◆上川あや

初めに、私からも寄附を集める新たな方策を二つ提案させていただければと思います。
 
一つ目は、ネット通販、アマゾンのほしい物リストというものの活用です。ほしい物リストは、アマゾンのサイトに寄附してほしい物品と、その理由を掲載し、善意の方に代金を支払ってもらうというサービスです。浜松市では、おととし十二月より、動物園と図書館で三十点の寄附を、このほしい物リストで呼びかけ、翌日から続々と品物が届き、これほど早く届くとはと、市の関係者を驚かせたといいます。また、翌年二月中旬には一点を除き、希望の品は全て希望の場所にそろったといいます。公費による購入では契約担当部署を通すために時間もかかりますし、時に予算が認められないケースもあると思います。
一方で、サイト閲覧者の理解と協力が得られれば時間もコストも圧縮ができる。今、こうした平時からのリストの活用が浜松市や千葉市、石川県の小松市などにも広がりを見せております。区でもこの仕組みを活用してはいかがでしょうか。

◎北川 経営改革・官民連携担当課長

委員御提案のアマゾンのほしい物リストでございますが、こちらは、お気に入りの商品を保存しておくだけではなく、リストの作成主の住所に直接商品を届けられるため、個人の利用のほか、他自治体やNPO団体などで活用しているものと認識してございます。
この仕組みを活用するには、寄附を受けた後の具体的な事務手続や、どういった目的でどの事業、施設を対象にしていくかなどの検討が必要である一方で、お話しのように必要なものを直接早く届けることができるなどのメリットもあると受け止めており、まずは、これらの課題等を整理し、他自治体の例を参考に、活用について検討してまいりたいと考えております。

◆上川あや

続けて、第二の提案です。遺言代用信託という仕組みの活用です。

日本財団の二〇一七年の調査では、独身子どもなしで四二・六%、夫婦二人のみの世帯では三二・八%が遺贈寄附を希望なさっているそうです。ところが、実際に遺言書に遺贈寄附を記載するケースは、独身子どもなしの世帯で一・三%、夫婦二人のみの世帯では何とゼロ%だといいます。御意志が実行に結びつかない、その理由は、遺言の作成が煩雑で、高いコストもかかり、また、安心できる寄附先もないためだと指摘を受けています。
このギャップを埋めるべく、今、自治体で増えているのが、さきに申し上げた遺言代用信託の活用です。この手法であれば、現金を預ける信託であるために、遺言書の作成はそもそも不要です。自治体も生前託された現金のみを受け取るということですので、お宝鑑定団よろしく遺品の整理、鑑定、売却、廃棄などという余計な手間はかかりません。
この遺言代用信託の仕組み、岐阜県内では何と全ての市町村で既に導入済みだということなんですが、区でも活用を検討する価値があるのではないでしょうか。

◎北川 経営改革・官民連携担当課長

御提案の遺言代用信託につきましては、委託者が信託銀行などに信託をし、委託者が亡くなった後に、あらかじめ委託者が指定した受取人に信託銀行などが信託財産を支払う仕組みでございます。この仕組みは、委員、お話しのとおり遺言信託に比べまして、遺言書の作成が不要であるなど、煩雑な手続を行う必要がなく、複数の自治体でこの仕組みを活用した遺贈寄附の案内を行っていると認識してございます。
まずは、遺贈寄附の現状や課題、遺言信託を扱っている都内の金融機関の状況などの把握に努め、その上で連携、活用の可能性について検討してまいりたいと考えております。