◆上川あや

初めに、都市整備領域の質疑で答弁が中途に終わってしまいました土砂災害対策につきまして伺います。
本日は、区長がいらっしゃいますので、区長から御見解をお示しいただければと思います。

区が先般まとめたがけ・擁壁等防災対策方針素案では、先行したモデル調査の結果、区内全体で九千五百件の崖、擁壁があるものと推定をし、亀裂、膨らみ、傾斜の変化等、いわゆる変状の見られる崖、擁壁が五百件、さらに現行法令では認められていない種類、構造の擁壁も三千五百件あると見ておりました。
この変状のある崖、擁壁のうち五メートル未満のものがどれだけ多くを占めるのかをさきの質疑で伺ったところ、四百九十件余り、つまり、九九%は五メートル以下だという答弁でした。
ところが、区が準備をしている改修費助成事業は高さ五メートル以上だけが対象となります。
具体的には、土砂災害防止法に基づき指定されたレッドゾーンの三十三カ所のみが対象だということです。その結果、何と区内で変状のある崖、擁壁の九九%、四百九十件余りは見殺しということなんですね。
世田谷区を除く山の手地区の九区については、高さ五メートル未満の崖、擁壁に対しても改修費助成対策が実際に施行されてございます。
ところが、世田谷区では一切助成は出さずに、アドバイザーだけを派遣して、危険かどうかはチェックするけれども、その先の支援は知らないよという体制なんですね。これが実効性ある対策と言えるのかどうか、区長の御見解をお聞かせください。

◎保坂 区長

がけ・擁壁等防災対策方針素案について、何よりも区民の方々に崖や擁壁に関するリスクを知っていただくこと、また、危ないときに確実に避難していただくことができる体制を目指して進めているものであります。こういった避難対策の点とハード面の対策、これは所管を超えて、区全体で行っていこうと検討を進めております。
今御指摘の五メートル未満の崖が多くあり、変状のある危険箇所も相当多いというような御指摘をいただきました。こういった御指摘も含めて、まずは素案としてお示ししているところに、こうして区議会の御意見やパブリックコメントで区民の皆さんからの御意見をいただきながら、安全第一優先で、何よりも区民の生命、財産を守るために、実効性のある方針として策定してまいりたいと考えております。

◆上川あや

いま一つかみ合わないんですね。五メートル未満の崖が九九%、これに対してハード面の対策は不要というお考えかどうか、お伺いいたします。

◎男鹿 拠点まちづくり担当部長

委員お話しの九九%という値は、モデル調査の結果から、区内では五メートル未満の崖、擁壁が占めるであろうと推計したものでございます。レッドゾーンへの改修等助成につきましては、崖や擁壁そのものへの助成ではなく、万が一土砂災害が起きたときに何より人命を守るという土砂災害防止法の理念に基づき、建物の強化等を目的に行うものです。
崖、擁壁の所有者への支援策といたしましては、五メートルより高い低いにかかわらず、全てを対象に情報提供や注意喚起、さらには専門家派遣等を講じていくものです。これにあわせて警戒避難体制の整備や、道路、公園等公共施設の適切な管理、法規制など、ソフト、ハードの対策を組み合わせて進めていくことで、十分に実効性のある方針となると考えております。
いずれにいたしましても、今後、区議会の御意見やパブリックコメントでの区民の御意見を踏まえながら、なるべく早期に方針を策定してまいりたいと思っております。

◆上川あや

時間がありませんので、これ以上突っ込んで聞きませんけれども、ソフト偏重だというふうに言っているんです。あと一年ありますので、しっかり対策を練ってください。お願いいたします。