◆上川あや

最後に、出生時の性別と自己認識が一致をしないトランスジェンダーの職員の処遇について伺います。

当区と渋谷区で同性カップルを公式に認める事務を始めて以降、これに倣う自治体の動きが相次いでいます。
来月から当区に倣い、同性カップルの宣誓を認める那覇市では、同制度の新設とあわせ、性を越境するトランスジェンダーの職員の通称名使用を弾力運用するとも報じられております。那覇市の四・五倍もの職員数を抱える当区にも複数名のトランスジェンダーの当事者職員がいると承知をしており、配慮ある対応が当区でも明文化されるべきものと考えております。

出生時、割り当てられた性別に違和感を抱く人イコール性同一性障害であり、手術をする人との印象が社会に根強いわけですが、対応できる医療機関は限られ、健康保険はきかず、体への負担も当然重く、当事者の違和感の程度や選択もさまざまで、その実態は異なります。
日本精神神経学会の調査で、性別への違和感を訴えて受診した人のうち、手術を受け、性別変更をした人は二割にすぎないというデータがあります。また、二〇一二年には、世界保健機関などが生殖腺の切除を性別変更の要件として強いることは人権侵害に当たるとの非難の共同声明を出しており、日本の性同一性障害特例法以降の立法では、イギリス、スペイン、アルゼンチンと手術を性別変更の要件としない国はふえております。

こうした中、当区でも性腺の切除や法的性別の変更を絶対的要件としない性別取り扱いの弾力運用が必要だと考えます。当事者が安心して働ける何らかの指針、安心して相談できる情報の従前からの提供は必要だと考えますがいかがでしょうか。区の見解を伺います。

◎岡田 総務部長

私からは、トランスジェンダーの職員への配慮について御答弁申し上げます。
一人一人の職員が生き生きと安心して働けるよう、良好な職場環境の構築に取り組むことは、組織運営上、大変重要なことと認識しております。
御指摘のトランスジェンダーに関しましては、手術による性別変更をした方は二割にすぎないとの話がございましたが、こうした現状も踏まえ、区においてもトランスジェンダーの当事者職員に関し、自認する性別に配慮した柔軟な組織対応を行っていく必要があると考えます。まずは組織として当事者職員の悩みや希望などを受けとめ、戸籍上の性別にとらわれることなく、当事者職員が自然体で仕事に打ち込めるような職場環境をつくっていくことが必要と考えております。
こうした観点から、お話の職員相談体制につきましては、区で用意している産業医や心理カウンセラーなどによる心や体の相談事業をトランスジェンダーの当事者職員も含め、積極的に利用してほしいと考えておりますが、職員がより安心して利用できるよう、案内の工夫などを図ってまいりたいと考えております。今後も総務部門として当事者職員の思いを受けとめ、組織として必要な配慮のあり方なども考えながら、働きやすい職場環境づくりに取り組んでまいります。以上です。

◆上川あや

再質問いたします。
トランスジェンダーの職員の処遇についてです。
先ほどの質問の中で、那覇市では性を越境するトランスジェンダーの職員の通称名の使用を弾力運用するという表明がございました。この点について当区の対応はどうなりますでしょうか。一言お聞かせいただければと思います。

◎岡田 総務部長

私ども区の職員につきましては、氏名の利用の仕方ですけれども、行政処分等については戸籍名を使うということを原則にしておりますけれども、結婚等で姓が変わった場合、職務上は旧姓を使用するというようなことも弾力的にできるようにしております。今お話しのトランスジェンダーの場合ですが、当事者職員の要望があって、それが働きやすい職場環境づくりにつながると認められる場合には、そういった弾力的な運用についても検討してまいりたいと考えております。以上です。

◆上川あや

御答弁ありがとうございました。