◆上川あや
区が直営しない区立施設のLGBTQ対応がひど過ぎるとのテーマで重ねて伺います。本課題への議会質問は、今回で五回目となります。
区の多様性尊重条例は、第七条で、性自認、性的指向、同性カップルへの差別を禁止し、第六条では、事業者が守るべき責務を定めます。区のホームページは、同第六条、事業者の責務について次のように書いています。事業者の皆さんには、働く全ての人がそのライフスタイルに応じて多様な生き方を選択できるよう、募集、採用及び昇進など、あらゆる場面で、性別や性自認、性的指向、国籍、民族の違いによる不当な取扱いがないよう配慮し、事実上生じている不当な取扱いについても積極的に改善するようお願いします。引用は以上です。
ところが、二〇二二年十一月の私の議会質問を受けて、区が初めてその指定管理者のLGBTQ対応を調べると、区の外郭団体を除く三十一の事業者のうち、職員の人事、給与、福利厚生の一部にでも同性パートナーを含めた事業者は僅かに三つだけ。性的指向や性自認へのハラスメント、SOGIハラスメント禁止を明文化した事業者も、僅かに五つだけ。つまり区が選定した事業者のほとんどは、事業者の責務を忠実に守る事業者ではありませんでした。
この初回の調査以降、私は、指定管理者制度運用に係るガイドラインの改定を繰り返し求め、前回、二〇二四年十月の質疑では、より具体的に次の三つの方策を講じるよう求めました。
一つ目に、指定管理者の選定基準に障害者対応同様、LGBTQ対応を入れ、きちんと条例規範を守る事業者と、そうでない事業者との間に点差をつけること。二つ目に、区が指定管理者に毎年提出を求める自己評価シートにも、障害者対応同様、同項目を入れ、自覚を促し、改善努力を求めること。三つ目に、区の各所管課が毎年作成する評価シートにも同項目を入れて点検し、改善を促すモニタリングを継続的にはかること。以上の三つです。すると、これら提案に対し、区も、条例に定める事業者の責務を明確にし、さらに実効性を高めるために有効な方策でございますと認め、委員お話しの評価手法などについて関係所管と検討を進めてまいりますと答弁なさいましたが、いずれの改善もいまだないままです。
それでは、前回の二十二年十一月の調査から三年二か月を経て、どれだけ事態の改善が進んだか、先月、区に二度目の調査を求めると、次のような現状が分かりました。
区の外郭団体六つを除く三十一の指定管理者のうち、職員の人事、給与、福利厚生の一部にでも同性パートナーを含めた事業者は僅かに四つだけ。前回調査に比べ僅か一事業者の増。性的指向や性自認へのハラスメント、SOGIハラスメントの禁止を明文化した事業者も七つだけ。こちらも二つ増えただけの微増です。
前回の区の改善を目指すとされた御答弁から三年二か月を経て、区の現状の方策に実効性など全くないことは明らかです。そこで、以下三点伺います。
第一に、前回調査から三年二か月を経て行われた今回の調査結果を区はどう評価するでしょうか。今回の結果は、依然、区の指定管理者の大半が同性パートナーのいる職員に扶養手当の支給等、等しい給与を保障せず、また、仮に人生の伴侶が死亡した場合でも、異性のパートナーなら難なく認められるであろう忌引休暇の取得が同性パートナーでは認められないことを意味します。また、これら不平等に加えて、大半の事業者は性的指向、性自認にまつわる差別、SOGIハラスメントから職員を守る規定の整備もしておらず、二〇一九年施行のパワハラ防止法で防止措置が義務化されたはずのSOGIハラスメントに対する無為無策が大変に深刻です。
こうした同性カップルに対する不平等、SOGIハラスメントを放置して平気な各区立施設の現状を区として容認できるのかと併せて、区の現状評価をお示しください。
第二に、区は、二〇二四年三月の指定管理者制度運用のガイドラインの第四次改定で、第七章、その他留意事項に、同性パートナーを含めた職員処遇の平等や性的指向に係るハラスメントの禁止等を配慮するべき取扱いと明記したことで、事業者に条例遵守を求める対応は一定程度してきたとする立場です。しかし、この対応で注目するべきは、単なる留意事項にとどめていることです。すなわち、事業者に対して、もろもろ気にかけてくださいねと、一項目、書き加えただけのこと。依然、事業者に自己評価や自己点検等を求めず、また、区も一切評価も点検もしないのです。
さきに挙げた区の最新の調査結果を踏まえれば、現行ガイドラインに全く実効性などないことは明らかと考えますがいかがでしょうか。また、区はさらなるガイドライン改定の必要性をお認めになるのか、その基礎的評価を伺います。
第三に、さきにも述べた私からの提案、三段階にわたる評価点検を同ガイドラインに盛り込むことの再検討を求めます。今後、区としてどのように改善を図るのか、その手法や手順、全体のスケジュールを含め、お答えください。続けて、今述べた指定管理者と同様に、区立施設の管理運営を担う委託事業者の大半もまた、同性パートナーを含めた職員処遇の平等を保障せず、SOGIハラスメント禁止規定を持たないことは重大です。
二〇二三年の一定で、私から、受託事業者の対応状況を尋ねると、区は初めてそれらLGBTQ対応を調査し、回答のあった四十四事業者のうち、その一部にでも同性パートナーの処遇の平等があった事業者は僅かに二つ。ハラスメントの禁止規定を整備した事業者も僅か九つというていたらくでした。前者の整備率は僅かに四・五%、後者も二割にすぎません。
それら委託事業者についても改善を求めると、区は二〇二四年三月の答弁で、事業者側に示す職場環境づくりの指針策定から手がける旨、説明した上で、同指針を令和六年度中、つまり昨年三月末までに策定すると答弁しましたが、そのお約束も不履行のまま。改善計画全体を遅らせるボトルネックとなっています。
