◆上川あや

住民票における同性カップルの扱いについて伺います。

現状、同性カップルは世帯を一つにできても、両者の関係性を表す続柄記載は同居人。家族扱いではないその記載に傷つき、落胆する方々がいます。そこで、その記載を変えられないですかという提案です。
まず、同性カップルも住民登録では同一世帯になることができますが、世帯を一つにすることのメリットとデメリットをどのようにお考えでしょうか。

◎舟波 地域行政部長

同性カップルが同一世帯とするメリットといたしまして、一般的には自治体や民間サービスをより広く受けられるようになると聞いております。また、住民票の手続では、同一世帯であれば、住民票の写し等の請求、異動の届出を委任状の提出がなくても行うことができます。その他、影響が想定されるものといたしましては、例えば住民税非課税世帯だった方が、同一世帯としたことによりまして、一方の相手方の所得状況に応じた各種保険料の負担増などが考えられます。

◆上川あや

従来、区では同居をして生計を一にする同性カップルは、住民登録を同一世帯とできる一方で、世帯主との関係性を表す続柄の記載では、同居人以外の記載は選べなかった。これが日本人同士のカップルでは原則だった。この認識に誤りはないでしょうか。

◎舟波 地域行政部長

パートナーシップ宣誓は、戸籍上の婚姻制度とは異なる制度ですので、宣誓をしても続柄を夫や妻とは記載ができません。お尋ねのケースの場合、区では住民票の続柄を同居人としております。

◆上川あや

先ほど日本人同士の同居では、世帯を一つにできても、続柄の記載は同居人しか選べないと言いました。他方、外国人同士で同性婚したカップルは、住民票の続柄の記載を縁故者にもできる。この認識に誤りはないですか。

◎舟波 地域行政部長

窓口事務において実務の参考にしております窓口事務質疑応答集の取扱いに基づきまして、外国の制度で婚姻したと窓口で申出があり、本国において婚姻関係に証する書類の提出があった場合につきましては、縁故者としてございます。

◆上川あや

同居人と縁故者、そのどちらで記載をされても、住民票上同一世帯というだけで、法令上、権利義務に差異は生じず、不利益もないと考えるのですが、この点はいかがでしょう。

◎舟波 地域行政部長

住民票に世帯主との続柄がどのように記載されているかによりまして、何らかの法的効果を有すると解すべき根拠が見当たらないため、法的な権利義務に差異を生じることはないと認識してございます。

◆上川あや

いわゆる養育世帯でも、続柄記載を縁故者とするケースがありますね。ここでも、住民票に縁故者と記載されたところで、法令上、権利義務に差異は生じず、不利益もないのではないですか。

◎舟波 地域行政部長

養育世帯は様々な世帯構成が想定され、養子縁組の届出がない養子については縁故者と記載すると、住民基本台帳法令関係実例に記されております。また、窓口事務質疑応答集では、実家に預けた場合は子の子、親戚宅で養育されている場合は縁故者、知人の子を養育する場合は同居人と記載する旨が記述されております。
続柄の記載内容によって何らかの法的効果を有すると解すべき根拠が見当たらないため、法的な権利義務に差違を生じることはないと認識してございます。

◆上川あや

住民票の続柄記載で同居人と書いても、縁故者と書いても、法令上の権利義務に差異は生じず不利益もない一方で、同居人と書くか、縁故者と書くかで世間の受ける印象は大きく異なります。同居人の表記には、同居の事実を伝えるだけで、両者に特別な関係性を印象づけるものはありません。
一方で、縁故者の縁故は、広辞苑の説明にも、「①血縁・婚姻などのえんつづき、つづきあい。②人と人とのかかわりあい、故あっての人のつながり、つて。」とあるとおり、縁故者と表記されれば一気に親密さを想起することができます。どういう関係か詳細は分からないけれども、両者に絆があると感じ、軽々に他人扱いすることができない重みを感じる方も多いと思うのです。

そこでお願いがあります。住民基本台帳は国からの法定受託事務ではありません。区が一定の裁量権を持つ自治事務であるはずです。ならば、区の判断で日本人同士の同性カップルでも住民票の続柄記載では縁故者を選べるようにしてほしいのです。
実はこの住民票、続柄記載の変更を、私は同性パートナーシップ制度ができた二〇一五年からずっとお願いし続けてまいりましたが、世田谷区が六年間足踏みをしている間に、兵庫県明石市や埼玉県久喜市がパートナーシップ制度の利用者に、縁故者でも選べるようにすると発表し、拍子抜けをしております。なぜ世田谷区はこうも検討が遅いのでしょうか。

また、私が議会事務局の協力を得て二十三区を調査した結果でも、本区と同様に同性カップルを一番初めに認めた渋谷区はもちろん、パートナーシップ制度のない台東区ですら、同居する同性カップルには縁故者表記も考え得ると回答しております。
台東区は、その理由として、根拠一、まず、同居人でなければならない決まり自体が存在しない。根拠の二、重婚や近親婚など事実上の夫婦生活をしているが、民法上婚姻が認められていない場合は縁故者と記載すると、実務の応答集に既にある。この二点を挙げております。
つまり当区にできないはずなどないのです。これ以上追い越されることなく、世田谷区もぜひ選択肢を増やしていただけないでしょうか。
日本人同士の同性カップルにも縁故者表記を認めるよう改めて求めます。区の見解を伺います。

◎舟波 地域行政部長

住民票は住民に関する記録として様々な手続に広く利用される書類であることから、各自治体においてできる限り統一的に記録が行われるべきものと考えております。しかし、住民基本台帳の運用方針や具体的な事務処理を示している住民基本台帳事務処理要領や、窓口事務質疑応答集の記述では、同性カップルを縁故者として記載することを禁止しているとまでは読み取れません。

区は、パートナーシップ宣誓の制度に取り組んでいることからも、同居人としてより縁故者の記載のほうが、より当事者間の実態に近づくものではないかと考えております。社会における性的マイノリティーへの理解が進む中で、当事者の日常生活に支障を少しでも取り除くことができるよう、同一世帯であるパートナーシップ宣誓をした同性カップルが、希望により住民票の続柄を縁故者にできるよう、課題を整理しながら検討を進めてまいります。

◆上川あや

区のパートナーシップ宣誓制度を理解している割合は、区の男女共同参画に関する区民意識調査でも僅か三割にとどまる一方で、住民票を知らない国民はほぼいないと思います。それだけ信用力のある書類ですので、速やかな改善を改めて求めまして、私の質疑を終わります。