◆上川あや
次に、区と区教委の障害者雇用率算定の妥当性について伺います。
私の課題認識の中核は、世田谷区教委を含め、何と二十三区全ての区教委が障害者雇用促進法上の雇用義務、障害者雇用率の算定、報告をこれまで全く行ってこなかった、この事務は不適切ではなかったか、それが許される明確な根拠など何一つないではないかというものです。
全国一律に実施をされている障害者雇用促進法上、都道府県等の教育委員会は二・四%の法定雇用率を守らなければなりません。この対象外となるためには、対象職員数が四十二人以下の小規模機関であるか、市長部局で一括算定することが許される厚労大臣の特例認定というものを受けなければなりません。
ところが、区と区教委に確認したところ、本区がこの特例認定を厚労大臣に申請したことはないと言います。つまり、法定雇用率を区と区教委で合算処理するための大前提、厚労大臣による特例認定はいまだ得られていない。にもかかわらず、区はみずからに都合よく区教委の職員をその法定雇用率に算入、報告し続け、区教委もまた、独自に障害者雇用を進める義務を怠り、法定雇用率の算定報告を行ってきたのではないか。以上の課題認識のもと、何点か伺います。まず、今回、世田谷区教委が独自に法定雇用率を算定するべき事業所であるのかどうか。都内の企業、公的機関等の雇用率の状況を毎年調査、公表している東京労働局に私より直接伺うと、驚くべき返答が返されました。あろうことか、わからないというのです。聞けば、同労働局には他の都内の自治体からも同様の問い合わせがあるそうで、同労働局でも答えに窮し、本省に問い合わせをしておりますが、返答が得られないままだといいます。
そこでまず、区の基本認識から問います。
前出の状況から、世田谷区教委は法定雇用率を独自に算定し守るべき事業所のままなのではないですか。また、区は現状のような合算をいつから行い、その妥当性の根拠は何であるのか説明を求めます。
次に、区と区教委と合算する当区の雇用率算定は誤りというべきではないかの回答と、当区同様、他の二十二区も同様の処理をしているものと想像するが、いかがでしょうか、報告を求めます。第三に、区と区教委、それぞれ単体で障害者雇用率を算出した場合の具体的数値、分母と分子、障害者雇用率について提示を求めます。
この質問の最後に、従来の算定手法が誤りだった場合、どう事務を改めるのか、区と区教委それぞれの考えを問います。
◎中村 総務部長
次に、区と区教育委員会の障害者雇用率算定についての御質問にお答えします。
まず、区教委は法定雇用率を独自に算定し、守るべき事業所ではないのか、区は現状のような算定をいつから行い、その妥当性は何であったのか、従来の区教委と合算した区の雇用率算定手法は誤りではないのか、また、他の二十二区の状況について、一括してお答えいたします。世田谷区の教育委員会に勤務する職員は、幼稚園教諭や図書館嘱託員などの区教育委員会で採用している職員を除き、ほとんどが区長部局で採用され、人事異動の中で教育委員会に配置されていることから、国への障害者雇用率の報告に当たっては、少なくとも現在データが残っています平成十四年度以降は区長部局と区教育委員会を合わせて算定しており、この取り扱いについて、これまで国から特段の指摘はございません。他の二十二区についても全て本区と同様の取り扱いをしているところです。
都内の市においては、市と市教育委員会それぞれで雇用率を報告している場合と、国から承認を受けて、市と市教育委員会を合わせて報告している例があります。
現在、区長部局と区教育委員会を別々に報告することの適否や、別々に報告する場合、区教育委員会の算定対象とする職員の範囲などをどのように取り扱うことが妥当であるのか、国に照会し、その回答を待っているところです。次に、区と区教育委員会をそれぞれ単体で障害者雇用率を算出した場合の障害者雇用率と、従来の算定手法が誤りだった場合、その対応についてをお答えいたします。
