◆上川あや
最後に、一九二三年の関東大震災時、朝鮮人が井戸に毒を入れた等の流言飛語により朝鮮人殺傷事件が各地で起き、ここ世田谷でも類似の殺傷事件が複数起きたことについてです。
おととし9月の決算特別委員会、昨年9月の特別委員会と、二年続けて私からは、烏山と太子堂の区内二か所で起きた殺傷事件の記録は、当時の司法省資料や警視庁資料、また、区が保管をする旧千歳村の村史、区で寄託を受けている旧世田谷町長の手記にも残されていることを指摘しました。その上で、歴史の専門調査員を置く区立の郷土資料館も同見解に立つことを確認し、区に公の追悼を求めてまいりました。
区長は昨年、初回の答弁後、何ら検討がない状況を私に問われ、申し訳なく思いますと述べ、本年九月の関東大震災百周年に向け、具体的な取組を生活文化政策部など関係所管に指示するとともに、区長として追悼の在り方について検討してまいりたいと御答弁になりましたが、あと二か月半でいよいよその百年となります。さて、一体どうなさるのでしょうか。区長には自らのお考えを改めて問います。所管部には具体的な対応方針を伺います。
◎保坂 区長
上川議員に、この間お尋ねになられている関東大震災における朝鮮人殺傷事件についての取組ということについて御質問でございます。
この関東大震災時に起きた朝鮮人殺傷事件について、昨年、議会において御答弁したとおり、災害時の流言飛語の拡散により、区内でも朝鮮人であることで殺されるという悲劇があったことを決して忘れてはならないと思います。災害直後に大火災が発生するなど混沌とした状況下にあっても、他者の人権、尊厳を大切にすることの重要性を次世代に伝えていく必要があると考えています。
今年、関東大震災から百年の節目を迎えるに当たり、この事件については、二度と繰り返してはならないこととして後世に伝えていくため、平和資料館において企画展を検討しておりまして、区長としてのメッセージを発するべく、生活文化政策部など関係所管に指示し、現在実現に向けた準備を進めているところでございます。
◎渡邉 生活文化政策部長
私からは、関東大震災時に殺傷事件が発生したことについて、具体的な対応について御答弁申し上げます。
関東大震災時に起きた朝鮮人殺傷事件について、後世に伝えていく取組や追悼の在り方など、この間、区長の指示により検討してまいりました。災害により平穏な生活が突如奪われた場合、人はどのようにその現実と向き合うか、また、混沌とした状況下にあっても助け合う精神を保ちながら冷静な判断と行動ができるか、その上で、他者の人権、尊厳を大切にすることができるか、こういった視点から改めて人権について考えるきっかけとし、後世に伝えていきたいと考えてございます。
現在、平和資料館において、防災の日に合わせ、関東大震災など災害をテーマにした企画展を検討してございます。この企画展において、現在の世田谷区内で起きた朝鮮人殺傷事件について、差別や偏見を繰り返さない教訓として紹介するとともに、区長メッセージの中でも記載して発信していくことを準備してございます。また、企画展の内容につきましては、平和資料館のホームページにも掲載していくことも考えてございます。以上でございます。
◆上川あや
再質問いたします。
関東大震災時の悲劇を認めて企画展を開くということは評価できる取組です。しかし、開催期間の想定はたった二週間だと聞いております。議会から繰り返し対応を問われ、二週間の単発イベントだけで、その後に残るものは何もないということでは、歴史の教訓の継承には全くなりません。これを機に、継続的な取組とするのかどうかを問いたいと思います。
また、せっかく展示物等をそろえていただくのであれば、後世に残るリーフレットや資料、成果物などは残せないのでしょうか、併せてお伺いします。
◎渡邉 生活文化政策部長
再質問にお答え申し上げます。
区長も含め御答弁申し上げましたとおり、この殺傷事件については、後世に伝えていかなければならないとの認識でございます。したがって、今回の企画展を一過性にすることなく、折に触れて、折というのは、今後も防災の日には、関東大震災など大災害について区民の皆さんも考え、思いを寄せることとなると思いますので、これとともに取り上げてまいりたいと考えてございます。
リーフレット等の御提案もございましたが、現在、企画展の内容につきまして検討しておりますので、来場された方に手に取っていただけるものの用意についても併せて検討してまいりたいと考えてございます。以上でございます。
◆上川あや
ありがとうございます。