◆上川あや

三月二日、区議会の大多数の賛同を得まして、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例が可決成立しました。
同条例の第七条は「何人も、性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる不当な差別的取扱いをすることにより、他人の権利利益を侵害してはならない」と定め、ここで言う性別等の定義には性自認、性的指向も含まれています。
また、昨年九月、私は一般質問で同性カップルに対する差別も認めないとわかる規定とするべきと求めたのに対し、区は、条例の定義において性的指向も含むと規定していることから、性的指向が同性に向かう同性カップルに対しても差別をしてはならないことを規定していると答弁しています。つまり、区は、何人であるにせよ、同性カップルに対する不当な差別的取り扱いは認めない、基本として平等な処遇こそ求めていくということだろうと思います。

そこで一つ目の質問です。
二〇一五年十一月五日、本区は渋谷区と共に同性カップルを公式に認める事務をスタートさせました。この検討の直接的なきっかけになりましたのは、同年三月五日、十六人の同性カップルを中心とした区民の皆さんがこの本庁舎を訪ね、住民票と納税証明書を区長と関係幹部の皆さんに示しつつ、要望書を提出したことでありました。
その要望書には二つの要望事項がありました。一つは、既に実現をしています区民同性カップルの公的な承認です。そしてもう一つは、家族を単位として提供している区民向けのサービスで、同性カップルの区民にも適用可能なものを具体的に洗い出し、提示をしていただきたいというものでした。
区は、その場でそれぞれの検討を約束なさいましたが、二つ目の要望が今なお三年間、宙づりのまま残されております。
区民の生存権を保障する区営住宅の入居申し込み資格につきましては、全会派の賛同を得まして平等が達成されておりますが、その他サービスについては目に見える改善はないままです。
今後もしっかりと点検を続け、改善していただく必要があると考えておりますけれども、いかがでしょうか。

◎若林 人権・男女共同参画担当課長

昨年三月の世田谷区第二次男女共同参画プランの策定に当たりましては、性的マイノリティーの多様なニーズや実態の把握のために、当事者へのヒアリングやウエブアンケートなどを実施いたしまして、性的マイノリティーと多様な性への理解促進と支援として、施策や事業を体系的にまとめたところでございます。
第二次男女共同参画プランでは、今後の施策の方向性といたしまして、人権尊重の観点から、災害時や就労時での支援の充実を図るとともに、相談体制の整備、居場所づくり、住まいの確保や医療等、日常生活における支援について、さらに検討を進めることとしております。
また、平成二十八年度末に区相談事業について全庁的な調査を行いまして、家族からの相談に応じている全ての相談事業について、同性パートナーであっても家族として対応可能であることを確認したことを受けまして、便利帳やチラシなどで家族からの相談も可能という表記をする場合には、親子、兄弟、パートナー等、事情をよく御存じの方からの相談も可能という表記に順次変更しているところでございます。
今後も一つ一つ課題を解決しながら、同性パートナーにも家族対象の事業の適用を広げる取り組みを進めてまいります。

◆上川あや

ぜひお願いします。

◆上川あや

質問の第二は、区の外郭団体における対応です。
例えば、一九八五年九月に設立した世田谷サービス公社は経営方針を次のように記します。世田谷区の地域公社として、未来志向の経営方針のもとに、区民ニーズに応える良質な公共サービスの提供とともに、区の政策方針に沿った新規事業に取り組む企業活動を進めます。
そして、この社員は八百二十名を超えております。当事者の割合から考えて、LGBT当事者も必ずいるはずの事業所でありますが、パートナーが同性である社員に平等な処遇や福利厚生はまだなく、また、区や区教委が持つような不当な差別やハラスメントを認めない規範のルールもまたないと理解をしております。
今後、区の外郭団体に関してもぜひ改善を進めていただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。

◎若林 人権・男女共同参画担当課長

区の外郭団体におきましては、十一ある団体ごとに職員の処遇や福利厚生について規定をしておりますので、必ずしも一律な対応とはなっていないところもございます。
お話しの世田谷サービス公社におきましては、コンプライアンスマニュアルの中のよりよい組織風土をつくるための私たちの行動基準に、性自認や性的指向に関する差別を禁止する具体的な記載はございませんが、差別の禁止として、性別や個人的な特性に基づいた差別などを禁止する規定を設けているとのことでございます。
セクハラに関しては、全ての団体の就業規程や基本方針などに記載し、防止に努めておりますが、同性パートナーも家族であるという区の考え方に基づく対応については、団体ごとの対応となってございます。
今後、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例施行後は、広く区民や事業者に条例の趣旨に沿った取り組みを求めるに当たり、区の外郭団体が率先垂範し、事業者の責務を積極的に果たすよう、機会を捉えてしっかりと求めてまいりたいと考えてございます。

◆上川あや

こちらもよろしくお願いいたします。

◆上川あや

最後に、産業振興公社のセラ・サービスについて伺います。
区の産業政策を推進する産業振興公社が運営するセラ・サービスは、現在、約八千四百人の会員を抱え、主として区内中小産業の勤労者会員とその御家族にさまざまな福利厚生サービスを提供しております。しかし、このサービスでいう登録家族に、法的婚姻をしていない事実婚、異性のパートナーは含まれますが、同じく法的婚姻をしていない同性のパートナーになると含まれておらず、毎月会費を払う会員であっても平等な処遇はないままとなっています。
差別的取り扱いを認めない区の立場は既に公社にもお伝えになっているということですが、改善に向けた公社の感触のほうはいかがでしょうか、お伺いいたします。

◎小湊 商業課長

セラ・サービス事業は、産業振興公社が行う事業でございます。同性をパートナーとする会員にも平等なサービスの提供をとのお尋ねでございますが、担当所管部といたしましては、条例制定の趣旨、あるいは先行事例としての世田谷区職員互助会の取り組みなどを踏まえ、改善すべきものと考えております。
改善の取り組みといたしましては、まずは慶弔などの給付事業が考えられますが、セラ・サービス事業は、区の施策ではなく、公社が行う会員の互助組織でございますので、規則改正など、公社が決定することになります。
区といたしましては、公社に対して条例の趣旨の理解を求めており、公社としても検討する旨の意向を示しておりますので、区互助会に準じた改善を働きかけてまいります。

◆上川あや

ぜひよろしくお願いいたします。

◆上川あや

区民に対しても、事業者に対しても平等を求めていくに当たりまして、世田谷区そのものがやっぱり平等を内部的に保障していないということはあり得ませんし、率先垂範して、区の外郭団体にも実践していただかないことには、区民の方々に差別をやめてくださいと言うことは難しくなりますので、ぜひこのあたりは徹底して、平等にということを志向することをやめないでいただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。