具体的な成果

★中学既卒者も夜間中学に入学できる広報に。

 

文科省は、不登校経験者など「形だけの卒業者」にも夜間中学の門戸を開く通知を出しましたが、区立夜間中学の案内は「中学を卒業していない方のために」と拒否的でした。
上川の質疑で既卒者も入学できるご案内に変わりました。

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◆上川あや

三宿夜間中学校での形だけ中卒者の取り扱いについて伺います。

まず、十二年前の私の一般質問の一部を読み上げます。
夜間中学校の空気を感じ、生徒や先生方との会話を通して、私は、夜間中学が不登校経験者などへの学習機会の提供に大きく寄与する可能性があると感じますが、夜間中学校が義務教育を提供する場である以上、中学を一旦卒業した者には二度と入学することができません。不登校生徒らの将来を展望する上で、区は単に便宜的な卒業を与えるのみならず、みずからの意思で学ぶ夜間中学という選択肢も視野に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。生徒の年齢を一切問わず、小学校低学年のレベルから根気強く学べる教育機関、さまざまにコンプレックスを抱える生徒がそのハードルを乗り越えて参加できる学びの機会は、社会にほとんど存在しておりません。夜間中学を含めた選択の機会をきちんと提供するべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。引用はここまでです。

当時、全国にあった夜間中学は三十五校でした。三宿の夜間中学校もその一校でしたが、三宿を含め、全国の全ての夜間中学が中学卒業者の入学を認めてはおりませんでした。この当時の区教委の答弁も、新たな展開は難しいと入学を拒むものでした。一方、多くの学校は、不登校でほとんど学校に通えなかった生徒にも、名義的にその卒業資格を認めてまいりました。義務教育すら未修了というレッテルを避ける配慮もあったのでしょうが、一旦義務教育修了者とみなされると、二度と学びの場には戻れないという大問題がありました。

しかし、昨年七月末、文科省から新たな通知文書が出されました。不登校などで形だけ卒業した人にも夜間中学の門戸が新たに開かれることとなりました。
ところが、世田谷区教委の対応は非常にまずいものだと思います。
区のホームページを見ますと、三宿の夜間中学の御案内は中学校を卒業していない方のためにという項目の下に入っています。中学卒業者が入学できるとは全く読めない案内で、ことしの一月六日に更新をしております。足立区のホームページでは、中学校既卒者の方も第四中学校夜間学級に入学可能となりましたとそのものずばりのページが新設をされております。余りにも世田谷区教委の対応はひど過ぎます。どういうことなのかお伺いいたします。

◎林 学務課長

夜間学級の既卒者に関するホームページでございますが、さまざまな事情によりまして中学校で十分に学べなかった既卒者についても中学校夜間学級対象者として追加し、掲載しております。なお、現状では中学校を卒業していない方のためにとの区分の中で、三宿夜間学級、千代田区立の神田一橋中学校通信教育課程や中学校卒業程度認定試験の案内と一くくりで掲載しているため、委員御指摘のとおり、既卒者からするとわかりづらいと思います。利用者、当事者の視点、配慮が欠けていたと反省してございます。申しわけございませんでした。
今後、ホームページへの記載の仕方につきましては、委員御指摘の点も踏まえまして、既卒者へもすぐわかるよう、早急に対応してまいります。

◆上川あや

区教委のおかしな事務はこれだけではございません。
昨年七月に通知が出たその翌月、三宿の夜間中学校に既卒者の方から御相談があったそうです。
ところが、当初は、相談対応が整わず、受け入れに消極的だった世田谷からは遠い足立区立第四中学校の夜間部を御紹介したそうです。御相談者は、区内在住・在勤の方です。勤務先は三宿中学のすぐ近くだそうです。ところが、その後四カ月にわたり、足立区立第四中学校がその受け入れ相談に当たりました。
御本人は足立区への引っ越しまで真剣に考えたそうです。しかし、地元の三宿に夜間中学があるのだから、やはり地元で対応していただいたほうがよいだろうという足立四中からの御相談で三宿の夜間中学校がようやくこの御相談を引き継いだそうなんですね。この方については、新年度、三宿夜間での受け入れがようやく決まったと伺っていますが、今後、こうしたたらい回しが二度とないように徹底していただかなければならないと考えます。見解を伺います。

◎林 学務課長

委員御指摘の相談者につきましては、八月下旬に三宿中学校に相談がございましたが、その時点では区の対応が決まっておらず、明確なお答えができませんでした。その際、他の夜間学級にも確認してみてはいかがでしょうかと御案内させていただきました。その後、十月中旬に夜間学級の合同説明会がございまして、当該相談者も来られ、改めて三宿夜間中学校の入学の希望をお話しいただきました。その間、区としましては、二十八年四月の入学に向けまして、国や都、他区の動向などを確認しながら検討を進め、十二月に区としての対応を決め、教育委員会で直接相談を受ける運びとなりました。対応が決まる間、御本人は足立区に相談しており、不安な思いをさせてしまいました。その点は申しわけなく思っております。
再入学希望者はさまざまな事情によるケースが考えられます。今後につきましては、三宿夜間中学と連携を密にしながら、相談者の立場や心情に配慮しつつ、個々の事情に応じてできる限り柔軟に対応してまいりたいと思います。

◆上川あや

本当に区教委の対応は下の下だと私は思いました。しっかり対応してください。

◆上川あや

最後に、学齢超過者への対応についてです。
区教委では、学齢である十五歳を過ぎた方には、義務教育の未修了者であっても日中の学校には通わせることなく、実質夜間中学校行きになると伺っております。一方、文科省は、こうした学齢超過者が日中の中学に通うことも差し支えないという見解を示しております。一律的な排除があるとすれば大変おかしいと私は考えておりますけれども、区教委の見解はいかがでしょうか。

◎林 学務課長

学校教育法によりますと、七歳から十五歳までの九年間を学齢と言っております。この学齢を超過した場合、保護者の就学義務がなくなる一方で、学齢超過者から公立の小中学校に入学希望の申し出があっても、教育委員会として受け入れる義務は生じないとされております。
区におきましては、他の生徒や学校への影響を考慮いたしまして、基本的には受け入れは行っておりません。ただし、受け入れることができないという規定ではないため、区としましては、義務教育を修了していない方は、そのために設置している中学校夜間学級を御案内しております。
なお、海外からの帰国や長期入院など、学年を下げて入学し、結果として学齢超過となるようなケースの場合はこれまでも許可しておりましたが、義務教育を修了していない学齢超過者につきましては、さまざまな事情や経緯の方がいらっしゃると考えております。年齢差が大きいことや体力差など受け入れに当たって課題がさまざまございますけれども、本人の御希望をよく聞き、学校に与える影響等も含め、総合的に判断し、就学の許可については可能な限り柔軟に対応してまいりたいと考えています。

◆上川あや

多様性の尊重を区教委のほうもしっかり実践をしていただきたいんですね。学びたいと真剣に考える方を柔軟に受け入れられるようにみずからの姿勢、もう一度点検し直して、柔軟に取り組んでいただきたいと思います。