◆上川あや

令和五年度の各会計予算に賛成する立場から、大きく二点申し上げます。

まず、相手の立場に立って物を考える必要性についてです。
区の高齢者ニーズ調査では、約三割の高齢者が聴覚に支障があると回答しています。区内の高齢者人口に掛け合わせれば、五万五千人以上です。また、補聴器でクリアに音が聞こえる範囲は一・五メートル程度とされ、補聴援助システムのない公共施設では、音の理解もできません。ところが、けやきネットの集会施設には、ただの一か所も同システムの整備はなく、可搬型システムの活用を提案された人権集会のイベントですらその活用を見送る始末です。自分や家族が年を取り、もし聞こえなくなったらと想像すれば、区の施設やイベントの冷酷さも分かるはずです。区は、相手の立場に立って物を考える必要性を再認識するべきです。

また、全盲の障害者に対してすら、渋谷駅での他社線の誘導を打ち切った京王電鉄に関し質疑しますと、区は当初、区といたしましては、利用者の視点でのリレーサービスについて京王電鉄に伝えてまいりますと、まるで伝書鳩のような御答弁。自らの意思を示すことはありませんでした。経済的合理性から区民、障害者の安全が切り捨てられるとき、区は区民の安全を最優先に能動的に動くべきであり、それこそが交通政策であることの御自覚を求めます。

二点目に、結果に責任を持つよう求めます。
文教領域の質疑では、区教委による文化財看板の全件調査から五年以上がたっても、老朽化して読めない看板がまだ放置されている現状について批判しました。結果とそれに基づく対策はセットであるべきですし、読めない看板に意味などありません。調査結果に責任を持つ対応を改めて求めます。

また、区で働く非常勤の職員がハラスメント被害に遭った場合の相談や不正の通報を受け付けるのは区の責務であるはずが、その窓口は非常時の職員には正規職員と同様には伝えられていない課題についても問いました。非常勤という弱い立場だからこそ、被害相談、不正の通報窓口の情報周知は不可欠です。区は、各職場に十分な周知を依頼しているとの答弁を繰り返しましたが、そんな言い訳は結構です。結果として十分な周知になっていないから問題視されるのです。この点も、結果に責任を持つよう改めて求め、私の意見といたします。