昨年の第4回定例会に引き続き、区の多様性尊重条例の実効性を高める取り組みについて伺います。
区の多様性尊重条例は、性的指向、性自認への差別を禁止しています。また、その差別の禁止には、「同性カップルへの差別」も含まれると、区は明確に答弁しています。
昨年4月1日公開の、区の多様性尊重条例の紹介のウェブページでは、第6条「事業者の責務」について次のように書いています。
「区の掲げる男女共同参画および多文化共生の理念に理解を深め、区の施策に積極的に協力していただくよう定めています。特に事業者のみなさんには、働くすべての人がそのライフスタイルに応じて多様な生き方を選択できるよう、募集、採用及び昇進など、あらゆる場面で、性別や性自認、性的指向、国籍、民族の違いによる不当な取扱いがないよう配慮し、事実上生じている不当な取扱いについても積極的に改善するようお願いします」
――引用はここまでです。
LGBT差別を禁じる区ですから、ここに書かれた事業者の責務は真っ当であり立派です。
ところが昨年、質問した時点で、区の外郭団体を除く、31の指定管理者で、職員の人事・給与・福利厚生制度の一部にでも、同性パートナーや、その親族を対象とした制度をもつものは僅か3事業者で、ハラスメント禁止規定に「性的指向」と「性自認」を明記した事業者も、僅かに5事業者しかありません。
つまり大多数の指定管理者は、区条例の責務を忠実に果たす事業者ではありません。
このため昨年4定の一般質問では区立施設の管理、運営に当たる指定管理者の職員についても、性の多様性に応じた処遇の平等やハラスメント禁止を徹底するよう求めました。
これに対し区も、「条例にのっとった運営を行うことは大変重要」との認識を示した上で、「指定管理者制度運用に係るガイドラインの改訂などで、条例目的に沿った制度運営を推進する」と応じましたが、同じ課題は区施設の管理・運営を担う受託者等にもあると考えています。
例えば、区立の男女共同参画センター「らぷらす」は、LGBTQのための交流スペース事業や電話相談事業、年に1度、らぷらす全館を使って開かれる「セクシュアルマイノリティ・フォーラム」の開催を担うなど、区のLGBTQ支援の一大拠点です。
ところが、それら事業の委託先、「共生会SHOWA」は、その本拠を世田谷区内に置きながらも、第6条の責務を果たす事業者ではありません
今回、同団体のLGBTQ対応について、私が区に問い合わせると、区も初めて同団体に確認し、同性パートナーのいる職員に配慮した人事・給与・福利厚生制度は一切なく、ハラスメント禁止規定にも性的指向、性自認の明記もないナイナイ尽くしの事業者だと判りました。
それでいて昨年3年ぶりに行われた「らぷらす」の委託事業者選定では、それらLGBTQ対応の欠如は不問のままに、素知らぬ顔で運営委託先に再度、選定されており、区と共生会SHOWAの無策と無関心に驚き、落胆しています。
そこで以下、伺います。
まず、一点目。区のLGBTQ支援の拠点、「らぷらす」の委託事業者の選定と契約にあたっては、同性パートナーのいる職員処遇の平等や、LGBTQへのハラスメントを許さない規定の整備は本来、必須要件とするべきものではないのですか? いかがですか?
2点目に、本件の履行期間は3年ですが、契約自体は単年度ごとに結ぶとされています。ならば今からでも契約時の特記事項とする。また仕様書に定める等、確実かつ速やかに「らぷらす」運営事業者の質が改善される策を講じるよう求めますが、いかがですか?
3点目に「らぷらす」以外の委託者等についても性の多様性に応じた職員処遇の平等とソジハラスメントの禁止は徹底されるべきだと思います。今後の議論の前段にまず取り組み状況について報告を求めます。
第4に区の公共施設管理のデータベースに拠れば、2月8日時点で区の直営ではない区の施設は、520に上ります。このうち、指定管理者を除く、322施設の運営者について、職員の家族にかかる人事・給与・福利厚生制度の一部にでも同性パートナーを含む事業者がどれだけあるか、またハラスメント禁止規定に性的指向、性自認を明文化した事業者がどれだけあるかを明らかにし、考察を述べるよう求めます。
この質問の最後に、今求めた答弁で明らかとなる条例第6条の責務を果たさない区施設の運営者について区はどのように改善を図る考えか? 少なくとも「らぷらす」がそうであったように事業者選定の評価項目にすらLGBTQ対応が入らず、全くの素通りという状況は、すぐにでも改めるよう求め、区の対応方針を問います。