、公益上の必要に基づき、国、他の地方公共団体その他公共団体または私人に譲渡するとあるとおり、幅広く検討されるべきものだったと考えております。
地方財政法におきましては、「地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。」と規定しており、全ての職員は、厳正な管理の下、効率的な使用に努めなければならないことから、今回、結果的に多くの廃棄が生じた事実を重く受け止めております。

続きまして、所管課の対応は全庁に生かすべき教訓があると考えるかの質問でございます。
今回の事案を教訓に、改めて物品は貴重な財産であり、物品の管理目的及び区民からの信託を受けていることを自覚するとともに、職員研修等を通じて、貴重な公有財産が適切に管理、活用することを徹底し、職員の意識の向上を図ってまいります。私からは以上です。

◎清水 世田谷保健所副所長

次に、超低温冷凍庫等の廃棄について、一括して御答弁をいたします。

新型コロナワクチンの保管や移送のため、区が国から無償譲渡を受けた超低温冷凍庫や低温冷凍庫について、国は、可能な限り有効活用した上で、譲渡、売却、廃棄等の処分を各自治体に委ねています。区の財産の譲与については、世田谷区財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例において、公益上の必要に基づき、国や他の地方公共団体その他公共団体または私人に物品を譲渡するときに限られています。このため、今回、区内の医療機関や大学に対して譲渡を行い、譲渡に至らなかった機器については売却を選択せず廃棄をいたしましたが、譲渡を呼びかける対象については、より幅広く、慎重に検討する必要があったと認識しております。また、区有財産の売却については、区の条例や製品の保証期間の問題など幾つかの課題がございますが、区の厳しい財政状況に鑑みれば、売却等による税外収入の確保に努めていかなければならないものと認識しております。
今回の区の対応について改めて振り返り、今後、同様の事例があった際には、他自治体の事例なども参考にしながら有効な方法を幅広く検討してまいります。