◆上川あや
最後に、区内の点訳ニーズを長年支え続けてきた点訳グループが深刻な高齢化に直面し、メンバー全員が後期高齢者となる中で、区内における点訳の灯を絶やさないための区、区教委の行動について伺います。
まずここで、点訳の必要性と重要性について整理をします。視覚障害者のうち、点字の読み書きができる人は約一割とされています。一方で、録音図書と点字図書の両方を利用する人の約八割もが繰り返し読みたい資料に点字を選ぶという調査結果があります。また、漢字表記や文章構造を正確に把握するにも点字は不可欠です。区立中学の教科書にも点訳が用意された実績があります。選挙での点字投票など、法的権利の保障にも点字は大変重要です。加えて、近年のAI点訳も、点訳技能を持つ人によるチェックが正確性を期す上では欠かせません。
以上の理解の下、第一に求めるのは区内の点訳活動を支える点字プリンターの確保です。かつて、区が養成し、一九八三年に誕生した点訳グループ、てんとうむしの皆さんが自費購入した点字プリンターが年明け、故障し動かなくなりました。その修理を担ってきた事業者も既に閉業しています。活動継続に不安を抱える皆さんが高額な点字プリンター購入をためらわれている事情は中央図書館長にもお伝えしましたが、区として機材の確保や利用機会の提供などどう対処するおつもりか、伺います。
第二に、後継人材の養成です。てんとうむしも結成から四十三年が経過し、仲間が七人にまで減る中で、区が一向に後継者の養成に踏み出さないことに、皆さん、危機感を深めています。この点、私からも、二〇二一、二〇二二、さらに昨年、繰り返し議会で人材養成を求め、区教委もその都度検討を約束されますが、この五年、具体策は一切ないままです。区と区教委はこうした現状に危機感をお持ちでしょうか。
昨年十一月、都内にある国内最大の点字図書館、日本点字図書館を訪問し、世田谷区民の利用登録者が二百五十九名、そのうち点字の利用者が八十一名に上るとのデータを得ました。区外の施設にもかかわらず、これほど多くの区民が利用する現状を踏まえると、区は区内の点訳ニーズを過小評価しているのではないですか。区と区教委は、この登録者数とニーズをどう受け止めるのか、また、改めて、人材養成に向けた本気度と具体策を伺います。
最後に、これら課題を解決するため、読書バリアフリー法に基づく地域計画の策定を強く求めます。
二〇一九年成立の同法第八条は、自治体にも読書バリアフリー計画の策定を努力義務として求めますが、本区に策定はないままです。区の図書館ビジョンが点訳ボランティアの参画をうたいながらも、そうした方々の現実の困難を把握し支える視点を欠いていることからも、具体策を持たない本区の現状と法定計画の未策定とは無関係ではないはずです。単に検討すると口約束するにとどまらず、具体的な計画策定へと落とし込み、年次を区切って着実に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。教育長の御見解と御決意を伺い、壇上からの質問を終わります。
◎知久 教育長
次に、読書バリアフリー法に基づく地域計画について、具体的な計画策定へと落とし込み、年次を区切って動くことを求めるについてです。
第三次図書館ビジョンでは、読書バリアフリー法に基づき、基本方針の中でそれぞれの特性等に対応した、多様な人々を包摂する図書館を新たに掲げており、個別計画の策定はございませんが、法の趣旨や具体の施策を丁寧に盛り込んでおります。
一方、点訳人材の養成に関しましては、図書館ビジョンの中ではボランティアの参加にとどまっておりましたが、令和七年三月に策定された国の読書バリアフリー基本計画第二期においてボランティア等の高齢化等による影響の観点が追加され、その状況を踏まえた人材の確保、育成の重要性がより明確に示されたところです。
今後、令和十一年度からの次期図書館ビジョン策定に向けた外部有識者も交えた議論の中で、法や国の基本計画の趣旨を踏まえ、点訳ボランティアの置かれている状況の把握や議員御指摘の支える視点の必要性も認識した上で、障害所管の計画とも整合性を図りつつ、より実効性のある計画の在り方や、さらなる施策展開の実現に向けた検討を行ってまいります。
◎菅井 教育政策・生涯学習部長
次に、点字プリンターの利用機会の提供についてです。
御指摘の点訳サークルにつきましては、図書館からの依頼に基づく図書等の点訳作業のほか、点字への理解を深めるイベントの実施への御協力をいただいております。同団体のプリンターの状況につきましては図書館も把握しており、区から依頼している業務を含めまして、団体の活動全般に影響が出ていることは十分認識しているところでございます。
一方、点訳資料を作成する環境の提供は、活字、文字では情報を得ることが難しい視覚障害の方の情報アクセスを保障するため、公共の図書館における利用サービスの一環として必要であり、大変重要なものと考えております。そうした状況を踏まえまして、今後は図書館において、個人、団体を問わず点字プリンターを広く利用いただけるよう、必要な機器の設置や適正な運用に向けたルール策定を進めてまいります。最後に、日本点字図書館における区民の登録者数及び点字ニーズを区教育委員会はどのように見ているかについて御答弁いたします。
日本点字図書館は、視覚障害者向けに点字図書や録音図書を作成、貸出ししている日本最大の専門図書館でございます。また、区立図書館におきましても、区民からの要望に応じ、所蔵していない点字図書を借用するなど、御協力をいただいているところでございます。多くの区民の方が日本点字図書館を利用されている背景といたしましては、都内に立地し、専門的なアドバイスが受けられるといった環境によるところも大きく、それぞれが大切な区民ニーズであると認識しております。
こうした状況や点字サービス利用に係る都の調査結果等の動向を踏まえますと、点訳は音訳と同様、区内においても一定のニーズが確実に存在していると考えており、区としては引き続き点字を必要とする方へのサービスを確実に展開できるよう取組を進めてまいります。
◎杉中 障害福祉部長
私からは、点訳に関する人材育成について御答弁いたします。
区内には、点字によって様々な情報を得ることが必要な視覚障害者の方や保健センターで開催している点字カフェを通じて点訳に興味を持たれている方が一定数いることは把握しています。これまで、点訳の講習会などに関する問合せがあった際は、外部の機関である点字図書館や東京ヘレン・ケラー協会を御紹介してきたところです。
しかし、御案内のとおり、区内の点訳ボランティアの方々が高齢化し、活動の継続が困難になってきていることからも、計画的な人材育成を早期に立ち上げる必要性は高まっていると認識しております。まずは、他自治体の先進事例について情報収集を行うとともに、点字図書館等で実施している点訳関係の講習会を受講した区民の動向の把握に努めながら、確実な人材育成の方策について教育委員会とともにしっかりと検討してまいります。
◆上川あや
点訳者の養成について意見を申し上げます。
私は、二〇二一年、二二年、そして昨年も繰り返し人材養成を求めました。その都度、区教委からは検討するとの御答弁もいただいてきました。それにもかかわらず、五年を経た今、まずは情報収集からという答弁には強い違和感と危機感を覚えます。点訳者の高齢化は待ったなしです。全ての方が後期高齢者だということを以前の質問では申し上げております。具体的な人材養成確保を速やかに確実に進めるよう改めて強く求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。