◆上川あや
次に、「せたがやそだち」はふるさと納税の魅力的な返礼品になるのではという観点から伺います。
豪華な返礼品競争が話題となり、当区からは多額の税の流出が続くふるさと納税ですが、最近ではアマゾンのギフト券をプレゼントする自治体までもがあらわれ、国は返礼品を地場産品に限定する法改正に着手しております。
一方、これまでふるさと納税に反対してきた都内自治体にも、この間、スタンスの変化が生じているとしてたびたび報じられてきたのが、当区のテーマ型ふるさと納税の取り組みです。その代表例である宮坂区民センター前の旧玉電車両の補修整備等事業については、私も地元の議員として早期の補修を求めてきた立場から、こうしたアイデアもあったのかと感心したところです。私自身、ふるさと納税は、応益負担に反するもので、見直すべきであるという立場です。
しかし、現にふるさと納税が存続する以上、税を流出させるだけではない具体的な対処が必要で、華美な返礼品は用意しないとの区のスタンスには賛成するにしても、寄附者にとってうれしい返礼品の設定も、決して手を抜くべきではない重要な領域だと考えます。
こうした観点から、世田谷区の返礼品を見ますと、焼き菓子セット、食料品セット、日用品セット、雑貨セットと、ほとんど他の自治体と違いのわからない加工品ばかりが並び、改善の余地を強く感じます。そこで提案したいのが、都心区ではまねのできない一次産品の提供、とれたて新鮮な地場野菜、「せたがやそだち」の活用です。
私の住む豪徳寺駅の周辺では、北側に伸びる山下商店街からも、南に延びる豪徳寺商店街からも長らく八百屋が姿を消しました。ところが、昨年、世田谷産朝どれ産直野菜の提供を特色とする若手起業家が青果店を出店、大変盛況で店舗数をふやし続けています。世田谷区の強みの一つは、都心の近くでありながら、飛び切り新鮮な野菜がとれること。区内の農業が多品種・少量生産であることは流通にとっては不利ですが、裏を返せば希少価値でもあり、魅力ともなり得ます。季節ごとに送られる朝どれ野菜のパッケージなどを設定すれば、区内の消費者はもちろん、都心部の人たちにとってもリピートしたくなるパッケージになり得る可能性があると考えますが、いかがでしょう、区の見解を問います。
◎岩本 政策経営部長
私からは、ふるさと納税における「せたがやそだち」の活用について御答弁申し上げます。
区では、ふるさと納税に関して、いわゆる返礼品競争に加わることなく、世田谷区の取り組みを応援していただくことを重視しております。そのため、ふるさと納税を行っていただいた方々への記念品として、障害者施設の自主生産品や「世田谷みやげ」、また、体験型記念品としてたまがわ花火大会の有料観覧席や世田谷246ハーフマラソンの出走権等を活用しております。
記念品が区の取り組みや魅力をお伝えする一助となるには世田谷らしい品をそろえることが必要であり、御提案いただきました区内農産物「せたがやそだち」は、農のある風景を特徴とする世田谷区を、より多くの方に認識していただける魅力的な素材になるものと考えております。
一方で、区内農業は少量多品種による生産が特徴であることから、市場出荷用は少なく、直売所販売が主流となっていることなどから、記念品として一定数量確保することが難しく、保管や発送体制の整備等、の整理を要する課題もあります。
記念品、体験型記念品は、世田谷区の魅力や特徴の理解につながるものであることが肝要ですので、世田谷ならではの記念品について、関係所管等と十分に調整し、その実現の可能性について検討を進めてまいります。
以上でございます。