区に伺うと、私が昨年の四定で策定を求めた区民等の性の多様性に適切対応するための職員向けガイドブック・対応要領の策定にまず取りかかり、その策定を踏まえ、同指針づくりに取り組みたい、あるいは職員向け資料との抱き合わせで事業者向け指針も策定したいとのことで、その策定は早くて来年度、遅ければ再来年度にも遅れ込みそうで、既にぐだぐだとなっている改善計画のねじを巻き直し、軌道に乗せ直す必要を強く感じています。そこで、以下二点伺います。
まず、同指針策定に続く事業者のLGBTQ対応の改善について、その具体徹底検討、スケジュールを再度議会に示し、そのお約束を今度こそ守るよう求めますけれども、いかがでしょうか。
二点目に、同指針が策定されるまでの間にも、区には取り得る策があるはずです。私から特に求められたときにだけ、各事業者のLGBTQ対応を慌てて評価点検する人権軽視を卒業し、区自らがその事業者の責務について、各事業所管を通じて毎年点検し、それぞれの事業者にLGBTQ対応の現状の課題を認識していただくとともに、各所管課においても人権課題の重さを認識していただく契機とするべきです。その実行強く求めますけれども、いかがでしょうか。
◎有馬 政策経営部長
私からは、区が直営していない区立施設のLGBTQへの対応について三点お答えいたします。
初めに、調査の結果の評価についてでございます。
区の指定管理施設において、施設で働く職員の処遇の平等を担保し、不当なハラスメントから職員を守ることは、区民の平等で公平な利用の確保や安定的な運営を継続するために大変重要なことであると認識しております。指定管理施設の管理運営を担う事業者の多くにおいて、規定の整備が進んでおらず、権利の不平等やハラスメントが生じる状況にあることは憂慮すべき事態であり、当然、区として容認できるものではございません。誰もが安心して働きやすい職場環境を整えるために、区には、事業者の理解を促し、粘り強く連携協力を求めていく責務があるものと考えております。次に、現ガイドラインの実効性の欠如と、さらなるガイドライン改定の必要性についてお答えいたします。
令和六年三月に、区では指定管理のガイドラインを改定し、条例に基づき指定管理者に対し、同性パートナーを含めた職員の処遇の平等や性的指向に係るハラスメントの禁止等の遵守を求めることを留意事項として追記したところでございます。しかしながら、現段階では、事業者に向けて趣旨を御理解いただき適切な対応をお願いする形にとどまり、実効性という点においては十分ではないと認識しております。今後、区で策定予定の行動指針などを踏まえ、改めて基本的な考え方や対応事例を示すなど、さらなる周知啓発を進めていくことに合わせ、ガイドラインを改めるなど、事業者の具体的な改善をさらに促してまいりたいと考えております。最後に、指定管理者の改善についてでございます。
議員御指摘の指定管理者の選定基準、自己評価シート、区の評価シートの三点にLGBTQ対応の要素を入れることは、条例に定める事業者の責務を明確にし、実効性を高めるための有効な方策であると考えております。一方、現段階において、条例上、事業者の責務は努力規定としての訓示的、抽象的な表現にとどまっております。選定基準等への反映については、事業者への影響も少なくないことから、今後策定する行動指針などを踏まえ、職場環境整備の必要性や体制づくりなどの周知啓発、支援を粘り強く進めていく中で併せて検討し、生活文化政策部とも連携しながら、条例に定める事業者の責務を実効性のある規定とするよう着実に進めてまいります。以上でございます。
◎渡邉 生活文化政策部長
私からは、LGBTQ対応二点と、それから本庁舎に関して一点、三点御答弁申し上げます。
初めに、運営事業者のLGBTQ対応の改善について、具体的手順とスケジュールについてでございます。
御指摘いただきましたとおり、区立施設の管理運営を行う委託事業者におけるLGBTQ対応は非常に不十分であると認識してございます。一方、事業者への改善を促すに当たっては、区自身が事業者としてLGBTQに配慮した全庁で統一的なガイドラインがないため、まずは、令和八年度に区が庁内に向けたガイドブックを作成し、その上で、遅くとも令和九年度には事業者向けの指針を策定いたします。その後は、指針を基に、区立施設を管理運営する委託事業者には、実効性を担保するため、毎年度、委託所管課を通じまして、取組状況調査と評価を行い、それらをまとめた結果を庁内会議等で共有したいと考えてございます。また、理解が進んでいない事業者に対しましては、区から説明会を開催するなど是正を働きかけ、区立施設を管理運営する委託事業者のLGBTQ対応の改善に向けまして、確実に取り組んでまいります。
次に、事業者の責務について、毎年度点検し、各事業者にLGBTQ対応の現状の課題を認識させるとともに、各所管においても、その課題の重さを認識させる契機とすべきであるについてでございます。
議員のお話しいただきましたとおり、管理運営を受託する事業者が毎年LGBTQ対応について評価点検を受け、現状把握をすることは事業者の責務と現状との乖離を、事業者、所管課ともに認識することにつながり、実務の改善に資するものと考えてございます。
そのため、来年度作成予定の職員向けガイドブックの内容を、庁内そして職員に十分に周知、理解を進めた上で、事業者向け指針の項目等について、各事業者の担当所管課を通じまして、毎年定期的に評価点検を行う仕組みを検討してまいります。
事業者向けの指針策定は令和九年度の予定であるため、先行して、令和八年度に各所管を通じまして委託事業者への調査を実施し、現状の把握や課題認識の共有により、全庁に対し意識づけも行ってまいります。指針に基づく取組につきましては、令和九年三月に策定予定の(仮称)第三次男女共同参画プランにも位置づけてまいります。



