◆上川あや
大項目の二点目は、生活保護申請時の扶養照会についてです。
生活保護の申請を阻む最大の壁とされているのが、家族に援助が可能かを問い合わせる扶養照会です。路上生活者等を支援するつくろい東京ファンドの調査では、生活困窮の相談者でありながら、生活保護を利用しない理由のトップは、家族に知られるのが嫌だからの三四・四%です。
厚労省は昨年三月、親族の扶養が期待できない場合、問合せを不要とする通知を出していますが、これを広報しない自治体が多いことが問題になっています。そして、あろうことか当区もこれに含まれ、区のホームページに記述もなければ、区で配付する生活保護のしおりにも記載がなく、見事に申請をためらわせる広報のままであきれました。
このため、五月三十一日、私が課長に善処を申し入れると、その場で出し抜けに、改訂新版の生活保護のしおりが差し出され、その発行日は一か月以上前の本年四月となっています。ところが、肝腎の配布日は明日から、つまり課長に善処を求めた翌日の六月一日からになるとの説明です。加えて一時間後には、区のホームページからも未対応の痕跡がきれいさっぱり消し去られ、先ほど手渡されたばかりのしおりまでアップされる念の入れようで驚きました。これほど手回しがよいなら、広報の改善も早められたはずで、古い広報内容の放置には問題があったのではないですか。いかがですか。次に、区の扶養照会の実績を見ると、昨年度千二百三十二件問合せ、支援が得られたのはたったの六件です。
区民に制度利用をためらわせ、ただでさえ区のケースワーカー一人当たりの担当件数が国基準を大幅に超える当区で、職員の負担をさらに増やしても、ほとんど成果の上がらない扶養照会は有害無益だと感じます。この点、新宿区は本人同意を扶養照会の大前提としています。区にも同様の対処を求めると、既にほぼ同様の対処を行っているとの説明です。ならば、ぜひこの議会で区も、本人同意が扶養照会の前提であることを言明し、安心の材料を増やすよう求めます。御答弁ください。
◎田中 保健福祉政策部長
私からは、生活保護関連二点御答弁いたします。
まず、保護のしおりについてです。
生活保護のしおりにつきましては、区民にとってより分かりやすいものにという視点から、昨年度大幅に見直しを行いましたが、令和四年度の予算での印刷となり、配布が遅くなってしまいました。区民の皆様に大変申し訳なく思っております。御指摘のとおり、印刷の必要のないホームページの修正については、四月より行うべきものであったと考えております。生活保護の内容が分かりやすく、正確かつ迅速に区民の皆様にお伝えできるよう、常に見直しや点検をしてまいります。次に、扶養照会についてです。
生活保護申請時の扶養照会については、国からの通知において、要保護者等からの聞き取りにより扶養の可能性の調査を行い、扶養義務履行が期待できない者と判断する際は、基本的には扶養義務者への直接の照会は行わない取扱いとなっています。区においても、従来より相談された方の状況を丁寧に確認し、同意を得た上で扶養照会を行っており、今後もこの姿勢は変わらずに同意を前提に対応してまいります。引き続き、相談された方に寄り添いながら、国の通知等の内容を生活保護の相談支援に当たる全ての職員が共通理解した上で、区民の皆様が安心して生活保護の御相談ができるよう取り組んでまいります。私からは以上です。