具体的な成果

★障害者サービスのしおりが初めて音訳・点訳されました。

 

区立図書館の利用案内「障害者サービスのしおり」は活字版だけで、視覚障害者は自分が受けられるサービスが読めません。
上川の指摘で初めて音声版、点字版のしおりができました。

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◆上川あや

通告に基づき質問します。

初めに、昨年の第四回定例議会での一般質問からほぼ一年、ほとんど改善のない区立図書館の障害者サービスについて伺います。

この間、区教委が答弁どおりに改善したのは、対面朗読の再開と電子図書館サピエの拡充など僅かだけ。以下、通告時点で守られていなかった答弁を列挙します。
①昨年、区教委は私の質問に、区立図書館で配布する障害者サービスのしおりは、音声コードの誤った位置等を修正し、早急に差し替えるとしましたが、実現したのは今月です。私の質問を察知してからの対応であり、全く早急ではありません。
②同しおりの音声版、点字版の作成にも取り組むとしましたが、完成していません。
③点字図書も、データベースに掲載し、検索できるようにする答弁も実現していません。
④全く非公開だった障害者サービスの根拠規定を公開する答弁も守られていません。
⑤規定上は存在するにもかかわらず、区民に知らせぬ裏メニューだった音訳サービスを広報する答弁も守られていません。
⑥最後に、かつて区が育てた点訳者でありながら支援を打ち切り、長年にわたり没交渉、手間、暇、コスト丸抱えで区民の点訳ニーズに応えてきた点訳サークルとの接点は、私の質問を機に復活するも、本年一月、中央図書館長が会ったきり全く連絡もないとの声を聞いています。

結局、区教委は以後も全く支援を与えず無連絡で放置、区立学校の教科書等の点訳までこなし続けてきた皆さんに、区教委は報酬規定もあるとしながらも、支払い実績はゼロのまま、後継者の育成を図るお約束も、その骨格検討すらできておりません。

以上、答弁の不履行六点は、区民の期待への裏切りと受け止めております。この点、教育長は、監督責任の重さと、早急に改善できるはずの答弁すらほごにしてきた組織の甘さ、確実な事務改善に向けた決意の三点をいかにお考えであるのか伺います。
また、所管部長からは、それぞれの取組状況の報告と、いつまでに、またどのように改善なさるのか、確たるお約束の答弁を求めます。

次に、障害福祉部と区立図書館がそれぞれ関わる点字翻訳サービスでの相互調整と補完の必要性についてです。
障害福祉部所管の点字図書給付事業は、一般に市販されている活字図書に比べ、べらぼうに高くなる点字図書との差額を補助し、視覚障害者の情報入手を支援するものです。しかし、その利用実績は、昨年度たった三件と低迷しております。

その詳細を所管部に伺うと、同事業は、単に既存の点字図書を給付するのみならず、実は点訳されていない図書でも、区民からリクエストを受けた場合には、区が点訳経費を補助する形で給付できる事業であるとの説明です。しかし、要綱上も、区の広報でも、点字図書を給付するとのみ書かれ、新たな点訳にまで応じるとは読めない説明のままとなっています。

この言わば裏メニューとなっているサービスを、点字図書の利用に関心が高い区内の全盲の視覚障害者の方にお伝えすると、点字図書の差額を補填する制度があることは知っていましたが、新たな点訳にも応じるとは聞いたことがないと大変驚いておられました。こうした制度の不案内は決して好ましくなく、要綱規定も、広報における説明も、新規の点訳を必要とする方に伝わる文面に改めていくよう求めますが、いかがでしょうか。
また、同事業を所管する障害福祉部は、区内点訳サークルが全くの無料奉仕で年間一万ページを超える区内の点訳ニーズに応えている現状を知らず、他方、その点訳サークルとの連絡を復活させようという区教委も、障害福祉部の事業で、新規の点訳まで担える裏事情を知らないという相互の無関心にも大変に驚きます。まさに縦割り行政の弊害そのものです。

同給付事業で、出版施設には点訳経費を支払い、他方、区が自ら育てた点訳者には無料奉仕を迫り続ける不公正は改めるべきですし、既存の出版物ではない私的な点訳ニーズに応えることも含め、相互に役割分担を整理の上、区民に案内するよう求め、見解を問います。

◎中村 副区長

 
点字図書給付事業について二点御答弁いたします。

まず、その周知内容についてです。
点字図書給付事業は、視覚障害の方が一般図書の購入相当額で点字図書を購入できるよう、公費で新規の点訳費用も助成する事業です。従来国が実施してきた事業ですが、現在は、障害者総合支援法の地域生活支援事業の一つとして市区町村が実施主体となり、障害者のしおりや区ホームページで御案内しておりますが、御指摘のとおり事業内容や利用方法などについて、視覚障害の方に分かりやすいものとなっていない状況です。今後、点訳を担っている事業者の対応状況などを把握するとともに、点字図書を必要としている方にお伝えすべき内容を整理し、区ホームページなどで分かりやすく御案内できるよう取り組んでまいります。

