◆上川あや
区の男女共同参画事業が、根本的なところで不均衡であり、いびつであるという点を三点取り上げます。
まず一点目、男女共同参画の先進事業者表彰についてです。
同事業では、表彰、評価の対象がいまだに旧来型の男女共同参画の捉え方、男女の取り組みのみとなっています。本区の行政計画や男女共同参画の条例の趣旨に基づけば、性的マイノリティーの取り組みについても表彰、評価の対象に加えるべきと考えるのですが、いかがでしょうか。
◎松本 生活文化部長
男女共同参画先進事業者表彰でございますが、仕事と家庭の両立支援や女性の活躍推進などを目的にしまして、区内の先進事業者の表彰を行っております。
平成十九年度に開始をしまして、これまで三十七の事業者の表彰をしてまいりましたが、働き方改革、あるいは男女共同参画と多文化共生にかかわる条例が制定されるなど、男女共同参画社会の構築を目指す環境も変化してきております。そういった観点から見直しを進めております。
現在、令和二年度の実施に向けた準備を進めておりますけれども、性的マイノリティーの方への配慮を積極的に進めている事業者を表彰の対象に加える方向で調整を進めております。なお、このほか、表彰の名称、受賞事業者の紹介方法などの課題もございますので、こういった課題の改善にも取り組みまして、効果的な事業となるよう充実に努めてまいります。
◆上川あや
第二の問題点です。
本区のDV相談が、そもそも男性被害者の相談にきちんと応じてなどいないということ、これは大問題ではないでしょうか。現状でも区のDV相談に寄せられる御相談の約二割は男性からだそうですが、初回の御相談こそお断りもできず、応じるものの、二回目以降の御相談は区としては受けずに、都のウィメンズプラザにお鉢を回しておしまいという対処だそうです。同相談事業では、その立ち上げから、婦人相談員が相談の任に当たってきた経緯から、これまで見直しもなく、いまだに男性の御相談は想定外ということのようなんですが、国の最新のDV被害者統計でも約二割が男性被害者であるという状況下、極めて前時代的な対応で、男性被害者に対して排除的、差別的ですらあると感じます。
男性被害者に対しても、またLGBTに対してもフェアに対応できる相談体制の整備を求めますけれども、いかがでしょうか。
◎松本 生活文化部長
区のDV被害の相談ですが、女性からの相談が多くございますけれども、男性からの相談も一部ございます。相談は、各総合支所の保健福祉センターで婦人相談員が対応しているため、男性の被害者が継続した相談や支援を希望される場合には、東京都のウィメンズプラザの男性のための悩み相談を御案内しているのが実情でございまして、相談体制の課題があるというふうに考えております。
男性のDV被害者支援に当たりましては、父子で避難した後の生活支援策の充実なども必要となることから、今後、LGBTの方も含めた相談体制の充実に向け、関係所管と連携し、検討してまいります。
◆上川あや
問題点の第三は、世田谷区に限らず、都内全体を見渡しても、男性DV被害者を収容できるシェルターが一つも存在していないという点です。同様に戸籍の性とその生き方が異なるトランスジェンダーや、同性間のDV被害者に対しても対応できるシェルターが都内には全くないという現状は問題だと感じます。
区に尋ねますと、当区においても、また都においても、LGBTのDV相談は現に寄せられていながら、対応もできていないと聞いております。世界有数の大都市である東京で、広域ネットワークを生かしても対応できない現状は、区としても積極的に声を上げ、改善を目指していくべき課題であると考えますけれども、いかがでしょうか。
◎松本 生活文化部長
DV被害者支援では、緊急的な避難先が必要となるケースがございますが、性的マイノリティー当事者を含め男性が利用できる緊急避難先は、お話しのとおり、都内での整備はなく、広域的な支援を行っております東京ウィメンズプラザでも対応に苦慮しているというふうに伺っております。
今後、東京都配偶者暴力相談支援センター連絡会議、あるいは特別区の担当課長会などの場で、シェルター機能の確保について問題提起をしながら、性別にかかわらず、DV被害者が支援を受けられるような施策の充実に努めてまいりたい、このように考えております。