◆上川あや

宣言しましたとおり、本会議に続きまして犯罪被害者支援策について伺います。

先の一般質問で私からは、世田谷区の犯罪被害者支援対策が全くの空手形だということを指摘いたしました。まず、世田谷区は内閣府に対して、犯罪被害者支援の総合的対応窓口があると報告をしましたが、区のホームページのどこを探してもそのようなものは見当たりません。それを本会議で指摘しますと、区は大慌てで、今回御案内のページをつくると言います。犯罪被害者等基本法の成立からもう十年です。世田谷区の無策を物語る話だと思います。
また、さきの本会議では、生計維持者を失った御家族等への経済支援と、御自宅がまさに犯罪現場になるなどして御自宅に戻れない方々への居住支援、さらに、家族を失い、また心身の健康を損ない、日常生活や育児が立ち行かなくなった御家族への援助者の派遣と、犯罪被害者がふなれな警察、検察等への同行支援の四つについて区での検討が必要だと求めました。いずれも当区では無策だった対策ですが、生活文化部長の御答弁は、まずは区の既存のサービスによってそれぞれ支援が可能なのかどうかも含め、御相談に応じると、さも使える制度がそこかしこにあるかのような御答弁です。

そこで、本日は、全所管が集まる席ですので、確認を求めたいと思います。
私の知るところ、区の経済対策、居住支援、家事援助サービス、育児支援、同行支援などに係る条例、規則、要綱のどこを探しても犯罪被害者のハの字もないと私は認識をしております。被害者の方が使える制度的な担保などあるのでしょうか。
まず、居住支援について伺います。自宅が犯罪現場になったり、戻れば危険な場合などの避難先については、確かに警視庁が緊急避難先を確保するとしています。しかし、調べますと、その滞在期間は三日までということです。つまり、お住まいの自治体に支援策があるかどうかが鍵となります。ところが、住宅課長に伺いますと、こうした犯罪被害者を想定した当区の支援策はただの一つもないとお認めになりました。この認識に誤りはないでしょうか、確認を求めます。

◎松村 都市整備部長

委員御指摘のとおり、犯罪被害者の方を対象とした当区独自の居住支援制度は現在のところございません。東京都におきましては、犯罪により従前の住宅に居住することが困難になった犯罪被害者世帯に対し、都営住宅の入居募集に際しまして、当せん確率が五倍になる優遇抽せんを行っております。
一方、区ではこれまで、例えば罹災者等緊急的な対応が求められる事案につきましては、応急的な対応を図ってきたところでございます。犯罪被害者の方からの御相談につきましても、被害者の方の気持ちに寄り添い、相談内容に応じて、区としてできる限りの対応に努めるとともに、今後、関係所管とも協議、連携し、区に寄せられる相談の状況や他自治体の支援制度の実施状況なども踏まえ、居住支援のあり方について検討してまいります。

◆上川あや

都営住宅に優遇抽せんがあるという御説明なんですが、運よく空き室が出た場合に当せん確率が上がるだけの話で、緊急的な対処もできず、当たるも八卦、これではセーフティーネットにならないんですね。しっかり世田谷区での独自の対策を求めたいと思います。

続けて、経済支援です。本会議では区の応急小口資金の条例施行規則を見ても、対象者の列挙に犯罪被害者は一切含まれていないということを指摘しました。これに対し部長は、ほかにも何種類か貸し付けの制度があると煙に巻きましたが、それらは恐らく、母子世帯、父子世帯、女性に対する貸付金制度を指すのだと思います。これらは、被害者の方がたまたま母子世帯、父子世帯、女性だった場合に使えるだけのことで、犯罪被害者対策に対する支援策ではそもそもありません。母子世帯、父子世帯、女性ではない大半の犯罪被害者の方々にも使える制度的担保などあるのでしょうか。改めてお答えをいただければと思います。

◎金澤 保健福祉部長

犯罪被害により経済的な問題が生じて早急な対応が必要になる場合も想定されます。総合支所生活支援課では、応急小口資金の相談と申請受け付けを行っておりますが、これまでに犯罪被害により生活費を失った方に必要な資金を貸し付けした例がございます。
応急小口資金制度は、貸し付け理由を規則で例示しておりますが、御指摘のとおり、その中に犯罪被害者の記述はございません。貸し付けの窓口では、貸付事務の参考とするため、具体的な事例をまとめたガイドラインを活用しており、こうした犯罪被害に遭ったケースも貸し付けできる事例として示しているところでございます。
さらに、応急小口資金以外の貸付制度が必要となるケースも想定されますが、職員がお話を伺いながら適切な制度の案内や活用を図ってまいります。

◆上川あや

本会議とはまた違った答弁が出てまいりましたが、犯罪被害者にも応急小口資金は使えるということです。ただ、その証拠となる記述は、職員の内部向けのガイドラインに示されているという御説明でした。内部文書なんですね。つまり、区民に対して使える制度があるかどうかは知らされておりません。これでどうやって利用申請などできるのでしょうか。使えるというのであれば、規則や広報から改めるべきだと思いますので、この点は改めてお願いしておきます。

続きまして、援助者の派遣についてです。御家族を失い、また心身の健康を損ない、日常生活や育児が立ち行かなくなった世帯に対しては、家事援助や育児支援が欠かせないものだと思います。世田谷区のヘルパー派遣制度の内容はいろいろございます。母子世帯、父子世帯に対する派遣、児童虐待が認められた世帯への派遣制度、障害者、難病患者に対する派遣制度などもございます。ただ、これらに該当しない大半の犯罪被害者の方に使える制度的な担保はないものと考えております。
犯罪被害者がたまたま母子世帯だったり、父子世帯だったり、障害者や難病者だったりしたときには、それらが適用できますよというのはいわば当たり前の話であって、犯罪被害者支援対策ではございません。にもかかわらず、さきの本会議答弁はごまかしの連続だと私は感じ、非常に不誠実だと思いました。
今回は、犯罪被害者の困難にきちんと向き合って制度設計された派遣制度があるのか否か、子育てと福祉とまたがりますので、副区長からの御答弁を明確にいただければと思います。

◎宮崎 副区長

御趣旨の制度設計が不十分だということは受けとめたいと思います。
先ほど例のありました家事援助ヘルパー等派遣事業においても、当該制度設計はないという状況がございます。その上で、今般のこのお話の部分の中で、まずは受け皿としての窓口をはっきりさせたいと思います。早急に御案内をしていきたいと考えています。その上で、緊急的な対応をやっていくものと一定の制度構築というのをしていく必要性がある。これは実例を積み上げる必要もあると思いますが、そのような対応を考えていきたいと考えております。

◆上川あや

ぜひないない尽くしを改めていただくように、改めて重ねて申し上げまして、今後の行く末をチェックしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
終わります。