◆上川あや
本区の障害者差別解消法の施行に合わせた紛争処理の取り組みについて伺います。
まず、障害者差別解消法の関連規定から読み上げます。
第十四条です。国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止または解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。本日テーマとするのは、この後段に出てきました差別の紛争処理、紛争解決の取り組みについてです。その支援体制が本区にあることを私自身は存じております。しかし問題は、区がその支援体制を整えながら、被害者救済の可能性を、差別に苦しむかもしれない区民当事者にほとんど広報しようとしていないということです。私は、これを区の根本姿勢から疑うべき大問題だと考えています。
まず、当区が整備した差別の御相談から紛争解決に至る支援体制、紛争処理の流れの御説明を求めます。
◎竹花 障害施策推進課長
区では、平成二十八年四月の障害者差別解消法施行時に、障害を理由とする差別に関する相談などの窓口を、障害施策推進課計画担当に開設いたしましたが、区の事業については各担当部署が相談を受け、合理的配慮の提供などへの対応を行っております。
また、区の事業以外の国や都、民間事業所についての相談は、障害施策推進課が相談を受け、解決に向けた対応もいたします。障害施策推進課では、障害者差別解消法の施行にあわせまして、区独自に採用し、配置いたしました専門調査員二名が相談内容を丁寧に伺うとともに、必要に応じて現地を訪問し、不当な差別的取り扱いの調査や合理的配慮の提供について、ときには厳しいやりとりもしながら、事業者等への改善の働きかけを行っております。
◆上川あや
専門調査員の配置は、ほかの近隣の区市にもないそうで、なりだけは大変立派です。しかし、差別に苦しむ区民に向けた、わかりやすい広報の努力など、一体どこにあるのでしょうか。
例えば区の障害者施策の代表的な広報素材に、障害者のしおりがございます。区が障害者のいる全世帯に毎年、制度は更新されますから、お送りしているものです。この障害者差別解消法に基づく民間の紛争処理の解決に向けた区の支援部分、関連記載があるのであれば、その部分を全文読み上げてください。
◎竹花 障害施策推進課長
障害者のしおりでは、区の事業における不当な差別的取り扱いや合理的な配慮の提供については、事業を担当する各課にお問い合わせください。国や都、民間の事業について、また、障害者差別解消法に関する全般的な事項については、障害施策推進課計画担当にお問い合わせください、と記載をしております。
◆上川あや
今回テーマにしている民対民の差別について関連するのは、民間の事業について、また、障害者差別解消法に関する全般的な事項については、お問い合わせくださいの部分ですよね。結局、お問い合わせくださいと相手任せにして、肝心な部分は一切広報しない。これで何がわかるのでしょうか。区が相手側に調査に入ること、差別の紛争解決に当たることなど、何一つ書いておりませんということですよね。お答えください。
◎竹花 障害施策推進課長
障害者のしおりでは、そのとおりでございます。
◆上川あや
ホームページのほうは、どうなのですか。
◎竹花 障害施策推進課長
ホームページにおいては、専門調査員の設置や、解決に向けた働きかけも御案内しております。
◆上川あや
ホームページの記載も、課長から私にペーパーをいただきましたが、私、検索をかけても全くひっかかりませんでした。ホームページの案内は、全ての文字が平仮名で、障害を理由に差別されたり困ったりしたら相談してくださいとタイトルをつけたページだと思うのですが、これは広報広聴課に確認いたしました。ページをつくった二〇一六年十月六日から昨日まで八百八十六日間ございます。この間、アクセス数は七百十二件、一日平均〇・八回、今年度に限って言えば〇・四回、これが伝わる広報なのでしょうか、お答えください。
◎竹花 障害施策推進課長
ホームページへのアクセス数が多いか少ないかは判断できませんが、区では平成二十八年度以降、ホームページ以外にも、障害者団体への説明、あるいは区内全小中学校への児童生徒へのリーフレット配布、各種イベントなどでのPR等、障害者差別解消法の周知に取り組んでおります。
◆上川あや
今、課長が言ったリーフレットはこれです。課の窓口に行っても配架すらされておりませんでした。きょういただきました。このリーフレットも問題です。ここでも紛争処理制度の記載は皆無です。全体で八ページ、十分なボリュームがあります。その中で関連する記述はたった二行ですね。読み上げていただけますか。
◎竹花 障害施策推進課長
「障害者差別解消法を知ろう」というリーフレットでは、「お店や会社で、障害を理由に差別されて、つらい、悲しい思いをしたことはありませんか? お話を伺い、解決に向けて一緒に考えます。家族や支援をする人が、相談することもできます。」と記載しております。
◆上川あや
相談を受けることそのものは、法律の成立以前からやっていることなのですね。紛争処理制度の、これで、何がわかるのでしょうか。調査の専門スタッフがいることも伝えない。相手方に調査に入ることも伝えない。実際に不当な差別が確認されれば、専門員が法の趣旨を粘り強く相手方に説いて解決に当たることも一切伝えない。ひど過ぎますよ。副区長に伺いたいと思います。これを、御自身が当事者の立場だと考えて、これで紛争処理の仕組みがわかりますか。
◎宮崎 副区長
障害者差別解消法施行時に当たりましては、今、担当のほうから申し上げましたように、さまざまな取り組みを独自にも含めてやったつもりでございました。ただ、今御指摘いただきましたように、この広報関係の部分については、ややもすると、行政サイドからのアプローチとなってしまい、障害者を含めまして、これに、言ってみれば、合理的配慮のところで申し上げましたように、全ての方がこれをわかっていただかなければいけない、そういう目線では、なかなかアプローチをしてこなかったということは反省すべき点だと思います。体系的に、今後、示していけるような形でお示ししたいと思っております。
◆上川あや
例えば名古屋市や出雲市では、窓口を障害者差別相談センターと銘打ってわかりやすくしています。岡山県や三重県では、障害者差別解消支援センターとして相談の窓口を明示しています。お金をかけなくてもできることはあるのですね。このプロセスも、しっかりわかるようなリーフレットをつくっております。こうした努力を求めますが、一言いただけないでしょうか、副区長。
◎宮崎 副区長
今般御指摘いただきまして、なるべくこういう名称を含めてを、わかりやすくして、このお問い合わせを含め、解決策も含めて、体系的な示し方、こういうことをやっていきたいと思います。
◆上川あや
終わります。