次に、障害福祉部と教育委員会との連携、情報共有についてです。
国においては、令和元年に視覚障害者等の読書バリアフリー法、令和三年には障害者情報アクセシビリティ施策推進法が制定され、区では先般の第三回定例会において、世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例を御議決いただいたところです。

その条例においても、情報コミュニケーションの推進は大切なテーマとして個別に章立てをしており、必要な施策に順次取り組んでいきたいと考えております。点訳を必要とする方のニーズについて、当該団体や関係機関からお話を伺いながら把握に努めてまいります。
今後、点字図書の購入や図書館での貸出し、個々の点字ニーズに応えることなどを含めた区の全体的な点字関連事業等について、障害福祉部と教育委員会事務局とで、いま一度情報の共有を図り、点訳を必要とする方に適切に御案内できるよう整理、検討をしてまいります。以上です。

◎渡部 教育長

図書館の障害者サービスについて御答弁申し上げます。

御指摘をいただきながら、速やかに改善せず、本来その図書館サービスを受ける方が受けられなかったことについて、利用者の皆様に心よりおわび申し上げます。
本来、図書館の障害者サービスは、必要としている方に早急に届けるべきであり、最優先に行うものであると考えます。今後は、スピード感を持って対応し、徹底して利用者の皆様の最善の利益を目指してまいります。合理的配慮のある、誰もが使いやすい施設、設備、サービスの整った図書館を目指し、教育委員会全体の業務改革を進める中で、図書館の組織改革を着実に行ってまいります。以上です。

◎内田 生涯学習部長

私からは、区立図書館の障害者サービスに関して、それぞれの取組状況等についてお答えいたします。

まず、障害者サービスのしおりについては、大変遅くなりましたが、令和四年十一月より修正版を図書館ホームページに掲載するとともに、各図書館窓口で配布しております。障害者サービスのしおりの音声版及び点字版については、年度内の完成を目指して作成中です。

点字図書の検索については、登録に必要なデータの整理が完了しましたので、今後、システムで検索するために必要な設定、登録作業を行い、年内を目途に検索システムに公開いたします。
図書館障害者サービスの根拠規定は、要綱として内容を修正し、十一月一日に施行し、利用者から御確認いただけるよう、まず、図書館ホームページにおいて掲載を開始しました。また、音訳サービスの周知については、区ホームページなどを活用して、年内を目途に行ってまいります。

また、区内点訳サークルの皆様とは、定例的な打合せを設け、報酬に基づいた点訳作業や後継者の育成について情報交換する機会を設けてまいります。後継者の育成については、東京都や他自治体との連携も視野に入れながら、引き続き検討してまいります。
今後、様々な障害者サービスの充実に向けてスピード感を持って対応してまいります。以上でございます。

◆上川あや

再質問いたします。
まず、区立図書館に対してです。私が取り寄せました現場マニュアル、障害者サービスの手引の点字図書サービスの項目では、所蔵がない資料について、相互貸借としかありません。今後は点字図書の作成にも取り組むと答弁しながら、それを書かないのはおかしくないでしょうか。

次に、障害福祉部の対応についてです。いただいた御答弁では、図書以外の私的な文書の点訳にも応じるかどうか判然といたしません。当人が関わる契約や身の安全に関わる製品の取扱説明書等、手元に点訳して置いておきたい資料は数多くあるのが普通です。これら私的な文書の点訳にも応じるおつもりがあるのかどうか、はっきりとした御答弁を願います。

◎中村 副区長

再質問にお答えいたします。

先般議決いただきました世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例では、障害者の意思疎通等の手段の保障や、意思疎通等を支援する人材の育成についても必要な施策を講じていくことを定めました。今後、区の全体的な点字関連事業等について、点字を必要とする方へ区ホームページ等で御案内するとともに、お話のありましたような私的文書の点訳ニーズにも応える環境の整備について検討してまいります。以上です。

◎内田 生涯学習部長

私からは、図書館についての再質問にお答えいたします。

区立図書館に所蔵がない資料については、他の自治体から取り寄せて貸出しを行う相互貸借で対応しております。
この相互貸借でも対応できない点字資料につきまして、現在、区内点訳サークルの方々に新規の作成をお願いする調整を行っております。準備が整い次第、区ホームページなどで利用者の皆様に周知を行うとともに、職員のマニュアルである障害者サービスの手引にも反映してまいります。以上でございます。

◆上川あや

前回の答弁から一年間たって、あまりにも対応が遅過ぎます。
反省の御答弁がありましたので、今後は期待しております。それぞれ有言実行でしっかりと約束を守ってください。
終わります。