◆上川あや

修正案に反対、その他各会計予算に賛成の立場から意見と要望を申し上げます。

まず、給付型奨学金制度の予算化については評価いたします。二〇一二年九月の定例会で区の税を原資とした全額返済型奨学金を札幌市で実施されているような市民、団体の寄附金を原資とした返済不要の給付型に変えることはできないかと提案して五年半、大変時間はかかりましたが、ようやく同制度がスタートを切ることになりました。最も困難な状況にある児童養護施設の退所者を対象に同制度を創設することを積極的な取り組みの第一歩として評価いたします。しかし、その対象者約二十名という規模は、九十万都市の支援策として余りにも貧弱だとも感じております。人口規模二・一倍の札幌市では、昨年度一億三千百万円を超える寄附金を得て、千二百九十人に返済不要の奨学資金を提供いたしました。区も今後積極的な寄附金の確保に努めつつ、その対象者を他の困窮世帯等から広げていくよう求めます。

次に、二〇〇九年から私が取り組んでまいりました手話通訳者派遣制度の回数制限、時間数制限の撤廃が盛り込まれた予算案であることを評価いたします。昨年秋、議会で指摘したとおり、都内では回数制限のない区が十八区、時間数制限のない区も十五区に広がり、回数、時間数ともに制限のある区は当区だけという大変恥ずかしい手話通訳者派遣事業の状況でした。今後は命と健康を守る派遣はもちろん、より文化的に暮らせる制度運用に努めてください。

次に、同性パートナーシップについてです。五輪憲章は性的指向による差別、つまり同性愛者らに対する差別を禁止しております。ロシアのソチオリンピックの開会式は、同国が反同性愛的な法律を持つために、英米仏独加、EU首脳がそろってボイコットするという大失態にもなりました。このように、同性愛に対する差別的排除は人権侵害であるという考え方が先進諸国の趨勢です。世田谷区としても国際的に恥ずかしくない平等な事務執行に努めていただきたい。そのためにも総括質疑で取り上げた宣誓書取り扱い事務のさらなる改善と、区の家族向け事業の速やかな適用の拡大を改めて求めます。

最後に、土砂災害対策についてです。補充質疑で取り上げたとおり、亀裂、膨らみ、傾斜等、いわゆる変状のある崖、擁壁が区内では五百カ所あるものと見られています。しかし、世田谷区が改修費助成事業の対象としているのは三十三カ所のレッドゾーンのみ、九九%の変状のある崖、擁壁は放置のまま。このまま実効性のある対策になるとはとても思えず、批判をするしかない状況です。施策の実施まで一年、しっかりとした支援策の見直しを改めて求め、私の意見といたします。