続けて質問の大項目の2つ目に、区立保健センターの検診において、出生時の性別と性自認が一致しないトランスジェンダーも安心して受けられる環境の整備は図れないでしょうか?

2019年、国立社会保障人口問題研究所が18歳-59歳の大阪市民15,000人を対象に実施した調査によれば、自認する性別を出生時とは「別の性別」または「その他」としたトランスジェンダーの可能性のある人は0.7%。区の人口に当てはめれば約6400人余り、東京、神奈川、埼玉、千葉の東京圏では、24万人余りに上ります。

国内で行われた調査ではトランスジェンダーの約50%が、体調不良であっても医療機関の受診をためらう、あるいは、医療機関での不快な経験があると答え、健康診断を受けていない人も23.9%、4人に1人に上ります。

トランスジェンダーは性別で分けられた環境に困難を抱えることが多く、保険証に記された性別と日常生活を送る性別とが全く異なって見えるケースも少なくありません。
また保険証による性別確認や、問診票による既往歴、手術歴、投薬状況の確認、保険証に記載のある戸籍名で安易に呼びかけるといった行為のそのものが当事者が日頃秘匿している「トランスジェンダーであること」の露見や周囲への暴露、アウティングへと繋がかねないリスクをもっています。
性ホルモンの投与や性別適合手術により臓器を切除、摘出しているかどうかもそれぞれで、それらを受けているケースで検査の値や結果をどう読むか、適切な再検査や医療へと繋げられる知識や経験は不足し、安心して身を任せられる医療リソースは不足したままです。

こうしたなか、世田谷区は治療までは行わないものの区立の医療機関、世田谷区保健センターを持っています。
そこでは4つのがん検診を初め、各種の精密検査と区民向け、一般向け、事業所向けの総合的な健診・測定事業を行っています。
これら健診・測定にトランスジェンダーも受けやすい配慮と知見を添えることは、区の多様性尊重条例が区の施策として明記する「性別等の違いに応じた心及び身体の健康支援」及び「性の多様性に起因する日常生活の支障を取り除くための支援」そのものであるはずで、区と保健センターには取り組みを求めますけれどもいかがでしょうか? 区のご見解を伺います。