区長部局と区教育委員会でそれぞれ障害者雇用率を算定した場合の数値については、現在、国に照会しています区教育委員会の算定対象とする職員の範囲などによって異なります。区長部局で採用され、人事異動で区教育委員会に配置されている職員を含め、区教育委員会に勤務する全ての職員を計上した場合は、区教育委員会の分母に当たる基礎となる職員数は千六十九人、分子に当たります障害者数は十九人となり、障害者雇用率は一・七八%となります。この場合の区長部局の数値は、基礎となる職員数は五千八十一人、障害者数は九十五・五人、障害者雇用率は一・八八%になります。
また、幼稚園教諭や図書館嘱託員など、区教育委員会で採用している職員のみを計上した場合は、区教育委員会の基礎となる職員数は三百九十四・五人、障害者数は二人となり、障害者雇用率は〇・五一%となります。この場合の区の数値は、基礎となる職員数は五千六百八十八・五人、障害者数は百十二・五人、障害者雇用率は一・九八%になります。これはいずれも、平成三十年六月一日現在の数値になります。
区といたしましては、障害者雇用率は国が全国自治体を対象に統一的に実施している調査であることから、今後、国の回答があり、何らかの対応が必要となった場合は、その事務手続に従い、適切な算定を行っていく考えです。
以上です。
◎淺野 教育次長
私からは、障害者雇用率算定の従来の算定方法が誤りだった場合、どう事務を改めるか、区教委としての考え方という御質問について御答弁申し上げます。
教育委員会といたしましても、障害者雇用率は国が全国自治体を対象に統一的に実施している調査であることから、今後、国の見解をもとに、改めて手続や報告が必要になった場合は、庁内で連携をとりながら適切に対応してまいります。
以上です。
◆上川あや
法定雇用率について、区教委に改めて問います。
まず一点目、区と区教委は合算処理する特例認定を厚労大臣から得ていない、この点は間違いないでしょうか。
二点目の確認です。特別区のみが大臣の特例認定を得ないままで、合算処理できる明確な根拠もまた存在はしないと認識をしていますが、この認識に誤りはないでしょうか。
三点目に、だとすれば、区教委は依然として独自に法定雇用率を算定する法的義務を担う事業所ではないのでしょうか。その可能性があるのかどうか、明確にお答えください。
◎淺野 教育次長
三点につきましてお答え申し上げます。
まず、区と区教委は合算処理する特例認定を厚労大臣から得ていない、これが間違いないかということです。
障害者雇用促進法に基づく特例認定につきましては、合算する公的機関が連名で厚生労働省へ申請するものですが、教育委員会といたしましては、これまで申請したことはございません。
もう一点ですが、特別区のみが特例認定を得ない、でも、区長部局と合算処理できる明確な根拠もまた存在しない、これが間違いないかという御質問です。このことにつきましては、特例認定を得ないで、区長部局と合算処理することが妥当であるか否かという明確な根拠はありませんことから、現在、区長部局と連携して、東京労働局へ確認をしているところでございます。
もう一点ですが、その場合、区教委は依然、独自の法定雇用率を算定するべき事業所ではないのか、また、その可能性があるのかないのかということです。こちらにつきましては、教育委員会が独自に法定雇用率を算定する事業所である可能性といたしましては、現時点では残されていると考えてございます。国からの見解が示され、算定の考え方を改める必要が生じた場合は、庁内で連携をとり、適切に対応してまいります。
教育委員会といたしましても、障害者雇用促進法の趣旨を踏まえまして、障害のある方が働きやすい環境づくりに努めてまいります。
以上です。
◆上川あや
区も区教委もお答えの中でおっしゃっていましたけれども、この障害者雇用率の算定というものは全国一律の制度なんですね。一律の制度から、東京二十三区、世田谷区を含めて同じ手続を踏んでいないまま合算処理しているというのは明らかにおかしいです。で、これは厚労省の本省にも尋ねました。尋ねたんですが、返答を返してこない。その線引きがわからない。東京労働局にも二週間尋ねています。区と区教委からも四回にわたって尋ねていますが、東京労働局は回答を返しておりません。